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Imagine Cup日本代表候補、2チームに絞る
~日本大会に10組が参加して白熱プレゼンテーション
(2014/4/14 06:00)
日本マイクロソフト株式会社は12日、東京・大手町のKDDIホールにおいて、「Imagine Cup 日本大会 Digital Youth Award」を開催した。
アプリ部門のグランプリには、サッカーを始めとするスポーツの試合分析をタブレットやスマートフォンを使って行なうSpotの「Spot」、準グランプリは、ぬいぐるみをインターフェイスにして遠隔地とのコミュニケーションを図ることができる、かぞくぐるみの「かぞくぐるみ」が受賞。アイデア部門のグランプリは、小林萌恵さんによる、高校生のアイデアを活かすためのアプリ「Challenge for SHS」、準グランプリは吉田圭汰さんの遠距離恋愛支援アプリの「Shionpush」となった。
審査員を務めたIntecur, K.Kの齋藤氏は、「アプリ部門でグランプリとなったSpotは、スポーツという世界共通語をテーマにして、タブレットを使った提案を行ない、スポーツが分からない人にも利用価値があるのではないかと感じさせた。2020年の東京オリンピック開催ということもあり、世界大会に出ても負けないぐらいの良いアプリであると考えた。
かぞくぐるみは、ICTのスピリットを使って人をつなげることを感じるものであり、少子高齢化の社会に向けての提案だけでなく、さまざまな利用提案を行なっていた点を評価した」とし、バスキュールの西村氏は、「アイデア部門の審査は、すばらしいアイデアが多く大変悩んだ。Challenge for SHSは、高校生が使うメリットがあること、企業にも価値があるという点が見えた点が大きかった。Shionpushは、タブレットを使って、ファミレスなどのメニューを遠距離でお互いに使って共有するという点を評価した。吉田さんは、昨年(2013年)もグランプリを受賞しており、今後はアイデアだけでなく、アプリという形にしてほしいという気持ちがある」と講評した。
世界大会優勝でゲイツ氏と対談も
Imagine Cupは、世界規模で行なわれている学生のためのITコンテストで、今年で12回目となる。米Microsoftの創業者であり、テクノロジーアドバイザーのビル・ゲイツ氏が、「学生たちに、自分のアイデアや技術を発表する場を提供したい」と考え、2003年から開始したもので、これまでに190カ国から165万人以上の学生が参加している。
一方、Digital Youth Awardは、日本マイクロソフトやPCメーカー、周辺機器メーカーが参加するWDLC(ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム)が、16歳~28歳までの学生を対象にして実施しているもので、今年で2回目。
今回は、日本マイクロソフトと連携することで、Digital Youth Awardのアプリ部門のグランプリおよび準グランプリを、Imagine Cupの日本代表候補としてノミネート。ノミネートされたチームは、米本社側によるオンラインを通じた審査によって、1チームが日本代表チームに選出され、Imagine Cup世界大会に参加できる。なお、ビジネスモデルまでを含めて企画するアイデア部門のグランプリおよび準グランプリは、5月31日から開催する世界的なアイデア共有イベント「TEDx Tokyo」の運営スタッフとして参加できるという。
また、Imagine Cup日本代表に選ばれたチームに対しては、世界大会に向けて日本マイクロソフトが支援し、プレゼンテーション手法や、英語に関するトレーニングを実施。模擬審査の機会なども提供する。これらの準備を経て、7月29日~8月2日に、米シアトルで開催される世界大会に参加。全世界から集まった33チームが世界一を競うことになる。
Imagine Cup世界大会で優勝すると、賞金5万ドル(約510万円)のほか、ロンドン、ベルリン、テル・アヴィヴに拠点を置くMicrosoftベンチャーによるアクセラレータプログラムを利用した起業支援、Microsoft本社において、数週間にわたる技術開発や事業開発、マーケティング教育などを提供するアントレプレナーシップトレーニング、ゲームの祭典である「PAX Prime」への出展に加えて、マイクロソフトが開催するMicrosoft Tech Readyにおいて、米Microsoftのサティア・ナデラCEOを始めとするMicrosoft社員を前にした表彰や、ビル・ゲイツ氏との対談の機会も与えられる。
