Hothotレビュー
799ドルの高性能GPU「GeForce RTX 4070 Ti」をベンチマーク
2023年1月4日 23:00
1月5日より、NVIDIAの新GPU「GeForce RTX 4070 Ti」の販売が開始される。799ドルという市場想定価格が設定されたGeForce RTX 4070 Tiは、発売時点でもっとも安価なGeForce RTX 40シリーズGPUだ。
今回、GeForce RTX 4070 Tiを搭載するZOTAC製ビデオカードを発売前にテストする機会が得られたので、ベンチマークテストでその実力を確認してみた。
GPU評価の第1人者、KTU・加藤勝明氏がRTX 4070 Tiをライブ解説! ゲームのフレームレート計測を含む各種ベンチマーク結果を始め、仕様や特徴の解説、実動デモなど、多彩な内容で新GPUの実力に迫ります。
(ライブ終了後は即アーカイブを視聴可能です)
市場想定価格799ドルの高性能GPU「GeForce RTX 4070 Ti」
GeForce RTX 4070 Tiは、Ada Lovelaceアーキテクチャを採用するGeForce RTX 40シリーズ製品の1つで、型番的にはミドルレンジとハイエンドの中間となるミドルハイクラスのGPUだ。市場想定価格も799ドルであり、1,000ドルを超えていたほかのGeForce RTX 40シリーズより安価に設定されている。
TSMCの4Nプロセスで製造されたGeForce RTX 4070 TiのGPUコアでは、60基のSMが有効化されており、7,680基のCUDAコアや60基のRTコア、240基のTensorコアなどが利用できる。VRAMには21Gbps動作のGDDR6Xメモリを12GB搭載しており、192bitのメモリインターフェイスで接続することで約504GB/sのメモリ帯域幅を実現した。バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16で、消費電力指標のTGPは285W。
【表1】GeForce RTX 4070 Tiの主な仕様 | |||
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GPU | GeForce RTX 4070 Ti | GeForce RTX 4080 | GeForce RTX 4090 |
アーキテクチャ | Ada Lovelace | Ada Lovelace | Ada Lovelace |
製造プロセス | TSMC 4N | TSMC 4N | TSMC 4N |
SM | 60基 | 76基 | 128基 |
CUDAコア | 7,680基 | 9,728基 | 16,384基 |
RTコア | 60基 (第3世代) | 76基 (第3世代) | 128基 (第3世代) |
Tensorコア | 240基 (第4世代) | 304基 (第4世代) | 512基 (第4世代) |
テクスチャユニット | 240基 | 304基 | 512基 |
ROPユニット | 80基 | 112基 | 176基 |
ブーストクロック | 2,610MHz | 2,505MHz | 2,520MHz |
メモリ容量 | 12GB (GDDR6X) | 16GB (GDDR6X) | 24GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 21.0Gbps | 22.4Gbps | 21.0Gbps |
メモリインターフェイス | 192bit | 256bit | 384bit |
メモリ帯域幅 | 504GB/s | 716.8GB/s | 1,008GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力 (TGP) | 285W | 320W | 450W |
市場想定価格 | 799ドル | 1,199ドル | 1,599ドル |
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO
NVIDIAはGeForce RTX 4070 Tiについて、リファレンスモデルである「Founders Edition」を用意しないとしており、今回発売前のテスト機材として用意されたのはZOTAC製のビデオカードである「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIRO(ZT-D40710B-10P)」だった。
このビデオカードはZOTAC製ビデオカードの中でも最上級の「AMP Extreme AIRO」に属する製品で、3.5スロットを占有する超大型GPUクーラーを搭載したオーバークロックモデルだ。GPUコアのブーストクロックはリファレンスの2,610MHzから2,700MHzに引き上げられている。
動作に必要な補助電源コネクタは12VHPWR×1系統で、PCIe 8ピンコネクタ3本から12VHPWRに変換するアダプタが同梱されている。ブラケット部の画面出力端子はDisplayPort(3基)、HDMI(1基)。
比較用GPUとテスト環境
