イベントレポート
NVIDIA、GeForce RTX 4070 TiのAICボードとRTX 40シリーズ搭載ノートPCを展示
2023年1月6日 06:13
NVIDIAは1月3日午前(米国時間)に、CESのデジタル・プラットフォームを利用して記者会見を行ない、GeForce RTX 40シリーズの現時点の最廉価モデルとなる「GeForce RTX 4070 Ti」およびノートPC向けの「GeForce RTX 40シリーズ」を発表した。
その発表後に、ラスベガス市内の会場でGeForce RTX 4070 TiのAIC(Add In Card)パートナーの製品が展示されたほか、ノートPC向けGeForce RTX 40シリーズのGPUを搭載したノートPCのシステムなどが展示された。
NVIDIAの展示会場で多数の「GeForce RTX 4070 Ti」搭載AICパートナーのカードが展示される
GeForce RTX 4070 Tiは、元々Ada Lovelaceアーキテクチャが発表されたときに「GeForce RTX 4080(12GB)」と名付けられていたが、名前を変えて登場することになった。当時の市場想定価格は899ドルだったが、名前が変わったことにより100ドル値下げされて799ドルの市場想定価格になっている。
NVIDIAはデスクトップPC向けのGeForce RTX 40シリーズに、今のところ3つのダイを用意している。先行して発売されたGeForce RTX 4090が「AD102」、GeForce RTX 4080 16GBが「AD103」、そして今回発表されたGeForce RTX 4070 Tiが「AD104」になる。それぞれの演算器の数などを以下の表にまとめた。
製品名 | GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 4080 16GB | GeForce RTX 4070 Ti |
---|---|---|---|
ダイコードネーム | AD102 | AD103 | AD104 |
GPC | 11 | 7 | 5 |
TPC | 64 | 38 | 30 |
SM | 128 | 76 | 60 |
CUDAコア | 16,384 | 9,728 | 7,680 |
メモリサイズ/種類 | 24GB/GDDR6X | 16GB/GDDR6X | 12GB/GDDR6X |
メモリバス幅/データレート | 384bit/21Gbps | 256bit/22.4Gbps | 192bit/21Gbps |
メモリ帯域幅 | 約1TB/s | 716.8GB/s | 504GB/s |
L2キャッシュ | 72MB | 64MB | 48MB |
トランジスタ数 | 763億 | 459億 | 358億 |
ダイサイズ | 608.5平方mm | 378.6平方mm | 294.5平方mm |
TGP | 450W | 320W | 285W |
発売 | 10月12日 | 11月 | 1月 |
市場想定価格 | 1,599ドル | 1,199ドル | 799ドル |
基本的なアーキテクチャは同じAda Lovelaceだが、たとえばGPCという単位で比較すると、AD102は11あるのに対して、AD104は5と、半分以下になっている。このため、性能ではAD102にはおよばないが、演算器が少なくなっているので、その分消費電力は少ない。
なお、GeForce RTX 4070 Tiの性能に関してはすでにベンチマークを利用した評価記事が掲載されているので、詳しくはそちらをご参照いただきたい。
GeForce RTX 4070 Tiは、NVIDIAブランドのカード(Founder Edition)は用意されず、製品はAICパートナーと呼ばれるNVIDIAのOEMメーカーからのみ提供される。そのため、展示会場ではAICパートナーのボードが多数展示されていた。
GeForce RTX 40シリーズ・ラップトップを搭載したノートPCが多数展示される
NVIDIAは同時に、ノートPC向けの外付GPUとなる「GeForce RTX 40シリーズ・ラップトップ」を発表した。発表されたのはGeForce RTX 4090/4080/4070/4060/4050の各製品で、以下のようなスペックになっている。
GeForce RTX 4090 Laptop GPU | GeForce RTX 4080 Laptop GPU | GeForce RTX 4070 Laptop GPU | GeForce RTX 4060 Laptop GPU | GeForce RTX 4050 Laptop GPU | |
---|---|---|---|---|---|
CUDAコア | 9,728 | 7,424 | 4,608 | 3,072 | 2,560 |
ブーストクロック | 1,455~2,040MHz | 1,350~2,280MHz | 1,230~2,175MHz | 1,470~2,370MHz | 1,650-2,370MHz |
ビデオメモリ | 16GB | 12GB | 8GB | 8GB | 6GB |
メモリバス幅 | 256bit | 192bit | 128bit | 128bit | 96bit |
メモリタイプ | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
GPUサブシステム電力 | 80~150W | 60~150W | 35~115W | 35~115W | 35~115W |
NVエンコーダ | 2x第8世代 | 2x第8世代 | 第8世代 | 第8世代 | 第8世代 |
NVデコーダ | 第5世代 | 第5世代 | 第5世代 | 第5世代 | 第5世代 |
表1のデスクトップPC版のスペックと比べてみると分かるが、ノートPC版のスペックは必ずしもデスクトップPC版と同じではない。
たとえばGeForce RTX 4090で比較すると、デスクトップPC版はCUDAコアが16,384、ノートPC版はCUDAコアが9,728になっており、メモリバスが256bitであることなどと考えて、ノートPC版の4090はAD103である可能性が高いと言える。
ノートPC版がデスクトップ版に比べると低いスペックになっているのは、ノートPCのスペースの問題で放熱できる熱量が少ないからだ。
今回NVIDIAは、新しい第5世代のMax-Q(NVIDIAの熱設計と消費電力のバランスをとる技術)が導入され、プロセスノードも8nmから4nmへと微細化されたことなどにより、同じクラスの前世代と比較した場合、電力効率が3倍になっているとアピールしている。つまり同じ性能であれば消費電力が3分の1、同じ消費電力であれば性能が3倍ということだ。
NVIDIAによれば、2月8日から順次販売が行なわれる計画で、Acer、Alienware、ASUS、Dell、GIGABYTE、HP、Lenovo、MSI、Razer、Samsungなどから搭載ノートPCが提供される予定だ。