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Claude Opus 4.8超えの予測力、マルチモーダルLLM「Inkling」無償公開

 「Claude Opus 4.8」や「GPT-5.5」を将来予測の的中度で上回るオープンウェイトLLMが登場した。Thinking Machines Labは7月15日(現地時間)、同社初のオープンウェイトモデル「Inkling」を公開した。モデルの重みはApache 2.0ライセンスなどのもと、Hugging Faceで無償公開されている。なお、軽量版「Inkling-Small」の重みも公開される予定だ。同社は、OpenAIで「ChatGPT」などの開発を率いた元CTO(最高技術責任者)のMira Murati(ミラ・ムラティ)氏が2025年に設立したAI企業だ。

 Inklingは、総パラメータ数9,750億でアクティブパラメータ数410億のエキスパート混合(MoE)アーキテクチャを採用するオープンウェイトLLM。最大100万トークンのコンテキストに対応する。テキストや画像、音声、動画を含む45兆トークンでゼロから事前学習されており、テキストに加えて画像や音声の入力をネイティブに推論できるマルチモーダルモデルだ。

 特徴的なのが、推論時の「思考量」を段階的に制御できる仕組みだ。思考量を上げれば性能が伸び、下げればトークン消費と応答時間を抑えられる。コーディング評価「Terminal Bench 2.1」では、Nemotron 3 Ultraと同等のスコアを約3分の1のトークン消費で達成している。

青線が思考量(effort)を変えたときのInklingの結果。少ないトークン消費で他のオープンモデルと同等のスコアに達している

 クラウドモデルとの比較で目を引くのは、予測の的中度を測る「ForecastBench」(検索なし)ではスコア61.1を記録し、GPT-5.5(59.1)とClaude Opus 4.8(54.6)を上回ったことだ。命令追従の「IFBench」でも79.8%と、比較対象のクラウド上位モデルを超えている。一方、超難関ベンチマークの「HLE(Humanity's Last Exam)」や「SWE-Bench Verified」などでは上位クラウドモデルに及ばない。

 もっとも同社は、単一性能の突出を狙ったモデルではないとしている。実際、Inklingは推論やコーディング、エージェント、命令追従、事実性、画像、音声と幅広い領域にわたって訓練されている。利用者が自分のデータで追加学習(ファインチューニング)し、特定の業務に特化したモデルへ育て上げるための「素体」という位置付けで、幅の広さはその素養といえる。

10種のベンチマークで見たInkling(青)と主要モデルの比較。突出した領域はないが、全方位でバランスよくスコアが伸びている

 Hugging FaceにはBF16版に加え、NVIDIA Blackwell向けのNVFP4版の重みも用意されている。とはいえアクティブ410億パラメータのモデルを個人のPCで動かすのは現実的ではなく、手元で試すなら、アクティブパラメータ数を120億に抑えた軽量版Inkling-Smallが本命になりそうだ。なお、重みを扱わずブラウザで試せる「Inkling Playground」も期間限定で無料開放されている。