GeForce RTX 4070 Tiの比較対象には、上位モデルのGeForce RTX 4080と、前世代のハイエンドGPUであるGeForce RTX 3080のほか、Radeon RX 7900 XTXおよびRadeon RX 7900 XTを用意した。なお、比較用のGPUは、いずれもGPUメーカーのリファレンスボードを用意している。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | |||||
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GPU | GeForce RTX 4070 Ti | GeForce RTX 4080 | GeForce RTX 3080 | Radeon RX 7900 XTX | Radeon RX 7900 XT |
ビデオカードベンダー | ZOTAC | NVIDIA | NVIDIA | AMD | AMD |
製品型番 | ZT-D40710B-10P | Founders Edition | Founders Edition | リファレンスモデル | リファレンスモデル |
ベースクロック | 2,310MHz | 2,205MHz | 1,440MHz | 1,720MHz | 1,387MHz |
ゲームクロック | ─ | ─ | ─ | 2,304MHz | 2,025MHz |
ブーストクロック | 2,700MHz | 2,505MHz | 1,710MHz | 2,499MHz | 2,394MHz |
メモリ容量 | 12GB (GDDR6X) | 16GB (GDDR6X) | 10GB (GDDR6X) | 24GB (GDDR6) | 20GB (GDDR6) |
メモリスピード | 21.0Gbps | 22.4Gbps | 19.0Gbps | 20Gbps | 20Gbps |
メモリインターフェイス | 192bit | 256bit | 320bit | 384bit | 320bit |
メモリ帯域幅 | 504GB/s | 716.8GB/s | 760GB/s | 960GB/s | 800GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
Power Limit | 285W | 320W | 320W | ─ | ─ |
GPU PPT(持続/短時間) | ─ | ─ | ─ | 291.0W/349.2W | 257.0W/308.4W |
温度リミット | 84℃ | 83℃ | 83℃ | 不明 | 不明 |
Resizable BAR | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 |
GPUドライバ | GRD 527.62 (31.0.15.2762) | GRD 527.56 (31.0.15.2756) | GRD 527.56 (31.0.15.2756) | 22.12.2 (31.0.14000.61002) | 22.12.2 (31.0.14000.61002) |
各ビデオカードを搭載するベース機材には、Ryzen 7 7700Xを搭載したAMD X670E環境を用意した。
そのほかの機材や条件については以下の通り。
【表3】テスト機材 | |
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CPU | Ryzen 7 7700X (8コア/16スレッド) |
CPUパワーリミット | PPT=142W、TDC=110A、EDC=170A、TjMAX=95℃ |
CPUクーラー | ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%) |
マザーボード | ASRock X670E Taichi [UEFI=1.14.AS06] |
メモリ | DDR5-6000 16GB×2 (2ch、30-38-38-96、1.35V) |
システム用SSD | Samsung SSD 980 PRO 500GB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) |
アプリケーション用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps) |
電源 | 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1200W/80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.963、VBS有効) |
電源プラン | バランス |
計測 | HWiNFO64 Pro v7.34、ラトックシステム RS-BTWATTCH2 |
室温 | 約24℃ |
ベンチマーク結果
今回実施したベンチマークテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「サイバーパンク2077」、「Microsoft Flight Simulator」、「Forza Horizon 5」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「エルデンリング」、「Blender Benchmark」。
