イベントレポート

個性爆発!注目PCケース一挙紹介~be quiet! 、CORSAIR、HYTEなど最新トレンドを総ざらい

Light Base 900。これだと一般的なミドルタワーケースに見えるが……(詳細後述)

 COMPUTEX TAIPEI 2025が、5月20日から23日まで台湾・台北で開催された。世界最大級のPC・IT見本市として知られるこのイベントだが、その中でもPCケースはデザインと機能性の両立を追求した個性的な製品が数多く登場し、来場者の注目を集めた。

 今回は、会場などで展示されていたPCケース特集をお届けする。

be quiet!

 be quiet! では、昨年(2024年)のCOMPUTEX TAIPEI 2024で展示し、現在では日本でも発売されている「Light Base 900」の“専用スタンド”のコンセプトが展示されていた。

 「Light Base 900」はExtended ATXマザーボードに対応するピラーレスケースだ。脚パーツを付け替えることにより、「通常」、「倒立」、「横置き」の3つのレイアウトを実現できるが、今回の専用スタンドを使うことにより新しいレイアウトを追加することができるようになる。

スタンドは木製で、組み合わせることで近年のトレンドに対応する
この写真をみればほかとは違うということが理解できるだろう。このスタンドを使用するとI/Oパネル側が下向きになる。ケーブルはまとめやすいが、パーツによってはエアフローをよく考える必要がありそうだ

CRYORIG

 CRYORIGでは、ファンレス水冷ケースの「Lull」を展示していた。

 TDP 180WのCPUまでであればファンレスで動作できるという。

Lullの説明パネル
ウォーターブロックからウォーターチューブがケース前面の方へ向かって伸び、サイドパネルと接続される(写真:モリケン)
放熱プレートと言わなければスリットの入ったサイドパネルと見間違えてしまうだろう

CORSAIR

AIR 5400

 コルセアでは、トリプルチャンバーケースとなる「AIR 5400」を展示していた。

 これまで同社では、6500Xといったデュアルチャンバーケースをリリースしてきたが、今回は簡易水冷CPUクーラーのラジエータ専用スペースを追加したことで、トリプルチャンバーとなった。

パーツを取り付けたイメージ
写真右奥にCPUのラジエータのエリア、裏に電源のエリア、そして正面にマザーボードのエリアとなっている。マザーボードエリアの上下に設置されたエアフロー用の透明パーツにより、ビデオカードなど各種パーツへ効率よく風を当てることができるという。

FRAME 4000D PROTO TYPE

 既に発売済みの「FRAME 4000D」だが、こちらを全面ガラスに変更したプロトタイプが「FRAME 4000D PROTO TYPE」となる。

 会場の展示マシンでは電源ユニットまで透明になっており、スケルトン好きにはたまらない仕様だ。

現在販売しているモデルは下部の電源ユニットエリアがメッシュになっている
フロントパネルもCNC加工されたアルミになりイメージがガラッと変わった

FRAME 5000D

 FRAME 4000Dを大型化したモデルとなる「FRAME 5000D」だ。

 こちらは420mmのラジエータに対応している(FRAME 4000Dは360mmまで)。

FRAME 4500X

 続いて「FRAME 4500X」だ。こちらはコルセアとしては初となる一体型の曲面ガラスを採用したモデルで、継ぎ目がないところがポイントだ。

内部のパーツが映えるケースだ

darkFlash

 darkFlashでは、コラボケースとなる「CO-BRANDED」シリーズの展示が目立った。

今のところは台湾限定販売となっているサンリオコラボのケース。サンリオファンは欲しくなるに違いない
韓国のVTuberグループとのコラボケース

DeepCool

 DeepCoolでは、ハイパースプリットタワーデザインの「CL6600 WH」を展示していた。

 これは、ケース上部に設置されたもう1つのケースに360mmサイズのラジエータが入っている。通常、ケースの中に入っているラジエータだが、完全に分離をすることで冷却効率を高められるという。

専用品となるため、ヘッドからラジエータまで最短経路で結ばれる
フロントパネルに木製パーツも使われており、モダンな見た目だ。なんとなくケースの上に外付け光学ドライブが載っているような光景がチラつくのは多分筆者だけだろう。

