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NVIDIA、バッテリで約2時間のゲームがプレイできる「GeForce 800M」

~GeForce Experienceが大幅機能強化、ShadowPlayもノートで

3月12日(現地時間) 発表

 米NVIDIAは12日(現地時間)、バッテリでゲームプレイを現実的なものにする新GPU「GeForce 800M」シリーズを発表した。

 世界的にPCゲーミング市場が伸びており、ノートPCの薄型化のトレンドに応える形で投入される製品。性能向上を図りつつ、ソフトウェアの改善によりバッテリ駆動でのゲームプレイを現実的なものとするのがコンセプト。

GeForce ExperienceのモバイルGPU向け機能を大幅強化

 これまでノートPCでゲームをプレイすること自体、なんら不自然なものではなかったが、ゲーマーの大半はACアダプタをつけたままゲームをプレイすることが多い。その理由は、ゲーマーの多くは1時間以上プレイしたいという要望があったのに対し、ゲーミングノートPCの大半はバッテリ駆動でゲームをプレイすると、駆動時間が50分未満だったからだという。

 今回NVIDIAは、CPUとGPUにデータベース上と照合し、ゲームの自動最適化を行なうツール「GeForce Experience」(以下GFE)をノートPC向けに強化を行ない、ゲーム時のバッテリ駆動時間を伸ばす技術「Battery Boost」を搭載した。

 1つ目はデスクトップGPU向けにも導入されている「Frame Rate Targeting」を、GFE上で設定可能にしたこと。フレームレートの上限を制限することで余計なフレームのレンダリングを減らし、GPUのクロックと電圧低下により消費電力を低減、ひいてはバッテリ駆動時間の延長に繋がる。設定は25fps~50fpsまで5fps段階で調節可能。NVIDIAの測定によると、30fps設定時ではバッテリ駆動時間が約30%伸びるという。

ゲーミングノートPC市場の成長
大半のゲーミングノートはゲームプレイでのバッテリ駆動時間が50分以下だが、ユーザーは少なくとも1時間以上はプレイしたいという要望があるという
GFEの機能強化点
Frame Rate Targetingを有効にするとバッテリ駆動時間が30%伸びるという
GFE上のFrame Rate Targeting機能の設定

 2つ目はGFEのゲーム最適化プロファイルを、ACアダプタ駆動時とバッテリ駆動時に別々に持たせるようにした点。これによりバッテリ駆動時は、描画負荷を下げる設定に自動的に切り替え、GPU負荷を低減することでバッテリ駆動時間を伸ばす。Frame Rate Targetingと組み合わせることで2倍近いバッテリ駆動時間を実現するという。

 ただし、当然のことながらゲーム実行中にオンザフライで設定を変えることはできないため、ゲームを一旦終了させる必要がある。また現時点ではFrame Rate Targetingをゲームプロファイルと紐付けることは不可能のようである。

 このほか、これまでデスクトップのGTX 600/700シリーズだけ利用できたバックグラウンド録画機能「ShadowPlay」、NVIDIA純正Androidゲーム機「SHIELD」へストリーミングしてプレイできる機能「GameStream」を、モバイルGPUにも開放する。なお、ShadowPlayとGameStreamは新モデルのみならず、KeplerベースのGTX 700MシリーズとGTX 680M/675M/670Mでも利用できる。Battery Boostは800Mのみ対応する。

ゲームの画質設定を下げるとバッテリ駆動時間が伸びる
そこでGFEに、バッテリ駆動とAC駆動を検出し、それぞれの駆動に合わせてゲームの画質設定を自動的に変更する機能を追加
ShadowPlayとGameStreamもついにモバイルGPU向けに開放される

ハイエンドからローエンドまでラインナップ、一部はMaxwell

 ラインナップは最上位の「GTX 880M」をはじめ、「GTX 870M」、「GTX 860M」、「GTX 850M」、「840M」、「830M」、「820M」の7モデルを用意。このうちBattery Boost、GameStream、ShadowPlayに対応するのはGTXシリーズのみ。

 アーキテクチャは、GTX 880MとGTX 870MがKepler、GTX 850M/840M/830MがMaxwell、820MはFermi。GTX 860MはKeplerとMaxwellのいずれかとなる。また820MはFermiながら28nmプロセスにシュリンクしたモデルのため、全ラインナップ28nmプロセスとなっている。

 従来通り、Optimus、GPU Boost 2.0、PhysX、CUDAへの対応が謳われている。上位3モデルはSLIもサポート。このほかの仕様は下表の通り。

GeForce GTX 880M
GeForce GTX 870M
GeForce GTX 860M
GeForce GTX 850M
GeForce 840M
GeForce 830M
GeForce 820M
GTXシリーズは前世代から15~60%性能が向上
GTX 580搭載ノートと比較すると大幅に薄型化した
多くのAAAタイトルをフルHDで実行可能
下位の840Mは、Iris Proグラフィックスと比較して少ない電力で高速にゲームを実行可能
【表】主な仕様

GTX 880MGTX 870MGTX 860MGTX 860MGTX 850M
アーキテクチャKeplerKeplerKeplerMaxwellMaxwell
コア数1,5361,3441,152640640
コアクロック954MHz~941MHz~797MHz~1,029MHz~876MHz~
メモリクロック5GHz
メモリ容量最大4GB最大3GB最大2GB
メモリ種類GDDR5
バス幅256bit192bit128bit

840M830M820M
アーキテクチャMaxwellMaxwellFermi
コア数未公開
コアクロック未公開
メモリクロック未公開
メモリ容量2GB
メモリ種類DDR3
バス幅64bit

 搭載ノートPCも各メーカーから発表されており、「Alienware 17」、「ASUS G750JZ」、「GIGABYTE P34R」、「GIGABYTE P35R」、「Lenovo Y50」、「MSI GT 70」、「MSI GT 60」、「MSI GS 70」、「MSI GS 60」、「Razer Blade」、「Razer Blade Pro」など12機種がGeForce GTX 880M/870M/860Mを搭載している。

Alienware 17
ASUS G750JZ
GIGABYTE P34R
GIGABYTE P35R
Lenovo Y50
GT 70
GS 70
GT 60
Razer Blade
NVIDIAが示した搭載システムの例

(劉 尭)