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名古屋のeスポーツイベント「ASIA esports EXPO 2026」にマウスがゲーミングPCを提供。その狙いとは?

会場となった愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)

 愛知・名古屋eスポーツ活性化推進委員会および日本eスポーツ協会(JESU)は、3月21日から22日の2日間、eスポーツの展示会「ASIA esports EXPO 2026」を開催した。会場は愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)の展示ホールDで、入場は無料だが、一部ステージ前観覧席は有料となっていた。

 キャッチコピーは「eSPORTSの熱狂をAICHIからASIAへ」で、会場には協賛各社がブースを出展していたほか、「ストリートファイター6」(以下、スト6)や「鉄拳8」、「ポケモンユナイト」の対戦会に加えて、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会が主催の「第20回アジア競技大会」による日本代表候補選手の最終選考競技会も行なわれた。ここで選出された選手がJESUから組織委員会に推薦され、承認されると晴れて日本代表選手として、9月19日から10月4日まで名古屋で行なわれる「第20回アジア競技大会」に出場できる。

 3月21日にはレースゲーム「グランツーリスモ7」とサッカーゲーム「eFootball」、落ちものパズル「ぷよぷよeスポーツ」、22日には格闘ゲーム「ストリートファイター6」、「THE KING OF FIGHTERS XV」、「鉄拳8」の最終選考競技会がそれぞれ行なわれた。今回のアジア競技会において、格闘ゲームは「対戦格闘団体戦」として、これら3タイトルで1つのチームを組んで対戦が行なわれるため、競技会で最終選考される選手は各タイトル1人ずつの狭き門となっている。

2日目は開場前から入口には長蛇の列ができていた
オープニングでは、今回の「ASIA esports EXPO 2026」の公式サポーターを務める、SKE48の現役メンバー7名による女性eスポーツチーム「amshy(アムシー)」のメンバーが登場

 今回の「ASIA esports EXPO 2026」において、機材貸出を行なっているのはマウスコンピューターだ。同社のゲーミングPCであるG TUNE上で、選手たちが日本代表候補選手の最終選考に挑む。

 同社の出展ブースには、大会使用タイトルのうち、「ぷよぷよeスポーツ」、「ストリートファイター6」、「THE KING OF FIGHTERS XV」、「鉄拳8」の4タイトルを、実際に競技で使用しているG TUNE上でプレイできる環境が整えられていた。来場者たちの様子を見ていると、初めてアーケードコントローラに触れる人や、普段からこれらのゲームを楽しむ人など、さまざまな人たちがG TUNE上でのゲームプレイを楽しんでいる様子が見られた。

 ブースの試遊を楽しんだ来場者には、SNSフォローを行なうことで豪華景品が当たる抽選会が実施されており、iiyamaのゲーミングモニターやラピッドトリガー搭載のゲーミングキーボードなど豪華な景品がプレゼントされた。さらに抽選会に参加した人以外にも、SNSフォローやブースでの試遊を楽しんだ人全員に、名古屋にある同社の「マウスコンピューター 名古屋ダイレクトショップ」で利用できる10%オフクーポンがプレゼントされていた。クーポンは利用期限が5月10日までとかなり余裕があるので、個々にベストなタイミングで買い物ができる魅力的なプレゼントと言える。