今回のDigital Youth Awardのキャッチフレーズを、「日本の学生のアイデアをビル ゲイツにぶつけろ!」としているのも、世界大会優勝者がビル・ゲイツ氏との対談機会が設けられていることに起因している。
日本マイクロソフトOEM統括本部マーケティング本部シニアマネージャーの竹内洋平氏は、「2年前のImagine Cup世界大会では、日本代表が第2位になったほか、昨年(2013年)のDigital Youth Awardでは、入賞者がYahoo!などIT産業に就職した例もあった。今年の応募テーマは、誰かをハッピーにするタブレットアプリ。参加者のプレゼンテーションが例年以上にうまくなっている印象を受けた」としている。
また、日本マイクロソフト執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の伊藤かつら氏は、「国際競争力を持つ若者を育成するための世界最大規模の学生向けITコンテントがImagine Cup。今年の応募作品を見ても、世界レベルのクオリティを持ったアプリが多い」などとした。
激論の末決定したグランプリおよび準グランプリ
Digital Youth Awardのアイデア部門およびアプリ部門の応募総数は600件以上に達しており、その中で20組が一次審査を突破。12日に行なわれた決勝大会では、アイデア部門5組、アプリ部門5組の合計10組が参加した。
アイデア部門では1チームあたり6分、アプリ部門では1チームあたり14分のプレゼテーション時間で作品を紹介し、審査員に特徴を訴求。中にはプレゼンテーションに力が入りすぎ、時間内に作品を紹介しきれなかったチームが数組あった。
審査員は、WDLC会長であり、日本マイクロソフト執行役常務コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明氏、日本マイクロソフト最高技術責任者兼マイクロソフトディベロップメント代表取締役社長の加治佐俊一氏、Intecur, K.KのFounder & CEOおよびImpact Japan Executive Committeerの齋藤 ウィリアム 浩幸氏、バスキュール プロデューサーの西村真理子氏、MOVIDA JAPANのChief Seed Acceleratorである伊藤健吾氏、経済産業省経済産業政策局産業人材政策室の室長補佐である中島大輔氏が務めた。
日本マイクロソフトの香山氏は、「素晴らしい作品が多く、審査は時間一杯を使って行なうことになった。グランプリおよび準グランプリとなった4組の内3組が高校生。若い人が飛躍していくことを感じるものになった」と総括。さらに「世界大会は高いクオリティが求められる。アプリ部門でグランプリ、準グランプリになった2チームはベースはいいものを持っており、可能性は秘めている。だが、今後は、ビジネスモデルはどうなるのかといったことも突き詰めていかなくてはならない。また世界大会で戦うには、プレゼンテーション能力をもっと高めて行かなくてはならない」とコメントした。
日本マイクロソフトの加治佐氏は、「ビジネスを成功させるには、いいアイデアを出し、情熱を持って、しつこくやってくことが大切。そうした作品が多いことを感じる大会となった。Microsoftはすばらしいツールを提供しており、若い時からこういうツールをぜひ使ってもらいたい。アイデア部門は最後はまず3作品に絞られ、さらに2つに絞られた後、どちらをグランプリにするかということで議論が続けられた。アプリ部門は、まだ完成度を追求する必要があるが、Spotは世界に広がる可能性を評価し、かぞくぐるみは、アプリだけではなく、組み込みOSの要素やロボティクス技術、用途の広がりなどに可能性を感じた。アプリ部門の2チームは世界大会への道がある。世界大会までに研ぎ澄ませていくことになる。Imagine Cup世界大会では、ぜひ決勝に残って、成功するところまで行って欲しい。今後3カ月のトレーニングでプレゼンテーション能力もずいぶん進化するはず。全力で応援する」と述べた。
なお、協賛企業賞として、NECパーソナルコンピュータ賞はTaskaru開発チームの「Taskaru」、ソニー賞は小林萌恵さんの「Challenge for SHS」、東芝賞は金子健一郎さんの「繋ぐ」、日本マイクロソフト賞はかぞくぐるみの「かぞくぐるみ」、富士通賞はSpotの「Spot」がそれぞれ受賞。決勝大会の会場参加者の投票による観客賞には、ぽよとぅすの「One Topic」が選ばれた。