【CES Unveiled編】Lenovoの液晶取り外し可能ノートほか、多数の新製品

会期:1月7日~10日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center/The Venetian



 Internatinal CES前々日に開催される、新製品の事前展示イベント「CES Unveiled」。LenovoやMSIのノートブック新製品を始め、今年も多数の製品が展示された。ここでいくつかをピックアップして紹介する。

●液晶を取り外してタブレット化できる製品ほかを展示したLenovo

 Lenovoのコーナーでは、液晶部分を取り外してピュアタブレット型のPCとしても利用できるノートPC「IdeaPad U1 Hybrid」を展示。多くの来場者の注目を集めていた。

 IdeaPad U1 Hybridは、通常の形態ではCULV版Core 2 Duoを搭載したWindowsノートPCとして稼働するが、液晶部分だけを取り外しが可能で、取り外した状態でUNIXベースのOSが起動し、ピュアタブレット型PCとしても使うことができる。

 液晶部分の脱着が可能なタブレット型PCという発想は古くは国内でもペースブレード社が発売したこともあった。こうした従来のタイプは液晶側にシステム一式を搭載し、ノートPCスタイルで利用できる外付けキーボードが付属する、といった仕組みだった。

 IdeaPad U1 Hybridの面白いところは、液晶側とキーボード側にそれぞれCPUをはじめとするハードウェアを備えている点。液晶側はQualcomm製CPUをベースとしたシステムになっており、キーボードに取り付けているかどうかを認識し、自動的にOSを切り替えて液晶に映し出される。

 液晶のサイズは11.1型。重量は液晶部のみで750g、キーボード部と一体化した状態で1.75kgとなる。今回の展示品はプリプロダクションのもので、正式には2010年中の発表を予定しているという。日本への出荷は不明とのことで具体的なコメントを得られなかった。

Lenovoが展示した11.1型ノートPCの「IdeaPad U1 Hybrid」液晶部をキーボードに取り付けた状態だとWindowsが動作この液晶部のみを取り外し可能
取り外すと自動的にUNIXベースのOSが動作。インターネット上のサービスを利用できるキーボードと液晶のコネクタ部IdeaPad U1 Hybridの天板。レッドのカラーリングになっていた

 さらに、IdeaPad U1 Hybridでも使われているQualcomm製のARM系プロセッサを使用したSmartBook「Skylight」も展示。ユーザーインターフェイスはWebブラウズに特化したもので、これもIdeaPad U1 Hybridのタブレット形状時に近いもの。液晶サイズは10型。

 内蔵の8GBフラッシュメモリのほか、USBメモリをドングル状にすることでデータ転送などを容易にしている。バッテリ駆動時間が10時間という点もアピールしていた。

 通信機能は3GおよびWi-Fi。価格はアクティベーションを必要としないSIMフリー版で499ドル。AT&Tとの協業が決まっており、そちらの縛りがある契約ならより安く買えるようになるだろう、としている。発売は4月が予定されている。

QualcommのARMプロセッサを搭載したSmartBook「Skylight」キーボード上部に可動式のUSBコネクタを備えており、ここに4GBのフラッシュが取り付けられている。USBメモリは左側面にも1基備えているUSBドングルの奥にはSIMスロット、microSDスロットを備えている

●MSIでは新Atom搭載ネットブックを展示

 MSIのコーナーでは、Pine Trailプラットフォームを採用したネットブックが展示されていた。「U135」と「U160」の2モデルでデザインが異なる。いずれもAtom N450とIntel NM10 Expressチップセットで構成。液晶は1,024×600ドットの10型パネルが使われている。メモリはDDR2-667を1GB、HDDは250GBを搭載する。本体重量はU160が2.2ポンド(約997g)とされている。

 なお、ブーススタッフに尋ねても理由は分からなかったのだが、バッテリ駆動時間はU135が6セルバッテリ時に7.5時間、U160が9時間とされており、これら以外のスペックが異なっている可能性は高い。詳しくは正式発表を待ちたい。

 このほかMSIではArrandaleコアのCore i5を搭載したノートPCや、Radeon HD 5870搭載ビデオカードの新製品などをCES期間中に発表する予定とのことで、正式開幕日以降にブースなどで披露されることになりそうだ。

