エルピーダメモリ、会社更生手続きの開始を申し立て

2月27日 発表



 エルピーダメモリ株式会社は2月27日、会社更生手続きの開始を申し立てたことを明らかにした。

 申立は同日受理され、東京地方裁判所より弁済禁止などの保全処分命令、強制執行などに係わる包括的禁止命令、および監督命令兼調査命令が発令された。負債額は4,480億3,300万円。

 エルピーダメモリは国内唯一のDRAM専業会社として、1999年12月に「エヌイーシー日立メモリ株式会社」の称号で設立された。2000年4月から製品の開発を開始し、5月にエルピーダメモリへ商号変更を行なった。

 その後、国外における営業拠点法人の設立や広島工場における製造事業の開始によって事業を拡大し、2005年11月には東証証券取引所市場第一部に株式上場。また、広島工場への設備投資や、DRAMに関する後工程を行なう完全子会社である秋田エルピーダの設立、前工程を担う合弁会社Rexchip Electronics Corporationの設立、その後の子会社化など、事業展開を行なった。

 しかし、PC出荷台数や、1台あたりのDRAM搭載量の増加による需要拡大期待を背景に、2006年から2007年にかけて積極的な設備投資による製造能力増強を行なった結果、供給が需要を大幅に上回り、2007年初頭からDRAMの価格が急落。その後も世界の経済環境悪化などによりさらに価格が下落し、2009年期決算では大幅な業績悪化となった。

 業績は悪化したものの、世界トップクラスのDRAMの開発/設計技術を有していることを評価され、生産の向上を目指すことを目的として、2009年6月に経済産業省より「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別処置法」に基づく事業再構築計画の認定を受けた。

 それ以降、プレミアDRAMを中心とした最先端の研究開発や、高い生産性を実現する設備への投資などを行ない、技術優位性の維持や生産性の向上を目指したが、2010年以降の為替市場における歴史的な円高、DRAM業界における競争激化、DRAM製品の価格急落など、経営環境がさらに悪化。改善が見られないままタイ洪水によるDRAM需要の低迷に見舞われた。

 これらの過程により、エルピーダメモリはこのまま自力で事業継続をした場合、資金繰りが早晩破綻することが必至な状況となった。また、破綻が現実化した場合、企業価値が著しく毀損し、スポンサーによる資金提供なども事実上絶たれ、債権者などに対し迷惑をかけることが想定された。そのためやむを得ず会社更生法の手続きを行ない、抜本的な財務及び事業の再構築を行なうことで、会社の再建を目指すとした。

 なお、子会社である秋田エルピーダメモリ株式会社についても、同日付けで会社更生手続きを開始した。

(2012年 2月 27日)

[Reported by 劉 尭]