3DMark「Speed Way」
3DMark最新のDirectX 12高負荷テストであるSpeed Wayでは、GeForce RTX 4070 Tiが全体3番手のスコアとなる5,489を記録。GeForce RTX 4080を約23%、Radeon RX 7900 XTXを約5%下回る一方で、GeForce RTX 3080を約16%、Radeon RX 7900 XTを約12%上回った。
3DMark「Port Royal」
3DMarkのDirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」でも、14,425を記録したGeForce RTX 4070 Tiは全体3番手だった。GeForce RTX 4080を約19%、Radeon RX 7900 XTXを約7%下回る一方で、GeForce RTX 3080を約22%、Radeon RX 7900 XTを約6%上回った。
3DMark「Time Spy」
3DMarkのDirectX 12テストであるTime Spyでは、標準テストの無印版Time Spyのほかに、高負荷版のExtremeを実行した。
GeForce RTX 4070 Tiのスコアは全体4番手となっており、GeForce RTX 4080を13~15%、Radeon RX 7900 XTXを16~17%、Radeon RX 7900 XTを約8%下回り、GeForce RTX 3080を20~22%上回った。
3DMark「Fire Strike」
3DMarkのDirectX 11テスト「Fire Strike」では、標準テストの無印版Fire Strikeのほか、高負荷版のExtremeとUltraを実行した。
GeForce RTX 4070 Tiのスコアはここでも全体4番手となっており、GeForce RTX 4080を10~20%、Radeon RX 7900 XTXを16~28%、Radeon RX 7900 XTを10~17%下回り、GeForce RTX 3080を14~23%上回った。
3DMark「Wild Life」
3DMarkのVulkanテストである「Wild Life」では、標準テストの無印版Wild Lifeと、高負荷版のExtremeを実行した。
GeForce RTX 4070 Tiのスコアは全体3番手となっており、GeForce RTX 4080を13~22%、Radeon RX 7900 XTXを2~13%下回る一方で、GeForce RTX 3080を20~29%、Radeon RX 7900 XTを約4%上回った。
3DMark「DirectX Raytracing feature test」
DXRによるリアルタイムレイトレーシング性能の計測に特化した3DMarkの「DirectX Raytracing feature test」では、GeForce RTX 4070 TiはGeForce RTX 4080に次ぐ全体2番手の平均フレームレートを記録した。
GeForce RTX 4070 TiはGeForce RTX 4080を約18%下回る一方で、GeForce RTX 3080を約42%、Radeon RX 7900 XTXを約40%、Radeon RX 7900 XTを約63%と大きく上回っており、レイトレーシング性能自体は前世代やライバルを上回っていることが分かる。
3DMark「PCI Express feature test」
3DMark「PCI Express feature test」は、バスインターフェイスの帯域幅を計測するテストだ。
今回テストしたGPUのバスインターフェイスはいずれもPCIe 4.0 x16であり、計測結果も26~27GB/s程度で横並びとなっている。
3DMark「NVIDIA DLSS feature test」
NVIDIAの独自技術であるDLSS性能をテストする「NVIDIA DLSS feature test」では、フレーム生成が有効なDLSS 3と、超解像のみを行なうDLSS 2でテストを行なった。なお、どちらも画面解像度を「3,840×2,160ドット」、DLSSの品質モードは「Performance」に設定している。
超解像とフレーム生成が有効なDLSS 3を用いた場合、GeForce RTX 4070 Tiの平均フレームレートは107.34fpsを記録しており、無効時の30.27fpsから約255%上昇した。フレームレートの上昇率はGeForce RTX 4080(約243%)とほぼ同等だ。
一方、超解像のみを行なうDLSS 2を用いたGeForce RTX 4070の平均フレームレートは82.44fpsで、無効時の30.75fpsから約168%上昇している。こちらもフレームレートの上昇率はGeForce RTX 4080(約161%)やGeForce RTX 3080(約160%)とほぼ同等だった。
VRMark
VRMarkでは、「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」を実行した。
