HHKBに指を支配されたライターの告白【ライタージャイアン鈴木の場合】

　「キーボード黙示録」とは、またずいぶん面白そうな連載が始まりましたね。個人的にも、同業ライターの皆さんがどのようなキーボードを使っているのか、以前から気になっていたところです。

　さて、本連載について私にも執筆の依頼があり、いま原稿を書き始めたところです。現在、筆者が愛用しているキーボードは「HHKB Professional BT」。そこでHHKBの魅力について存分に語ろうと思ったのですが、編集者の劉氏がすでにコチラでしっかり語っているではありませんか。内容がかぶりますね。困りましたね。

　というわけで、スペックや基本的な解説については劉氏の記事に丸投げするとして、今回は「なぜ2018年に発売されたキーボードを、いまなお使い続けているのか？」という理由……つまり「想い」をお伝えしたいと思います。

　理由はいたってシンプルです。

　打鍵感がよい。慣れている。壊れない。

　……これだけで原稿料をいただくのは、さすがに罪悪感を覚えます。というわけで、もう少しだけ補足しますね。

　HHKBの静電容量無接点方式は、とにかく打鍵感が素晴らしいです。私は自宅で仕事をしていると、かなり強めにキーを叩くクセがあるのですが(特にEnterキー)、底打ちするほど「スコーン！」と打ち抜いても、しなやかに受け止めてくれます。指に不快な反動が返ってくることもなく、キーボードのボディがきしんだり、「ビビーン」とした振動が伝わることもありません。

サイズ感も気に入っているポイント

　「慣れている」、「壊れない」という理由は、正直これ以上あまり膨らませようがないのですが、もはや私の指はある意味「HHKBの奴隷」状態と言ってもよいでしょう。どれだけ高品質なキーボードを新たに購入しても(実際、ゲーミングキーボードを何度か購入しました)、結局どこかに違和感を覚えてしまい、最終的にはHHKBに出戻っています。ノートPCのキーボードであれば、フィーリングがまったく違うので逆に適応しやすいのですが、デスクトップPC用キーボードは、もう乗り換えられる気がしません。

　もっとも、購入当初からまったく不満がなかったわけではありません。私は日本語配列のかな無刻印モデルを選んだのですが、キートップの文字が斜めからだとほとんど読めなかったんですよね。基本的な文字入力は問題ありませんが、一部の記号キーはいまだに覚えきれていません。そこで、Enter、Space、Controlキー以外は白色のキーキャップを購入して入れ替えました。黒一色のスマートさは失われましたが、結果的にツートンカラーとなり、ポップで、アバンギャルド(？)な雰囲気が気に入っています。

　なお、せっかくのBluetoothモデルではあるのですが、現在はUSB接続で使用しています。理由はシンプルで、電池の液漏れが怖いから。よほど放置しない限り可能性は低いとはいえ、ゼロではありません。もし液漏れでHHKBが使えなくなったら……と想像すると、そのリスクに耐えられないのです。

Bluetoothモデルですが、現在はUSB接続で運用しています

　そろそろ原稿料をいただける文字量になってきましたか？　……まだ足りませんか。困りました。では最後に、私がどうしても使いこなせなかった超絶変態キーボード「Chassepot C1000」をご紹介しましょう。

ドン！

ドドン！

　見た目はとにかく格好いいキーボードなのですが、キー配列があまりにも独特すぎて、常にキートップを凝視しないと文字入力できませんでした。しかも現在では、ユーティリティソフト「Chassepot Power Console」もダウンロードできないようです。久しぶりに押し入れから引っ張り出して通電させてみましたが、結局、丁寧にパッケージへ戻し、そっと倉庫に仕舞いました。

　……などと「Chassepot C1000」を変態呼ばわりしてしまいましたが、もし人生で最初に触れたキーボードがこれだったなら、「Chassepot C1000こそ至高！」という記事を書いていたかもしれません。結局のところ、人間は慣れているキーボードが一番なのです。

　これから「PC Watchのキーボード黙示録」には、きっと魅力的な製品が続々と登場することでしょう。しかし、よほど明確な理由がない限り、安易に乗り換えないほうが無難だと思います。くれぐれもご注意ください。