Atom N450を搭載するMSIの「U160」。タッチパネル周りのデザイン変更をアピールしていたU160の本体左側面U160の本体右側面
同じくAtom N450を搭載する「U135」U135の本体左側面U135の本体右側面

●USB-IFがUSB 3.0製品をデモ

 USB Implementers Forum(USB-IF)では、現在、同フォーラムが普及活動を行なっているUSB 3.0製品の展示やデモが行なわれた。デモは、USB 3.0のHD WebカメラとHDDを用いて、1080p映像をストリーミング保存し、それを再生することを繰り返すというもの。

 ほかにも、USB 3.0インターフェイスを持つHPのノートPC「Envy 15」にUSB 3.0接続のHDDを接続して画像ファイルを次々に読み出すデモや、USB-IFが認証試験を通したさまざまな機器の展示が行なわれている。

 また、Lacieのコーナーでは、USB 3.0に対応した高耐久性(Rugged)タイプの2.5インチ外付けHDDを展示。こちらではCrystalDiskMarkを用いたベンチマークをデモしていた。

USB 3.0対応WebカメラとHDDをPCを介して接続。取得した1080pの映像を録画、再生するというもので、USB 3.0の高帯域幅によりスムーズな録再生が実現されているExpressCardのUSB 3.0ホスト側インターフェイス。シールが貼られていないが、日本でおなじみのラトックが認証を通したものHPのEnvy 15にさまざまなUSB 3.0対応HDDを接続したデモ。有名どころではWestern Digitalも外付けケースを予定しているとのこと
Lacieが展示したRuggedタイプのUSB 3.0対応HDD。2.5インチHDDを使っており、容量は250GB~1TBLacie製品のベンチマーク結果。2.5インチHDDであることも勘案すると、とくにシーケンシャルアクセスの数値はかなり優秀Mini USB 3.0コネクタ。USB 2.0との互換性を持たせつつ、新規格を追加した形状が特徴

●電子ペーパーとAndroid PCを一体化

 enTourageが展示した「enTourage eDGe」は、ノートブック形状の製品を開くと2枚のパネルが出現。1つは9.7型のE-Inkの電子ペーパー、もう一方は1,024×600ドットの10.1型の液晶ディスプレイを備えている。この2枚の液晶は、各々が180度開くので、パネルを表向きにして折りたたむこともできる。

 9.7型電子ペーパーのほうはPDFや電子書籍などを閲覧可能なほか電子ペンによる書き込みも可能。10.1型液晶はGoogle Androidを用いたシステムが起動し、Wi-Fiによるインターネット接続が可能となっている。例えば、電子書籍を読みながら、インターネットで調べ物、といった作業が行なえる。

 本体重量は約1.25kg(2.75lbs)とのこと。価格は490ドルで、今年の2月に発売が開始される予定になっている。

enTourageの「enTourage eDGe」はE-Inkの電子ペーパーと、Google AndroidによるPCを見開きで一体化した形状の製品折りたたんだ状態から、各パネルを180度開いて、パネルを表向きにして折りたたむことができる大胆な設計

●その他、気になったもの2点紹介

 そのほか、目を引くものが多数展示されているCES Unveild。PCとは若干話がそれるが、気になったものを2点、写真で紹介しておきたい。

mPowerが展示した「mPower Emergency Illuminator」。電源スイッチはOFF/LED/USBの3つが記載されており、LEDに合わせると前方のLEDが光り懐中電灯として使用するUSBに合わせた場合は、USB給電を行なえる。モバイルデバイスのチャージャーとして利用できる
電池ボックスを2つ備える。1つはCR123×2個を使う通常のボックス。もう一方は、CR123を使い切ってしまったときの非常用電池を入れるボックス実は、その非常用電池が本製品のポイント。「On Command Reserve Battery」と名付けられており20年の保存が可能であるとしている
Parrotがデモを行なった「AR.Drone」。4枚の羽根を持つ飛行可能なロボットで、Wi-Fi接続することでiPhoneやiPod touchから操作可能(イベントでは専用の機器を使っていた)。前方と下方にカメラも内蔵している独自のアプリケーションプロセッサを中心としたコントローラ部。超音波高度計を使った姿勢制御も行なえる。現在はiPhone対応のみだが、ほかのプラットフォームへの対応も検討しており、SDKを提供することでさまざまなアプリケーションが開発可能であるとしている

(2010年 1月 6日)

[Reported by 多和田 新也]