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富士通、CPU間のデータ通信で32Gbpsの転送速度を可能にする回路技術
(2013/2/18 13:48)
株式会社富士通研究所およびFujitsu Laboratories of Americaは18日(日本時間)、CPU間のデータ通信において32Gbpsの転送速度を実現する送信回路/損失補償回路/受信回路を開発した。
従来の送信回路は、多チャンネルのデータを1チャンネルに多重化して送信するため、後段では処理速度が高速になり素子の動作限界が近づく。今回、もっとも高速で消費電力が大きい最終段の多重化回路(2:1変換回路)を不要とする送信回路を開発。データは2値(0/1)ではなく3値(0/1/2)となるが、従来の受信回路を利用しデータを復元できる。このため送信部の速度を限定していた要因が排除され、送信回路電力を従来と比較して約30%削減した。
損失補償回路は、プリント板配線などの転送路における信号の品質劣化を補正するもの。従来は高域側で発生する信号減衰を補償することでフラットな周波数特性としていたが、高速化に伴い信号帯域がさらに高域まで伸び、これまで問題とならなかった低域側の周波数特性の落ち込みも無視できなくなった。今回この低域側の周波数特性も補償することで、従来の32Gbpsの転送速度では実現できなかった80cmの転送距離を実現した。
受信回路は、これまで信号に対して速度(周波数)とタイミング(位相)を同期させて信号をサンプリングし、データを読み出すもの。データを取り込むタイミング誤差を、タイミング誤差検出部で元データから検出し、タイミング調整回路で同期させていたが、高速化に伴いクロックを制御する時間精度も高める必要があり、従来の技術では限界に達していた。そこで今回、同期していないクロックで一旦信号をサンプリングし、実際にサンプリングされた2つの信号を元に電圧補間処理を行なうことで、クロックと同期したタイミングでの仮想信号を合成する「データインターポレーション方式」方式を開発。これにより時間軸方向の分解能が要求される補正回路が不要となり、高速化を実現したという。
これらの技術により、CPU間のデータ通信速度を従来の2倍に高速化した世界最高速となる32Gbpsを実現。次世代サーバーやスーパーコンピュータにおける性能向上に寄与することが期待される。新技術は米国サンフランシスコで2月17日(米国時間)から開催されるISSCC 2013で発表される。