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MSI初のゲーミング特化マザーボード「Z77A-GD65 GAMING」を見る
(2013/4/3 00:00)
エムエスアイコンピュータージャパン株式会社(MSI)は、Intel Z77 Expressチップセットを搭載したゲーミングマザーボードを4月下旬にも発売する。すでに日本語での製品ページも掲載されている。
これまで、オーバークロッカー向けのマザーボード「Big-Bang」シリーズがあり、型番に“G”を含むものをゲーミング向けとはしていたものの、ブランドとして明確にゲーマー向けと位置付けて投入するのは初めてとなる。今回、国内での正式な発表に先立って実際の製品を借用できたので写真中心に紹介したい。
まずパッケージは、MSIのゲーミングブランドに沿ったデザインが採用される。ドラゴン(龍)のキャラクターと、黒と赤を基調にしたものだ。このデザインは、ゲーミングノートPCやビデオカードでも採用されており、統一したイメージでブランディングが行なわれている。
同梱物もゲーマー向けであることを意識したものが含まれる。例えば、盾をモチーフにしたMSIゲーミングシリーズのバッジのほか、ドアハンガーを付属。ドアハンガーは、ホテルの部屋に用意されている“Do Not Disturb(邪魔をしないで/立ち入らないでください)”というサインと同様のものである。こうしたグッズは、過去にXFXがビデオカード製品に同梱していた時期がある。
I/Oリアパネルも黒に赤字というMSIゲーミングシリーズのブランディングに沿ったデザインになっている。
ドラゴンをモチーフにしたヒートシンクが目を引く
ボード本体で目を引くのが、黒で統一された基板やコネクタと、ヒートシンクにあしらわれた赤いデザインだろう。これは同社も相当こだわっているとのことで、黒にできる部分は黒色にしたとのことである。例えば、先に紹介した付属のI/Oリアパネルもそうだ。I/Oパネルの金属部分はコストの関係で断念したそうだが、ミニD-Sub15ピンだけは黒にするなど、ささやかながらこだわりを見せている。
ヒートシンクは、チップセット上に搭載する長方形のものと、2個のヒートシンクをヒートパイプで接続したものをVRM部に搭載する。製品の型番からベースになったことが推測される「Z77A-GD65」から形状やレイアウトは踏襲している。
ヒートシンクの赤は、梨地とまではいわないが、ツヤのない落ち着いた赤色になっており、同社Webページや製品パッケージからイメージされる真紅のイメージとはやや異なるものとなっている。ただ、これは善し悪しというよりは好みの問題と言える。
ちなみに、チップセット上のヒートシンクに大きくドラゴンが描かれているのが目に留まるが、実はVRM部のヒートシンクも横から見るとドラゴンの形状になっている。デザイン優先で採用されたものと思われるが、ドラゴンの角やヒレで表面積を稼ぐなどの工夫も見られ、このデザインを成立させるための苦労もあったのではないかと思われる。
Killer NICの採用やミリタリークラスIII準拠がゲーミングシリーズの条件
機能面では、Qualcomm AtherosのKiller LANコントローラの搭載を特徴とする。採用されているチップはKiller E2200シリーズの「E2205」となる。パケットの処理優先度を決めることでゲームにおけるレスポンスを向上させるなどの特徴は引き継ぎつつ、以前のE2100シリーズに比べてチップサイズが大幅に小さくなり、省電力化もされたコントローラとなる。
MSIのゲーミングノートに採用されているほか、GIGABYTEの「G1.Sniper 3」シリーズでも「E2201」が採用されており、E2100シリーズからE2200シリーズへ移行しつつある。
また、同社独自の品質基準である「ミリタリークラスIIIコンポーネント」の5つ星に準拠。先のKiller LANとミリタリーIIIコンポーネントへの準拠は、ゲーミングシリーズ全てが網羅するとのこと。ただし、ミリタリーIIIコンポーネントには星の数によるランクがあるが、これは製品によって異なるとのことだ。
このほか、ゲーミング製品らしいポイントとしては、PS/2とUSBポートの一部が「ゲーミング・デバイス・ポート」と名付けられ、金メッキを厚くした端子になっている。メッキの厚さは同社の通常モデルの3倍で、耐久性を10倍に高めているほか、導電性をよくなるため高ポーリングレートのマウスの反応が良くなるという。ただし、ゲーミング・デバイス・ポートはゲーミングシリーズ以外の製品にも採用されている。
ちなみに高ポーリングレートマウスへの対応というと、ASRockが採用している「Fatal1ty F-Stream」と呼ばれるポーリングレート変更機能を思い浮かべる人もいるかと思う。たが、MSIのゲーミングポートは、そうしたポーリングレートの変更までは行なっていないとのことで、あくまで導電性を高めることによる応答速度の向上のみだという。
基本的なスペックはおおむね既存モデルのZ77A-GD65を踏襲しているが、メモリ対応が強化されており、Tトポロジ配線とすることでDDR3-3000までのオーバークロックが可能になっている。また、Z77A-GD65ではサウンド機能がTHXブランドの「TruStudio PRO」に対応するが、本製品ではCeativeブランドの「Sound Blaster Cinema」へ変更されている。
そのほかのボード上の特徴は以下に写真で紹介する。
本製品は店頭予想価格が19,980円前後とされており、現在1万台半ばよりやや高いあたりの価格付けとなっているZ77A-GD65より1,000~2,000円ほど高価になる。一方で、オーバークロッカー向けの「Z77 MPower」よりは若干安価になる見込みだ。
また、ゲーミングシリーズマザーボードのWebサイトに情報が掲載されているように、Intel Z77 Express搭載製品でもより安価なモデルや、Intel B75 Expressチップセットを搭載した製品も予定されており、最廉価モデルは1万円を切る価格が予定されているという。ゲーマー向けをアピールする製品のわりにコストパフォーマンスも悪くない製品が揃いそうである。
ちなみに、Intelの次期プロセッサである「Haswell」(開発コード名)の登場が近いとされるこの時期にIntel 7シリーズで登場することに対しては、年内いっぱいはIvy Bridgeの流通量が大多数になるという予測に基づくもので、今年後半以降にIntel 8シリーズのバージョンを投入する予定としている。
どちらかというとデザイン/イメージのインパクトが強く目に留まってしまうが、Killer LANの搭載はもちろん、メモリのオーバークロック強化やSound Blaster Cinemaの採用など、ゲーマー向けのスペックも着実に盛り込んでいる。一方で、過度に詰め込んだりはしないあたりが、MSIのゲーミングシリーズの“らしさ”になっていくのかも知れない。本製品の発売はもちろん、今後のラインナップ拡充も興味を持って見守りたい。