Orange RoomについてはCPUがボトルネックとなっており、GeForceは約430fps程度、Radeonは400fps程度でフレームレートが頭打ちになっている。結果的にGeForce RTX 4070 TiはRadeon RX 7900シリーズを10%ほど上回っているが、これはGPU性能を反映したものではない。
Cyan RoomでGeForce RTX 4070 Tiが記録したスコアは全体4番手で、GeForce RTX 4080を約11%、Radeon RX 7900 XTXを約18%、Radeon RX 7900 XTを約8%下回る一方、GeForce RTX 3080を約26%上回った。
5K解像度で実行されるBlue RoomでもGeForce RTX 4070 Tiのスコアは全体4番手で、GeForce RTX 4080を約20%、Radeon RX 7900 XTXを約21%、Radeon RX 7900 XTを約5%下回る一方、GeForce RTX 3080を約19%上回った。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 4070 TiはRadeon RX 7900 XTと近いスコアを記録しており、4K解像度で約5%下回る一方、WQHDで約1%、フルHDでは約5%上回っている。
そのほかのGPUとの比較では、GeForce RTX 4080を7~20%、Radeon RX 7900 XTXを1~18%下回り、GeForce RTX 3080を9~15%上回った。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、画質プリセットを「高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 4070 Tiのスコアは全体3番手で、GeForce RTX 4080を5~22%、Radeon RX 7900 XTXを3~17%下回った一方で、GeForce RTX 3080を11~19%、Radeon RX 7900 XTを2~4%上回った。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、DLSS 3対応ベータ版を使って、グラフィックプリセットの「レイトレーシング:ウルトラ」をベースに、DLSSの超解像とフレーム生成の有り無しでパフォーマンスを計測した。DLSSの品質モードについては、フルHDとWQHDは「クオリティ」、4Kは「パフォーマンス」に設定している。
DLSS機能無効時は、GeForce RTX 4070 Tiが全体2番手のフレームレートを記録しており、GeForce RTX 4080を18~35%下回った一方で、GeForce RTX 3080を18~174%、Radeon RX 7900 XTXを15~22%、Radeon RX 7900 XTを34~37%上回った。なお、4KでGeForce RTX 3080と大差がついているのは、VRAM使用量が10GBを超過するため、GeForce RTX 3080がメモリ不足に陥ったからだ。
DLSSの超解像のみを有効化した場合、GeForce RTX 4070 TiはフルHDでGeForce RTX 4080と同等のフレームレート(約115fps)を記録しているが、これはCPUのボトルネックで頭打ちになった結果で、WQHD以上ではGeForce RTX 4080を15~19%下回っている。一方、前世代との比較ではGeForce RTX 3080を16~21%上回った。
DLSSの超解像に加えてフレーム生成まで行なった場合、GeForce RTX 4070 TiはGeForce RTX 4080を10~18%下回った。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、画質プリセットを「ウルトラ」に設定して、DLSSの超解像とフレーム生成の有り無しでパフォーマンスを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」で、DLSSの品質モードはネイティブ解像度でレンダリングを行なう「DLAA」に設定している。
DLSS機能無効時については、CPUのボトルネックによって各GPUのフレームレートは頭打ち気味だが、ややRadeon RX 7900シリーズの方が高いフレームレートとなっている。明確にGPU性能が反映されている4Kにおいて、GeForce RTX 4070 Tiは全体4番手となっており、GeForce RTX 4080を約13%、Radeon RX 7900 XTXを約14%、Radeon RX 7900 XTを約1%下回る一方、GeForce RTX 3080を約17%上回った。
DLSSのアンチエイリアス機能をDLAA設定で有効化した場合も、WQHD以下ではCPUのボトルネックが発生しており、各GPUが同程度の平均フレームレート(64fps弱)を記録している。4Kでは、GeForce RTX 4080を約13%を約12%下回り、GeForce RTX 3080を約21%上回った。
