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自民党本部で日本マイクロソフトがWindows 10の新機能を議員に直接講義
~Cortanaのデモも
(2015/9/16 12:14)
IT戦略特命委員会インターネットメディア利活用推進議員連盟合同会議が16日、自民党本部で開催された。本会議の議題は「クラウド時代の新しいプラットフォーム(Windows 10)」について、となっており、日本マイクロソフトの担当者が新OSの変更点や見所などについて、自民党議員や高官らに直接解説した。
日本マイクロソフトは、かねてから議員連盟や政府などと意見交換を行なっており、今回の説明会もその一環となるもの。業務分野ではWindowsのシェアは絶大で、そのOSがバージョンアップされるというのは、バージョンアップ費用が無料ということもあり、多方面にインパクトを与えるため、それを受けた開催の運びだが、政府関係者に対して新OSの技術解説に的を絞って説明するというのは近年では初めてだという。
会合では、日本マイクロソフトWindows本部シニアマネージャーの西野道子氏が、同社の方針やWindows 10の特徴を概説し、業務執行役員エバンジェリストの西脇資哲氏が、Surface Pro 3などを使って、新機能を実演した。
西脇氏はまず、Windows 10はキーボード、マウス、タッチの各操作やUIがOS XとiOSのように分断されていない点や、SurfaceシリーズではiPadに先んじてペンや着脱式のキーボードを投入した先見の明などを挙げ、しばしば競合となるApple製品に対する牽制を行ないつつ、Windows 10が過去のXPや7にも、先の8のユーザーにも馴染みやすい操作体系となっていることを説明した。
具体例としては、スタートメニューとライブタイルを統合したスタート画面がその一例だが、単に馴染みやすいだけでなく、メニューの階層を辿っていかずとも、例えば「WiFi」と検索ボックスに入力するだけで「Wi-Fiの設定変更」が表示されるなど、より使いやすいものになっているとした。
また、検索はテキスト入力だけでなく、現在Windows Insider Program向けに試験提供されているCortanaによって、音声での検索や、結果の出力、操作ができることも紹介された。日本語版Cortanaはまだ開発途中の段階だが、西脇氏が音声でカレンダーに予定の追加を指示、件名の変更を行ない、最終的にCortanaが、その予定が他の予定とバッティングしていることを自然な日本語で指摘すると、会場はどよめいた。現時点の日本語版Cortanaは完全な合成音声だが、現在プロの声優を使った吹き込みなどを行なっており、完成版ではより流暢にしゃべるようになるという。
セキュリティについても、かなり込み入ったデモが行なわれた。西脇氏は、従来のユーザー名とパスワードによるログインは危険だと指摘する。と言うのも、入力しているところを第三者に盗み見られると、他のマシンからそのアカウントでログインされる可能性があるからだ。特に国会議員ともなれば、情報漏洩などには気を配る必要がある。
その対策の1つとして、Windows 10では、「Windows Hello」と呼ばれる生体認証機能が標準実装された。まだ対応製品は少ないが、対応の3Dカメラ搭載PCでは顔認証でログインできる。3Dカメラは奥行きも認識するので、写真をかざしてもログインはできない。また、双子を識別できるほどの精度を持っている。また、Windows Helloに対応できないマシンでも、スマートフォンのようにPINによるログインもできる。これらの、生体認証情報やPINは、個別の端末と結びついているため、万が一その情報が漏洩しても、他のマシンからはログインできない。また、これらのセキュリティ情報は、端末内に保存され、Microsoftのサーバーなどにアップロードされることはないので、安心して利用して欲しいとした。
このほか、スマートフォンを使った2段階認証により、さらにセキュリティを強化できる点や、標準機能ではないが、端末を紛失した際などにリモートからロックできる点も紹介された。
もう1つWindows 10の大きな特徴は、従来のPCだけでなく、今後スマートフォンやIoT機器向けにも提供される点だ。既に先行導入事例もあり、ロンドンの地下鉄では、電車はもとより、エレベーター、エスカレーター、券売機、改札、監視カメラなどあらゆるものにWindows 10を搭載したIoTシステムが内蔵され、動作状況をさまざまな観点から監視できるようになっている。そこから得られたデータを活用することで、インフラをより安定した長持ちするものに強化できるという。
一方、議員からは、あらゆるシステムがWindowsに置き換わることで開発や管理がしやすくなったとしても、脆弱性を突かれて一気にインフラが麻痺するような事態は起きないのかという懸念も出た。
これについて日本マイクロソフトチーフセキュリティアドバイザーの高橋正和氏は、同社にはこれまでに培ってきた長年の経験があり、Windows 10は機能上、運用上もあらゆる対策を施した最も安全なOSであると述べたほか、万が一問題が起きたとしても、今後爆発的に数が増えるであろうIoT機器の中で、同社製品を使ったものなら、責任の所在が明確であるため、対策が迅速にできると答えた。また、IoT向けには無償のライセンスも用意されるため、追加のコストなしで開発ができることもアピールした。
このほか、無償アップグレードに関する点など、かなりの数の質問がなされ、参加議員らの新OSに対する関心の高さが窺われた。既にWindows 10にアップグレードした議員や、OneDriveなどを使いこなしている議員、中には説明会の最中に自身のFacebookにてフォロワーに聞きたいことはないかと質問を募っている議員もおり、思いの外、ICTは永田町でも利活用されているようだ。
日本マイクロソフトでは、今後も次期Office 2016やHoloLensといった最新機器についても、こういった説明会の場を設けていく予定があるという。