マウスコンピューターのブース。赤色基調のライティングの中、同社ゲーミングPC G TUNEが複数設置され、大会使用タイトルの多くが試遊できる状態となっていた
「ぷよぷよeスポーツ」がプレイできる試遊台にはホワイトカラーがかわいい「G TUNE DG-A5G6A」が使用されていた。Ryzen 5搭載でコストとパフォーマンスのバランスに優れる1台だ
「THE KING OF FIGHTERS XV」の試遊台にはブラックカラーの「G TUNE DG-I7G70」を使用。ハイエンドのCore i7を搭載しており、高パフォーマンスの1台だ
「鉄拳8」の試遊台にはGPUにGeForce RTX 5080を搭載する「G TUNE FG-A7G80」を使用。ブラックカラーのミドルタワーがクールで、ハイエンドのRyzen 7も採用しており魅力の1台だ
「ストリートファイター6」の試遊台にも「G TUNE FG-A7G80」が使用されていた。構成は前述の「鉄拳8」と同等のものとなる
友達同士でブースを訪れ、わいわいと盛り上がりながらゲームをプレイしている様子が見られた
PC本体だけでなく、アーケードコントローラなども接続されており、「レバー付きのコントローラ使うの初めてだ」と驚きながらレバーに触れる来場者も見られた。ゲームセンターを知る筆者としては若干のジェネレーションギャップを感じる
試遊した来場者は、SNSをフォローすることで豪華景品が当たる抽選会に参加できた。なお、抽選会の景品については、モニターを除くすべての景品が開場後1時間くらいのうちに少なくとも1つは当たるぐらいの高確率だったという。さらに夕方にブースへ伺ってみたところ、すべて当選して景品がなくなってしまっており、マウスの抽選の“ガチ”さが実感できた
抽選会場には同社が展開するゲーミングデバイスも展示されていた
ブースで配布されていたカタログは赤色のG TUNEの袋で渡されており、会場の各所でこの「赤い袋」を見かけることになった
SNSフォローや試遊した人全員には、もれなくマウスコンピューター 名古屋ダイレクトショップで使える10%オフクーポンが配布されていた。使用期限は5月10日で、今すぐ使わなくてもほしいものができた時に使えるので、地元勢ならかなりありがたい

協賛で得られたeスポーツの知見。キオクシアとの新たな試みも

 会場ではマウスコンピューターの代表取締役社長の軣秀樹氏に、今回の「ASIA esports EXPO 2026」への機材貸出についての経緯や導入までの裏話などについて話を伺うことができた。

 まず、参画の意図について伺うと、JESUから依頼を受けて、会場で試合する選手たちが違和感なく自分の力を出し切り、最高のパフォーマンスを発揮できる環境を提供することを最優先に考えて、今回の機材貸出を引き受けたという。実際のところ、導入までにはPC関連の部材不足による影響や、準備期間がかなり短かったことなど、苦労する面も多かったが、アジア競技大会の本番と同じ設備を使用して行なわれるため、事前にこれら環境に触れられるといった意義もあり、参画してよかったと振り返る。

 アジア競技大会の機材レギュレーションは通常よりも機材の品質への評価基準が厳しく、実際に今回の予選会でプレイした選手たちには、プレイの合間などに都度フィードバックを求めており、ちょっとしたトラブルや違和感などもすべてチェックされるという。また、今回からはデバイス不正などの「eドーピング」に対するチェックも行なわれるようになるなど、かなり厳格になっているようだ。

 2日間のイベントが終了するまでは、どのようなフィードバックがあったかは確認できないが、初日を終えた段階での大会関係者からは「問題なく、違和感なくプレイできている」との報告を受けているという。イベント終了後に受けたフィードバックについては、今後の製品開発につなげていくとしている。

 そのほか、新たな試みとして、本大会に貸し出された機材には、同じ協賛企業のキオクシア製SSDを搭載している。キオクシアのSSDは同社のBTOラインナップにはない構成となるため、文字通り「会場限定」モデルとなるわけだ。マウスコンピューターがBTOで使用するパーツについては、同社の開発部隊による厳格な試験や検査が行なわれ、そこで合格しないと採用できない。キオクシアのSSDも例外ではなく、実際のBTOラインナップに採用されている部品とほぼ同等の試験やチェックなどを厳格に行なった上で導入する運びとなった。

 キオクシアのSSDについては、個人ユーザー向けの単体販売は行なっているが、こうした形でPCに搭載されることはあまりない。軣社長は、今回のような国内メーカー同士の連携で日本企業をアピールしたい思いもあって実現したと説明する。なお、キオクシアのSSDを搭載した「会場限定」モデルについては、両社相談の上、可能なら販売したいと意欲を見せた。

 今回の「ASIA esports EXPO 2026」における協賛のメリットについて聞いてみると、軣社長は、アジア競技大会の予選会がどのような仕組みや設備で動いているかを実際に経験できたことは、今後の同社の強みになると考えているという。

 また、大会運営のノウハウを蓄積することで、eスポーツ関連の設備や関係性を必要とする法人顧客に対しても、製品以上の価値を提供できるビジネスチャンスになると捉えているとした。ほかにも、単に製品を売るだけではなく、自治体と協力し、日本全体でのeスポーツの盛り上げに貢献したいという姿勢も改めて示しており、eスポーツを盛り上げていくことで、ゲーミングPCを販売する同社にとってもメリットがある点を改めて強調した。