DLSS 3のフレーム生成を有効にした場合のGeForce RTX 4070 Tiは、WQHD以下では130fps弱の平均フレームレートを記録してGeForce RTX 4080と横並びとなっている。4Kでの平均フレームレートは72.1fpsで、100.1fpsを記録したGeForce RTX 4080を約28%下回った。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、画質プリセットを「エクストリーム」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 4070 Tiの平均フレームレートは全体3番手で、GeForce RTX 4080を6~16%、Radeon RX 7900 XTXを2~10%下回った一方で、GeForce RTX 3080を19~25%、Radeon RX 7900 XTを1~8%上回った。
DIRT 5
DIRT 5では、画質プリセットを「Ultra High」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。全ての条件でレイトレーシング(Raytraced Vehicle Shadows)を有効にしている。
GeForce RTX 4070 Tiの平均フレームレートは全体4番手で、GeForce RTX 4080を16~20%、Radeon RX 7900 XTXを11~24%、Radeon RX 7900 XTを5~10%下回った一方で、GeForce RTX 3080を17~25%上回った。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、NaniteとLumen(およびハードウェアレイトレーシング)を有効にした設定や、アンチエイリアスを「TSR最高」にした設定などでフレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」。
NaniteおよびLumen無効時のGeForce RTX 4070 Tiは、Radeon RX 7900 XTXをフルHDで約3%上回ったものの、WQHD以下では逆に1~10%下回った。そのほかのGPUとの比較では、GeForce RTX 4080を6~19%下回った一方で、GeForce RTX 3080を17~24%、Radeon RX 7900 XTを7~12%上回った。
NaniteとLumenを有効化した場合、GeForce RTX 4070 Tiの平均フレームレートはRadeon RX 7900 XTとほぼ同程度となっている。そのほかのGPUとの比較では、GeForce RTX 4080を14~19%、Radeon RX 7900 XTXを10~15%下回った一方で、GeForce RTX 3080を15~23%上回った。
NaniteとLumenを有効化した状態でアンチエイリアスを「TSR最高」にした場合も、GeForce RTX 4070 Tiの平均フレームレートはRadeon RX 7900 XTとほぼ同程度だ。そのほかのGPUとの比較では、GeForce RTX 4080を12~15%、Radeon RX 7900 XTXを7~12%下回った一方で、GeForce RTX 3080を22~25%上回った。
エーペックスレジェンズ
エーペックスレジェンズでは、描画設定を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。
GeForce RTX 4070 Tiの平均フレームレートは全体4番手で、GeForce RTX 4080を7~17%、Radeon RX 7900 XTXを10~16%、Radeon RX 7900 XTを2~8%下回った一方で、GeForce RTX 3080を21~23%上回った。
オーバーウォッチ 2
オーバーウォッチ 2では、描画品質をもっとも高い「エピック」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。
GeForce RTX 4070 Tiは、Radeon RX 7900 XTをフルHDで約7%上回ったものの、WQHD以下では逆に5~6%下回った。そのほかのGPUとの比較では、GeForce RTX 4080を17~25%、Radeon RX 7900 XTXを11~20%下回った一方で、GeForce RTX 3080を9~28%上回った。
アサシン クリード ヴァルハラ
アサシン クリード ヴァルハラでは、画質プリセットを「最高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 4070 Tiの平均フレームレートは全体4番手で、GeForce RTX 4080を10~13%、Radeon RX 7900 XTXを17~23%、Radeon RX 7900 XTを6~9%下回った一方で、GeForce RTX 3080を15~21%上回った。
モンスターハンターライズ:サンブレイク
モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、画質プリセットを「高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。
フルHDとWQHDではCPUのボトルネックでフレームレートが頭打ちとなっており、GPU性能が反映された結果とはなっていないが、ドライバの違いなどによるものか、Radeon RX 7900シリーズの方がやや高いフレームレートが出るようだ。
