イベントレポート

個人情報を渡さずAIを使える「Kaleida」、トレンドマイクロが発表

トレンドマイクロの「TrendLife」のデモ

 トレンドマイクロは、6月2日から台湾・台北で開催された「COMPUTEX 2026」にブースを出展し、「TrendLife」ブランドで展開する一般消費者向けのセキュリティソフトウェアのデモを行なった。

 また、AIファクトリー向けのセキュリティソリューション「TrendAI」に関する展示やデモを行なっている。

AIアシスタント+AIセキュリティをセットにしたKaleidaを投入、第4四半期にスイート製品も

スマートフォン上で動作しているトレンドマイクロのKaleida

 トレンドマイクロといえばアンチウイルスソフトウェアの代名詞といえる「ウイルスバスター」が最も知られている。元々ウイルスバスターはWindows PC向けのソフトウェアとして提供されてきたが、近年ではマルウェアの脅威もPCだけではなくなってきており、スマートフォンを対象にした「ウイルスバスターモバイル」などにターゲットとするプラットフォームが拡大されており、さらに昨年(2025年)は「詐欺バスター」と呼ばれるスマートフォンを狙った詐欺電話、ネット詐欺などを防ぐ防犯アプリなども提供している。

 そのトレンドマイクロは、今年(2026年)の4月に新しい一般消費者向けのブランドとなるTrendLifeを発表している。今後、一般消費者向けをTrendLife、クラウドベースのAIをターゲットにした法人向けを「TrendAI」としてブランドを分離することで、より分かりやすい製品体系にしている。

 そのTrendLifeでは、ウイルスバスターや詐欺バスターなどの既存製品を販売するほか、新しいセキュリティを確保したAIを利用する環境になる「Kaleida」も提供していく。

 Kaleidaは、非常にざっくりいうと、ChatGPTやGeminiのようなAIアシスタント機能だが、最大の特徴は、AIを使う際に個人情報をAIに渡さないようにするなど、セキュリティ性が高められていることだ。

 リテラシーの高いユーザー本人が使う場合、そうした情報を入れないようにすると気をつければ良いが、子どもや高齢者などの家族がAIを使うとなったときには本当にそうした対策で大丈夫だろうか?という不安を持つユーザーは少なくないと思う。

 特に日本では先日、プロスポーツチーム関係者の家族が、AIアシスタントを使って得た情報により本人もご家族も望まない騒動に発展してしまったことは記憶に新しい。自分の家族や子どもたちがそうした騒動になる前に、何かの対策が必要かもしれないと感じている人は少なくないのではないだろうか。

Webブラウザ版のKaleida

 Kaleidaの見た目は、ChatGPTやGeminiと同じAIアシスタントになっている。未成年の子どもや高齢者が利用する場合を想定して、Kaleidaのガードレールが個人情報の漏洩を防ぎ、何か問題のある使われ方をしたときには、子どもなら親、高齢者なら子どもなどに通知する。それにより、子どもや高齢者などにも安心してAIを使わせることができる仕組みになっている。

 もちろん、100%問題を防げるということはないだろうが、少なくとも何が起こっているのかを把握することができるのは安心感が大きく向上するといえる。

 なお、AIモデルはGPT、Geminiなどが内部的には利用されており、プロンプトによって最適なものが選択されながら実行されていく。今回トレンドマイクロはこのKaleidaをCOMPUTEXのブースでデモしたが、現時点ではスマートフォン用のアプリと、Webブラウザから利用できる環境を用意し、まずは普通のAIアシスタントとして利用できる様子をデモした。

 なお、現時点ではウイルスバスター、詐欺バスターなどの既存製品とは別の製品として第3四半期から販売開始される計画。その後、第4四半期以降にTrendLifeのスイートとして1つの製品にまとめられる予定だとトレンドマイクロは説明した。

TrendAI Vision Oneの新機能としてシャドーAIを検出するAI Risk Insightsのデモを公開

企業向けのブランドはTrendAI

 トレンドマイクロのもう1つの法人向けの事業がTrendAIで、オンプレミスのAIファクトリーやクラウドサービス事業者のAIインフラなどの上で動作させるAIソフトウェア向けのセキュリティソリューションを法人向けに提供している。トレンドマイクロがそうしたAIソフトウェア向けに提供しているのが「TrendAI Vision One」で、企業のAIソフトウェアが攻撃されていないか、どこが脆弱なのかなどをダッシュボード形式で可視化する機能を提供している。

AI Risk Insightsを利用すると従業員がどのようなAIツールを使っているか把握することができ、将来の脅威を予測したりなどが可能に

 今回のCOMPUTEX 2026ではそうしたTrendAI Vision Oneの新機能として、従業員のAI利用状況が可視化される機能のデモ動画を公開した。そうした機能が導入される背景としては、現在多くの企業では「シャドーIT」から「シャドーAI」への対応が大きな焦点になりつつあるからだ。

 従業員が生産性を上げるために、個人でクラウドストレージを契約して使ってしまい、社外秘の情報をクラウドストレージに保存してみたところ、流出してしまった……そうしたことをシャドーITと呼んでいるが、企業のIT担当者はそれを防ぐさまざまな対策を行なってきた。

 しかし、今問題になっているのは、シャドーAIと呼ばれる、従業員がChatGPTやAnthropicのClaudeなどを勝手に契約してしまい、そうしたサービスにデータをアップしてしまうことだ。

 従業員にすれば、会社が契約してくれないから自費で契約しているのにと思うところだが、企業にとってみれば、社外秘のデータがAI事業者のサーバーにアップロードされているということを放置できないのはいうまでもない。

社内ユーザーがどのようなAIアプリケーションを使っているのかリスト化することが可能

 そこで、TrendAIの新機能「AI Risk Insights」では、ユーザーのPCなどがどのようなAIツールを使っているかを検出して、リストとして確認できる。それにより、シャドーAIとして使われているAIアプリケーションを確認する、あるいは許諾されているユーザーとAIアプリケーションであれば問題がないことを確認し、仮に許諾された組み合わせでもマルウェア的な動きをしていないかなどをモニタリングすることができる。そうした機能によりシャドーAIを防ぎ、許諾された組み合わせの利用を促すなどの効果があるということだった。

 現時点では動画による公開で、ライブで動作している様子は確認できなかったが、現在も開発が続けられており、今後TrendAI Vision Oneの新機能として実装されていく計画だ。