HYTE

 HYTEでは、すべて丸みを帯びたラウンド形状で構成された新型ケース「X50」が展示されていた。

 サイドパネルには曲面ガラスを採用しているが、このガラス「アコースティックラミネートガラス」を採用することで静音性を向上しているという。

 カラーは「ブラック」、「ホワイト」、「ストロベリーミルク」、「抹茶ミルク」、「タロ」そして「チェリー」の6色で展開される。

 そのうちの「ブラック」と「ホワイト」の2色については、サイドパネルの曲面ガラスがメッシュになった「X50 Air」も用意される。

 HYTEはそれぞれのカラーについて、金属製のメッシュパーツから樹脂パーツに至るまで同系色のカラーで揃えられており、ケース全体を1つの作品として仕上げるこだわりを感じられる。

X50とX50 Air
外見だけでなく、ケースの内部に至るまでラウンドしている
ねじれのあるルーバーブレードにより、ケース内に新鮮な空気を送り込む

LIAN LI

 LIAN LIは強化ガラスの前面パネルに3つのファンを搭載する「LANCOOL 4」を展示していた。多くのPCケースメーカーは「ガラスは内部のパーツを見せるモノ」という思想で作られているが、このLANCOOL 4はそこに140mmのファンを3つ埋め込みエアフローを改善している。デザインもファンというよりは巨大なスピーカーといった感じだ。

ファンがデザインアクセントになっている

 もう1つは「LANCOOL 217 INF」で、既に日本でも販売されているLANCOOL 217のフロントパネルを強化ガラス&ARGB化したバージョンとなる。木製パーツを使った落ち着いたイメージのLANCOOL 217と比べると正反対なイメージに仕上がっている。

東南アジアでよく見かけるズンドコサウンドが炸裂しそうなスピーカーに見えるが、あくまでもPCケースだ

NZXT

 日本でも(記事執筆時点で)ちょうど発売されたばかりの「H9 Flow」と「H3 Flow」が展示されていた。

 H9 Flowについては、同じ名前のケースが存在するが、こちらはいわば2025年モデルとなる。右側面に斜めに設置されたファンによりエアフローが改善しているという。

 H3 Flowについては新たにラインナップ追加されたmicroATXケースとなる。

 前面に280mm、上部に240mmのラジエータが搭載可能となっている。

日本の環境では人気が出そうなH3 Flow

SilverStone

 SilverStoneでは、レトロ風PCケースの第2弾となる「FLP02」が展示されていた。

 このFLP02だが、今回は同社のミッドタワーATXケースの「SETA D1」をベースとしており、搭載できるビデオカードのサイズなど基本的なスペックは同じだという。

PC-9800シリーズのデザインの「FLP01」は秋葉原で話題になったが、FLP02はどうなる?

 5インチのフロントベイについては、5インチフロッピードライブデザインのカバーが取り付けられている。こちらはレバーが6時の位置にある時に固定され、外す時は9時の方向へレバーを動かすとパネルを取り外すことができる。

FLP01の時にレバーが欲しかったという意見があったことも確かだ

 フロントパネルにはロッカースイッチ型の電源ボタンにリセットボタン、ターボボタン、そしてロック用の鍵が搭載している。なお、ターボボタンを押すとファンの回転数が上がる。

Thermaltake

 Thermaltakeは、会場でも広い場所を取り、かなりの数のPCケースを展示していた。個人的にはデュアルチャンバーケースの「View 380 XL」に追加されたウッドシリーズとなる「View 380 XL Wood (Snow)」が気になった。

最近の流行を取り入れた上品なデザインだ

まとめ

 今回のCOMPUTEX TAIPEI 2025では、個性的なPCケースが多く登場した。特にCRYORIGのファンレス水冷やDeepCoolの分離型冷却など、冷却を追求した製品が印象的だった。見た目も大きく変わり、HYTEのラウンドデザインやSilverStoneの懐かしいレトロ風ケースなど、従来の四角いケースとは一味違う製品が目を引いた。

 また、曲面ガラスや木材を使ったPCケースも今回紹介したメーカー問わず多く展示されており、PCケースが電子部品を格納する箱から部屋のインテリアの一部になってきていることを実感した。PCケースの世界もまだまだ面白い進化が続きそうだ。