4Kではフレームレートに差がついているが、GeForce RTX 4070 TiはGeForce RTX 3080とほぼ同等となっており、GeForce RTX 4080を約23%、Radeon RX 7900 XTXを約24%、Radeon RX 7900 XTを約9%下回った。
エルデンリング
エルデンリングでは、画質プリセットを「最高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。ゲームの上限フレームレートは60fpsで、自動描画調整は無効にしている。
結果的には、全てのGPUで平均フレームレートが上限の60fpsに達しており、GPU性能の差はフレームレートに反映されていない。後ほど紹介する消費電力とワットパフォーマンスの計測結果に注目だ。
Blender Benchmark 3.1.0
Blender Benchmark 3.1.0では、標準で用意されている3つのシーン(monster、Junkshop、classroom)をテストした。テストに用いたBlenderのバージョンは「3.4.0」。
GeForce RTX 4070 Tiは全体2番手のパフォーマンスを発揮しており、GeForce RTX 4080を21~26%下回った一方で、GeForce RTX 3080を12~62%、Radeon RX 7900 XTXを80~123%、Radeon RX 7900 XTを112~157%上回った。
システムの消費電力とワットパフォーマンス
ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。
GeForce RTX 4070 Tiは、ビデオカードが豪華仕様のオーバークロックモデルであるためかアイドル時消費電力は109.2Wとなっており、これは2番手のRadeon RX 7900 XTXの98.1Wより10W以上高い数値だった。
ベンチマーク実行中のGeForce RTX 4070 Ti搭載システムが記録した平均消費電力は342.9~447.5Wで、これはGPU負荷が低めのWild Lifeやエルデンリング以外では、比較製品中もっとも低い消費電力となっている。
フレームレートの制限で各GPUのパフォーマンスが横並びとなっているエルデンリングにおいて、GeForce RTX 4070 Tiは平均342.9Wを記録しており、これは平均269.8Wで全体ベストだったGeForce RTX 4080に次ぐ数値だ。これは、GPUの能力的に余裕があることと、省電力機能が無駄な電力を効果的にカットしていることを示すものだ。
ベンチマーク実行中のシステム平均消費電力で、ベンチマークスコアや平均フレームレートを割ることによって求めた「ワットパフォーマンス」をまとめてみた。また、GeForce RTX 3080を基準に指数化したグラフも用意した。
GeForce RTX 4070 Ti搭載システムのワットパフォーマンスは、GeForce RTX 3080搭載システムを34~49%上回っており、比較製品全体ではGeForce RTX 4080搭載システムに次ぐ電力効率を実現している。
GeForce RTX 4080との間には少なからず差がついているが、システムの消費電力に占めるビデオカード消費電力の割合が小さくなることや、Radeon RX 7900シリーズ搭載システムより明らかに高効率である点を考慮すると、GeForce RTX 4070 Ti自体はかなりワットパフォーマンスに優れたGPUであろうことが伺える。
ベンチマーク実行中のモニタリングデータ
モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v7.34を使って取得した、FINAL FANTASY XVベンチマーク(4K/高品質)実行中のモニタリングデータから、GPU温度などをまとめてみた。
GeForce RTX 4070 TiのGPU温度は最大65.6℃(平均60.9℃)で、メモリ温度は最大62.0℃(平均58.6℃)。GPU消費電力のGPU Powerは274.5W(平均250.3W)で電力リミットの285Wを下回っている。
温度的にも電力的にもリミットを下回っていることもあり、GPUクロックは最大2,910MHzの平均2,892MHz、メモリクロックは平均最大ともに2,626MHzと、ほぼ一貫したブーストクロックを維持している。
前世代のハイエンドを上回る性能を799ドルで実現するGeForce RTX 4070 Ti
GeForce RTX 4070 Tiは、前世代であるGeForce RTX 3080を上回る性能を備えており、新機軸のフレーム生成を含むDLSS 3のフル機能を利用できる点も踏まえると、市場想定価格の近いRadeon RX 7900シリーズ相手にも十分な競争力を備えたGPUであると言える。
799ドルという市場想定価格はGeForce RTX 4070 Tiの性能に相応しいものではあるが、単純に1ドル132円で計算しても10万円を超える高額パーツだ。現実には899ドルのRadeon RX 7900 XTに近い価格で販売されるものと予想されるが、より多くのユーザーが魅力を感じられる価格での登場を期待したい。