イベントレポート
RTX SparkはSurface RTの先にあった未来。ArmがAIエージェント時代に躍動
2026年6月4日 09:32
Armは6月2日、COMPUTEX TAIPEI 2026にて基調講演を開催し、爆発的に広がるAIエージェントの活用に向けた製品となる「Arm AGI CPU」について改めて説明した。あわせて、「RTX Spark」の開発で協業したNVIDIAからCEOのジェンスン・フアン氏も登場し、トークセッションも行なわれた。
競合より2倍効率的なArmサーバー。AIエージェント時代のCPU需要に対応
講演では同社CEOのレネ・ハース氏が登壇。冒頭では、Armと台湾との関係について言及。1990年代初頭に最初のArmチップが台湾で設計/製造されたことや、その後iPodなどの音楽プレイヤー、iPhoneやAndroidスマートフォンの普及とともにArmが成長を遂げてきたことを振り返った。台湾でこれまで製造されたArmチップは2,500億個にもなるという。また、現在でもArmベースのサーバー用CPUはすべて台湾で製造されており、Armは台湾なしに存在し得ないと感謝を伝えた。
直近のAI領域においては、エージェントAI(Agentic AI)が爆発的に拡大。これにともなって求められるインフラも変化しており、特にトークンの処理やオーケストレーションを担うCPUの需要が急増。同社では3月に開催したイベントにおいて、同じ電力枠で4倍以上のCPUコアが必要になるとも予測していた。
こうした状況に対して、同社はArm AGI CPUを3月に発表。競合のx86 CPUサーバーと比べ、同じ電力で2倍以上のパフォーマンスを発揮できるとし、エネルギー効率の向上やデータセンターのコスト削減を実現する。今回新たにOracleとByteDanceでの導入が発表された。
GoogleのAxion、AWSのGraviton、NVIDIAのVeraなど、ArmベースのCPUを採用する事例が増加している中で、Arm AGI CPUも継続的に製品を投入していく計画で、第2世代ではコア数の増加や性能と効率の改善を目指す。現時点では第2世代、第3世代まで開発を進めているという。
一方でPCについては、スマートフォンやWebの普及や進化により、製品の選ばれ方や使われ方が大きく変化。以前は用途に応じて購入するというケースが多かったが、昨今ではスマートフォンと連携しながら外出先で長時間使えるデバイスと、AIエージェントやAIモデルの実行や何らかの開発作業に向けた超高性能なデバイスといったかたちで、二極化しつつあると指摘した。
こういった中でもArmは、Chromebook、SurfaceやWindows PC、Macなど幅広いカテゴリをカバーするとともに、さまざまなOSをサポートしており、こういった二極化するニーズをどちらも満たせる唯一のアーキテクチャであるとアピールした。直近ではNVIDIAからArm採用のWindows向けプロセッサであるRTX Sparkも登場。ArmのCSS戦略を活用し、NVIDIAおよびMediaTekと密接に協力しながら開発を進めたとした上で、今後PCの分野は非常に興味深い領域になると考えていると述べた。
ゲストのジェンスン・フアンへのプレゼントはあの「Surface RT」
また、基調講演にはゲストとしてNVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏が登場。RTX SparkやエージェントAIなどについてハース氏との対談が繰り広げられた。
フアン氏は、PC上で常にエージェントが稼働し、ユーザーが指示すれば自律的にタスクを完了してくれるような未来がやってくると述べ、それを実現するのがArm PCなのだと説明。加えて、今後AIエージェントが広がり、ロボットなどでも活用されるようになることで、これまで人間の数が実質的な市場の限界だったコンピューター業界にとって、規模が何倍にも拡大する可能性があると語った。
ゲストセッションの最後には、ハース氏からフアン氏へのプレゼントとして「Surface RT」が贈られた。Surface RTは、Arm版Windowsマシンとして、NVIDIA Tegra 3を搭載して2012年に登場したデバイスで、RTX Sparkの祖先ともいえるような存在。ハース氏は以前NVIDIAのGeForce部門に在籍していた時期があったため、上司と部下の関係でもあった2人のやり取りに会場は大いに盛り上がった。
ハース氏はフアン氏を見送ったあと、Armプラットフォームはエッジからクラウドまでカバーし、極小システムから巨大システムまで実現可能なAIコンピュートプラットフォームであるとそのメリットを改めて強調し、講演を締めくくった。




































