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インテル、8Kや深層学習を使ったソリューションを体験できるスペースを開設

土岐英秋本部長

 インテル株式会社は21日、AIやIoT、VRといった最新コンピューティングの利用モデルやコンセプトを企業などに紹介する「インテル コラボレーション・センター」を、東京・丸の内にある同社オフィス内に開設した。開設にあわせ、報道関係者向けに概要を説明し、内部の様子を公開した。

 これは、2014年に同社が茨城県・つくば市にある本社内にあったコラボレーション・センターを、東京に移設してきたもの。変化を続ける市場や技術の動向について、業界関係者を対象に紹介し、企業のビジネスの成長を促進させるとともに、新たなビジネスの創出につなげていくために開設した。なお、利用にはインテルに問い合わせる必要がある。

 インテルは現在、データを中心とした企業戦略を採っているが、同社は、データを生み出すエッジ側と、データを貯めて処理するクラウド側両方の半導体を手がける企業であり、これがユニークな点であると、同社の執行役員常務 技術本部の土岐英秋本部長は語る。

 「コラボレーション・センターでは、新しいコンピュータの使いかたを体験してもらい、それをどうやって自身のサービスやビジネスにつなげていけるのか考えることができる。われわれが持つすべての製品や技術を紹介し、ニュートラルなポジションで、お客様とともに一番効率のいいソリューションを探すことができる」と土岐氏は言う。これから増え続けるデータは、企業にとっても新たな成長機会であるとし、そのためにコラボレーション・センターを活用してほしいと述べた。

コラボレーションセンターの概要
インテルが取り組んでいる先端技術
エッジからクラウドまでを手がける同社
データ量の増大は成長機会であるとする
展示内容

 展示内容はつねに最新のものに更新されるのだが、開設時点では以下のような展示が行なわれている。

・8Kディスプレイと高性能PCを組み合わせ、8K動画のソフトウェアデコードによる再生や、3Dによるバーチャルミュージアムのデモ
・Compute Cardによる新しいコンピューティングの利用形態やデバイス
・RealSenseを搭載したパナソニック製タブレットによる、対象物のサイズ測定や製品のタグづけ
・Preferred Networksの「PaintsChainer」による、線画の自動着色
・詳しくなくても利用できる、組み込み向けの深層学習サービス
・FPGA製品による深層学習の高速/低消費電力化
・Novidius製のUSBスティック型の深層学習推論アクセラレータ「Neural Compute Stick」
・表面の凹凸や、前後左右に引っ張られる感じなどを体験できる3D触力覚技術
・自動運転時のヒューマンマシンインターフェイスの開発を支援するドライビングシミュレータ
・ネットワークにつながり、大きな物の販売や在庫管理などができる自動販売機

8Kディスプレイでのビデオ再生デモ。24コア/48スレッドのXeon E5-2650 v4を使えば、完全なソフトウェアデコードが実現できる
8Kの高精細画面は、3Dバーチャルミュージアムのような用途にも向く
Compute Cardによるソリューションの提案。冷蔵庫といった家電にも、コンピューティングパワーをもたらせる
パナソニックのRealSense搭載タブレット
離れた物体の長さなどを測ることができる
線画に対してAIが自動的に着色を行なうPaintsChainer
データを放り込めば、深層学習のデータが自動で生成できるサービス
あとは推論用データをこういった組込み用のボードに入れるだけで、物体の認識などに活用可能
FPGAによるディープラーニングの高速/低消費電力化
FPGAを使えば、IEEEの浮動小数点規格にはない11bit精度の深層学習も行なえる
平均1Wという低消費電力な推論アクセラレータ「Neural Compute Stick」
手にすると左右に引っ張られる感じなどが再現されるセンサー
自動運転時のヒューマンマシンインターフェイスの開発を支援するドライビングシミュレータ
ネットワークに接続された自動販売機。Core i7プロセッサが搭載されており、ストリーミング配信や顔認証といった技術も活用されている

 21日の説明会には、暫定的に同社代表取締役社長として就任しているスコット・オーバーソン氏も挨拶し、「日本は世界のなかでかなり重要な市場であり、経済規模や技術は世界第3位、トップ2,000企業のうち10%が日本企業である。われわれは、イノベーションを通じてデジタルトランスフォーメーションを実現・加速することは非常に重要だと考えている。2020年に控えている東京オリンピックは、そのイノベーションを実現する大きな機会である。コラボレーション・センターはその中核として機能する」などと語った。

スコット・オーバーソン氏