インテル株式会社は12日、日本企業の技術を国際に向けて発信することを目的とした施設「コラボレーション・センター」をつくば本社内に開設した。
同施設の前身となるのは「インテル ヒューマン・インタラクティブ・テクノロジー・アプリケーション・センター」。2012年4月に開設されて以来、ハードウェアやソフトウェア開発者をはじめ、自治体や教育機関、エンドユーザーなど100社/1,100名を超える人が訪れ、将来のコンピューティングの利用モデルや、それに伴う技術について議論を交わした。
設立以来、NECや、オンキヨー、コクヨ、富士ソフト、村田製作所など数社の協力を得て、約10種類程度の技術デモを展開したが、今回はその技術の発信を強化すべく、名前を短くリニューアルするとともに展示数を約20に増やした。
センターの概要を説明した同社 執行役員 技術本部長 土岐英秋氏 見学の最初では、まず最初にスマートフォンが配布される。各デモには説明員が配備されており、説明員が持つNFCタグによってスマートフォンに説明の概要を転送。英語または日本語で説明を受けた後、スマートフォンに表示されている「いいね」、「ビジネスにいいね」、「イマイチだね…」に投票できる。
投票結果はインテルが用意しているサーバー上で集計され、見学後レポートとして印刷される。また、見学時の様子はデジタルカメラで撮影されており、参加者が笑顔になったのを検出して統計される仕組み。これによって参加者がどのデモに興味や関心を示したかを分析する。
「いいね」、「ビジネスにいいね」、「イマイチだね…」のボタンで投票 随所にカメラが設置されており、参加者の表情を分析する 具体的な展示は、「ワイヤレス給電」内蔵デスク、紙の穴の位置を検出してリアルタイムにプロジェクションマッピングを行なう「ON THE FLY PAPER」、音楽データからスピーカーのコーンの出力の手前までを全てデジタル化した「Ethernet AVBデジタルスピーカー」、Xeon Phiを駆使したリアルタイム超解像処理技術、無線LANの状況やデバイスの状態に応じて自動的にビデオストリームの画質を最適化する「QoE(Quality of Experience)」、Core i5やWindows 8など汎用PCを利用した「デジタルガチャガチャ」など。
「デジタルガチャガチャ」。いわゆるデジタルサイネージの形状をしているが、汎用PCとタッチディスプレイ、Windows 8が使われており、フレーム込みでも価格は100万円以下を実現できるという 音楽データからスピーカーのコーンの出力の手前までを全てデジタル化した「Ethernet AVBデジタルスピーカー」。PCから音楽データはEthernetケーブル1本で転送され、その後左右チャネルに分離して、スピーカーに伝達する スピーカー内部のユニット。ユニットまでデジタルデータをそのまま転送する。ビットのデータでコーン紙を振動させるため、コーンに出力されるまで厳密にデジタル出力となっている。D/Aコンバータを利用しないため、変換によるノイズは一切存在しない リアルタイムのプロジェクションマッピング。紙の穴の位置を検出して、塞がれた部分を赤外線カメラで検出して投影を変える 天井にプロジェクタと赤外線カメラが装備されているのが分かる 複数のPCをで1つのコンテンツを分割して見られるようにするサーバー技術。写真では日本列島を分割表示しているのが分かる。1つのノートPCでスクロールをすれば、他のPCも付随してスクロール。2つのノートPCをまたいてピンチイン/アウト操作で拡大縮小も可能。画面の位置も限定されないという。 無線LANの信号状況やデバイスの解像度/負荷などをサーバーが監視し、状況に応じて最適な画質で配信を行なう「QoE」デモ。例えばサーバー側が4Kコンテンツしか用意していないが、バッテリ容量低下時や低解像度端末利用時、無線LAN混信時は4Kのコンテンツを配信する必要はない。これらの状況の場合、QoEではユーザーの視覚にできるだけ影響を与えない範囲で画質を低下させ、バッファリングや処理待ちを低減させる Xeon Phiを利用したリアルタイム超解像処理技術。Xeon単体では追いつかないが、Xeon Phiを利用すれば高速に処理できる。ただし目視では、確かに超解像らしいシャープな画像だが、画面がガラッと切り替わった時にノイズが見えた エンジニアリングサンプルだが、Xeon Phiボードも展示されている 6本のヒートパイプが見える。銅製ヒートシンクで全体的にずっしり重い ボード背面。かなりの数のチップ部品が装備されており、コストは低くないとみられる