 なお、今回のイベントはあくまでも日本代表候補選手の最終選考を行なう予選会であり、アジア競技大会の本番については、管轄がJESUではなく、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会であるため、現時点では機材などについてはまったくの未定だという。しかし、予選会での採用実績は、製品を購入するユーザーにとっても安心感や信頼性につながると自信を見せた。

 個人的には、予選会でのフィードバックなどを経てG TUNEの信頼性の高さが実績として認められればアジア競技大会の本番でも採用される可能性は高そうだと考えている。実際のアジア競技大会においてG TUNEが導入されるのかについては、今後の動向を注目しておきたい。

マウスコンピューター代表取締役社長の軣秀樹氏
「対戦格闘団体戦」に選出された3人の選手のうち、「スト6」のひぐち選手には軣社長からユニフォームやパネルが手渡された
試合の合間には毎回選手に対してヒアリングが行なわれており、機材の使用感などがチェックされていた
ステージ中央には試合で使用しているものと同じG TUNEが配置されており、その存在感をアピール

「スト6」はひぐち選手が日本代表に選出!

 会場では格闘ゲーム部門として「スト6」、「THE KING OF FIGHTERS XV」、「鉄拳8」の選考会が行なわれた。「スト6」においては、事前に選出されたGood 8 Squadのさはら選手、ZETA DIVISIONのひぐち選手、ももち選手、REJECTのひなお選手の4人が選考会を戦った。

 予選は3タイトルとも2試合先取(2先)の総当たり戦で行なわれ、ひぐち選手が全員を撃破、3勝0敗の1位で予選を通過。ひなお選手はサガット運用などで挑むも勝ちに恵まれず、0勝3敗で敗退。1勝1敗同士の激突となったさはら選手とももち選手については、ももち選手が勝利して2勝1敗で決勝進出を決めた。特に1勝1敗から、あえて自身の得意キャラクターであるエドをJPに切り替えて勝利したところは、ももち選手の優れた判断力が見せた成果と言える。

2日目選考会、メインステージのMCは大島巧氏が務めた
「スト6」の最終選考競技会では、Good 8 Squadのさはら選手、ZETA DIVISIONのひぐち選手、同ももち選手、REJECTのひなお選手の4名が登場
「スト6」の実況、解説はシリーズではお馴染みとなるアール氏、ハメコ。氏が務めた
ももち選手とさはら選手の1戦では、1勝1敗で迎えた3戦目にももち選手がJPにキャラクターを変更し、見事に勝利して決勝進出を決めた
試合後、ももち選手に対さはら選手戦でのキャラクター変更について尋ねると、直近の調整で変更された部分が試合に影響をおよぼす場面が多かったため、そうした変化が少ないJPを起用することで対応したという。結果としてJPで勝利できており、さすがの判断力が感じられる一戦だった
総当たり戦の結果は、ひぐち選手が全勝で決勝進出。2位はももち選手の2勝1敗となった

 「THE KING OF FIGHTERS XV」については、はるミー選手のみ0勝3敗、SCORE(スコア)選手、ちゃわん選手、mok選手が3人とも2勝1敗の接戦となり、得失点差でSCORE選手が予選1位、ちゃわん選手が予選2位、mok選手が予選3位となり、上位2名のSCORE選手とちゃわん選手が決勝進出となった。

 「鉄拳8」は、全勝のノビ選手が予選1位で通過、2位は2勝1敗のチクリン選手、惜しくも0勝3敗のPinya選手、1勝2敗のケイスケ選手は予選敗退となった。

「THE KING OF FIGHTERS XV」では、はるミー選手のみ0勝3敗、ほか3選手が2勝1敗で並ぶ接戦となった
試合終了後はスタッフによる入念な環境のヒアリングなどが行なわれていたほか、違和感などがあった場合には自己申告することで試合自体のやり直しなどが発生する場合もあるという
惜しくも敗れてしまったはるミー選手と話ができたので聞いてみたところ、試合についてはいいところが全然見せられなくてくやしい、次に活かして頑張りたいとコメント。ステージ上の機材についても伺うと、G TUNEでの試合はラグなどがまったくなく、あまりにスムーズに動くので、試合がしやすくて驚いたと話していた
「鉄拳8」では、ノビ選手が全勝で予選を通過する流れとなった

