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PC=職場という新しい認識にマッチした第11世代vPro搭載ノート

vProの概要

 インテル株式会社は9日、オンラインで日本の報道関係者向けに第11世代vProプロセッサに関する説明会を開催した。

 新型コロナウイルス感染症による影響が出ているなか、世界的にテレワークなどリモートで働くための技術のニーズがこの1年間大きく高まり、在宅で勤務する機会が激増。そのさいの必須品となったのがPCであり、PC=職場であるという認知が高まってきている。

 その一方で、日本に限って言えば、2011年の東日本大震災のさいにも、2015年頃から政府が推し進めている働き方改革においても、フレキシブルなPCの利活用が促進されてきた。2010年頃までは、セキュリティの観点でPCは社外持ち出し禁止とする会社は多かったが、これらを経験してからは、許容する方向で社会全体が動いている。

 ただ、じつはインテルにとって、リモートでの働き方を支援する技術「vPro」は、2003年から一貫したコンセプトとして提供しており、変わっていない。それはリモートでも安全、快適に使え、なおかつ容易に管理するための機能であるからだ。

インテルが提供しているさまざまな技術

安全、快適、容易に使える第11世代vPro

 その最新の第11世代vProでは、そのコンセプトに基づいてさらなる強化を遂げており、より安全、快適、容易に使えるようになっているのがウリであるという。

第11世代Core vProプロセッサの特徴

 安全面で言えば、「ハードウェア・シールド」というハードウェアベースのセキュリティ機能により、ROP/COP/JOPといったプログラミング技法を悪用した脅威を検出する「コントロールフロー・エンフォースメント・テクノロジー」や、ランサムウェアやクリプトマイニング攻撃を遮断できる「スレット・ディテクション・テクノロジー」などをCPUに内包し、ソフトウェアやOSレベルでは検出が難しい脅威に対応できるようになっている。

 2018年初頭に、プロセッサの投機実行を悪用したサイドチャネル攻撃が話題になって久しいが、それ以降インテルはバグバウンティ補償制度を用意したり、セキュリティコミュニティと連携して問題発掘に取り組むなど、セキュリティへの取り組みについてはかなり積極的な姿勢を示している。内部でも、セキュリティレジデンスを評価する専門チームやクロスファンクションチームを用意し、あらゆる段階でセキュリティを加味し、製品を構築しているとした。

インテルのセキュリティへの取り組み
ハードウェア・シールドの仕組み
コントロールフローエンフォースメント・テクノロジーとスレット・ディテクション・テクノロジー

 一方、快適性においては、AV1アクセラレーションなどを盛り込んだIris Xeグラフィックスが、ビデオ会議における動画のオフロード処理を適切に行なえ、バッテリ駆動時間の延長およびCPUリソースの節約につながる。また、グラフィックス演算性能が高まったことで、コンテンツクリエーションも快適に行なえるようになったとする。

 さらに、AI処理を8倍高速に行なえる命令集をサポートし、ビデオ会議で背景をぼかす処理も高速に低負荷で行なえるようになった。インテルによると、いまや職業に関わらず音声とビデオを使った会議が当たり前となっていて、それは数年前には想像し得なかったものだという。第11世代vProプロセッサは、この時代のニーズにマッチできるのだという。

前世代製品からの性能向上
競合のRyzen 7 Pro 4750UとCore vPro i7-1185G7を比較しても優位性があるとしている
コラボレーションや生産性、接続性の実現のためのさまざまな技術
AI処理の高速化

 社外でPCを使うさいに課題となるのはセキュリティのみならず、管理性も重要になる。企業内のヘルプデスクがユーザーの自宅に伺って問題解決することができないからだ。そのために用意しているのが、第10世代vProでも使えた無償の「エンドポイント・マネージメント・アシスタント」だ。クラウドベースで利用可能なため、ファイヤーウォールなどを超えてリモートで容易に管理できるという。このため、日本においても導入が進んでいるとした。

エンドポイント・マネージメント・アシスタントにより、ファイヤーウォールを超えた管理が容易に行なえる

最高峰のビジネスPCは「Evo vProプラットフォーム」

 第11世代Core vProプロセッサは、上記のさまざまな機能を備えたもので、現在はCore vPro i7-1185G7/i5-1145G7(12~28W)、Core vPro i7-1180G7/i5-1140G7(7~15W)という4つのSKUが用意されている。ただ、vProは機能への要件であって、プラットフォーム全体としての体験を約束するものではない。そこで、モバイルノートとして選ぶさいは、「Evo vProプラットフォーム」に準拠したロゴがついている製品選ぶと良い、という目安を示した。

vProの特徴

 Evo vProプラットフォームではvProの基本的な要件に加えて、コンシューマ向けのEvoプラットフォーム(Project Athena第2版)の要件も満たしている必要がある、PCメーカーとしては2段階の検証をクリアしてはじめて貼られるロゴだからだ。

 Evoプラットフォームでは、コネクテッド・スタンバイという1秒以内の復帰、指紋/顔またはBluetoothスマートフォン近接による生体認証、8GB以上のデュアルチャネルメモリ、256GB以上のNVMe SSD、遠距離からの音声コントロール、USB Type-C経由の高速充電(30分で4時間駆動)、Wi-Fi 6/Thunderbolt 4の接続性、15mm以下の厚さ、9時間以上のバッテリ駆動……など、PCとして使ったときに快適に感じられる、細かい仕様が定められている。

Evo vProプラットフォームでは、vPro要件に加えて、ノートPC全体としての体験を引き上げるさまざまなEvo要件もクリアしなければならない

 つまり、Evo vProプラットフォームに準拠した製品を購入すれば、プロセッサとしての安全性、快適性、管理性が約束されるだけでなく、PC全体としての高い次元の体験が保証されるとし、その優位性を企業ユーザーに訴えた。