 決勝戦はいずれも3試合先取(3先)での一騎打ちとなったが、いずれも予選1位で通過したひぐち選手、SCORE選手、ノビ選手が3-0で圧勝し、見事に日本代表の座を勝ち取ることとなった。3試合ともあまりにもきれいな決着となったため、メディア向けの囲み取材において、3人に決勝での圧勝について聞いてみたところ、SCORE選手とノビ選手については、試合を楽しむことを最優先していたので無欲の勝利とにこやかにコメントしており、勝ち負けを気にしすぎず、のびのびといつも通りのプレイをしたことが勝利につながったようだ。

 なお、ひぐち選手については、3月17日に行なわれたアップデートによる調整の影響についても確認してみたが、あまり影響はないとコメント。もちろん、要所では調整で変わったことを活かしたコンボなどの連携などが使われていたが、本人としては大きく変わった印象はないとのことだ。

 9月の大会本番ではこの3人がチームとなって挑むことになるが、試合を楽しむことを最優先にしているSCORE選手、チーム戦が好きなので本番でも楽しみたいと語るノビ選手、3人の中では最も若手となるひぐち選手と、和気あいあいと楽しく試合に挑めるチームになりそうだ。

ステージ上に並ぶ「対戦格闘団体戦」日本代表の3人
日本代表推薦のパネルを手に並ぶ日本代表の3人
囲み取材では貰ったばかりの日本代表のユニフォームを着用して取材に臨んでくれた

マウスコンピューターの次の一手に注目

 以上、愛知・名古屋のeスポーツイベント「ASIA esports EXPO 2026」についてレポートした。来場者はかなり多めの印象で、特に「スト6」の予選観戦や、協賛企業のブースなどは時間帯にもよるが、かなり多くの来場者たちが訪れて盛り上がりを見せていた印象だ。加えて本大会では「ポケモンユナイト」の日本代表チームや「Identity V 第五人格」の日本代表チームなどもおり、こうしたチーム目当てのファンもいたようだ。

 ただ、個人的に気になったのはやはり参加選手の少なさだ。特に格闘ゲームについては、せっかくの日本代表の選出という大舞台ながら、事前に選出された4人の選手による総当たり戦の予選と決勝戦のみというのはやはり物足りなさを覚える。

 気になったので調べてみたところ、前回の日本代表については、今回とは真逆で事前の予選会で212名もの選手の中から選出されていたことを考えると、なぜ今回のような選出方法になってしまったのか理解に苦しむところ。この辺りは次回以降、以前のスタイルに戻してもらうなど、改善を期待したいところだ。

 そして、マウスコンピューターにとっても今回の協賛は、単なるブランド露出に留まらない大きな意義を持つと言えるだろう。アジア競技大会という厳格な基準が求められる現場での運用実績は、ゲーミングPCを使ったeスポーツ施設や教育機関などの法人顧客に対しても、強力な説得力を持つ武器となるはずだ。

 今後、さらなる広がりを見せようとしている日本のeスポーツ業界だが、その中でマウスコンピューターがどのような立ち位置を背負っていくことになるのか。日本国内のeスポーツをさらに盛り上げていきたいと熱い思いを語る軣社長の次なる一手にも、引き続き注目していきたい。

会場には名古屋のスト6対戦会「鯱拳(しゃちけん)」が出展し、対戦会を実施。ミニトーナメントなども開催され、盛り上がりを見せていた
SUZUKIブースには「CAPCOM CUP 12」で初お披露目されたスト6コラボバイク第2弾「Hayabusa Tuned by JURI」が!
マウスコンピューターの隣にはキオクシアのブースがあり、同社SSDのロード時間などが体験できるデモが行なわれていた
ダンロップのブースでは、同社のeスポーツ専用アームサポーターを使用したマウスの操作感などが体感できた
Hotel Seahorsのブースでは、抽選で宮古島ペア宿泊券が当たるガラポンを実施
DREAMBEERのブースでは、クラフトビールの無料試飲会を行なっていた