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日本マイクロソフト、仙台からDiscoverキャンペーンをスタート
~半年間で中堅・中小企業で5万社の参加を見込む
(2013/1/18 16:27)
日本マイクロソフト株式会社は、全国規模で展開する中堅・中小企業向けIT活用推進支援策「Discoverキャンペーン」を2013年1月18日からスタートするのにあわせ、同日、宮城県仙台市の日本マイクロソフト東北支店において、記者会見を行なった。
日本マイクロソフト・ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャーの高橋明宏執行役は、「全国には420万社の中堅・中小企業があり、日本の企業の99.7%を占める。さらにそのうち77%が東名阪以外となる。Discoverキャンペーンを通じて、マイクロソフトの新製品がビジネスにもたらす価値を発見していただくとともに、これらの製品を活用することで、勝機をつかむ次世代の働き方を発見するのがこのキャンペーンの狙いとなる。新製品体験セミナー、地域密着型パートナー施策、東北地域での経済復興支援活動を3つの柱として展開する。Windows 8を搭載したタブレットを営業活動に利用し、効果的なプレゼンテーションに活用してもらうといった提案や、クラウドを通じてコミュニケーションを行なうといった提案、午前9時から午後5時までの勤務時間に縛られないワークスタイルの提案などといったように、新たなデバイス、クラウド、ソリューションの流れを地方にも広げていきたい」とした。
また、「日本マイクロソフトは、東日本大震災以降、ITの領域から復興に向けた支援活動を行なってきた経緯もあり、今回のキャンペーンも、東北からスタートしたかった。東北支店の陣容も、2013年6月までには2倍規模に拡大したい」などと語った。
東北支店で第1回目のセミナーを開催
この日、同社東北支店では、午後1時から、第1回目となるセミナーを開催。仙台地域の中小企業経営者など約40人が参加し、Windows 8やOffice 2013などの同社最新テクノロジーソリューションを用いたIT活用について受講した。
Discoverキャンペーンでは、全国47都道府県においてWindows 8やOffice 2013、Office 365などの最新テクノロジーを活用することで、中堅・中小企業における新たな働き方や、経営効率向上、生産性向上を実現するためのセミナーを実施。さらに、地元パートナー企業も参加し、日本マイクロソフトと共同営業部隊を結成して、地域に密着した共同営業施策を展開することになる。
東北地区では、アイネックス、エフコム、ビジネスサービス、メコム、YCC情報システムなどのパートナー企業が参加する。
アイネックスのITサポート事業部長の佐藤智好取締役は、「当社は、秋田県内の文教市場において実績があるが、今後、安定した収益構造を確立するには、有力な中小企業への展開が不可欠である。PC教室を展開しているノウハウを、企業研修や中小企業とのパイプづくりにも活用したい。導入、教育、サポートまでのワンストップソリューションの強みを活かして、顧客が考えていることを形にしたい」とコメント。
エフコムの瓜生利典専務取締役は、「福島県での自治体などの公共分野、医療分野での実績に加えて、今後、民需系ビジネスを拡大したい。当社の強みは、地域に技術者、営業担当者がおり、きめ細かいサービスができる点。日本マイクロソフトのブランド力、製品力、サポート力を活かすこと、地域密着での細かなサポート力を活かすこと、会津若松のデータセンターに加えて、2014年に開設する福島データセンターを活用した新たなサービスを提案できる」などとした。
また、ビジネスサービスの青森支店長の斉藤寛勝取締役は、「当社は、地元とソリューションを組み合わせた造語である『Jimo-lution(ジモリューション)』を合い言葉に、Windowsを中心にしたよりよいソリューションを提供し、地域に貢献していくことを目指している。当社は青森県内では他社に負けないWindows 8の販売、サポート力を持ち、県内随一のMCP、サポート要員を持つ。地元ユーザーに対するきめ細かな提案を加速させたい」とした。
YCC情報システムの研究開発部・小沼博部長は、「日本マイクロソフトとは、5年前から協業関係を持ち、Office 365やAzureを自社導入してノウハウを蓄積してきた。山形県内では、BCPの立案や、災害時における社員の安否確認などに対する要求が高く、100ユーザーまで5,000円という地元の中小企業が導入できる価格帯での安否確認システム『ぶじっ』をAzure上で開発した。これはAzureを利用できた点、社内に蓄積したノウハウを活用できた点が大きく、利用者から高い評価を得ている。Windows 8は、既存の資産が活かせる点が魅力であり、いままで中小企業が使えなかったソリューションの提供もできるようになる」などと語った。
共同営業活動としては、ターゲット顧客の選定や訪問計画の立案、営業・技術勉強会、競合対策勉強会、実商談を通じた案件推進力の育成などを展開。さらに、日本マイクロソフトの支店施設を活用して、地場パートナーがセミナーの実施や商談の推進などを行ない、案件の生成からクローズまでを連携して行なえるようにする。また、日本マイクロソフトの営業部門や技術サポート部門との連携、最新技術情報の提供などを行なう。
日本マイクロソフト SMB営業統括本部長のマイケル・ダイクス業務執行役員は、「2013年4月から、パートナー企業の約200人を対象にした教育セミナーを実施。これを毎月開催し、より深い情報提供を行なっていく」とした。
高橋執行役は、「日本マイクロソフトでは、テレセールスにより獲得した見込み案件を、パートナーとの連携で商談をクローズするといった活動を行っている。だが、その中で、導入を検討している水準の商談確度においては、ユーザー自身がそこから次のステージには踏み出せず、商談につながりにくい、あるいはパートナーが積極的に扱いにくいという状況があった。これを一歩進めて、日本マイクロソフト社内でも、さらにリソースを投入し、情報を精査し、商談につなげやすいようにする。また、パートナー各社が、日本マイクロソフト社員と同じ情報にアクセスできるようにしたり、支店内に入館できるパスをパートナーに提供するといったことで、データやリソースの利活用の積極化につなげたい」と語った。
また、東北地域においては、経済復興支援活動として、地元の自治体やNPOと連携して、東北地域内企業向けのITによる経営力向上およびスタートアップ企業向けセミナーの開催、ITパートナー企業における人材育成支援、地域インフルエンサーとなる企業や団体などとのパートナーシップも進める。
3種類のセミナーを全国で開催
今後、同社では、全国6カ所の支店を活用しながら、セミナーの開催や、各地域のパートナーと連携したキャンペーン活動を展開。Discoverキャンペーンの柱となる「Discoverセミナー」では、中小企業向けの「ワークスタイル変革」セミナーとして、全国47都道府県において、5万社の参加を目標にする。
Discoverセミナーでは、日本マイクロソフト主催のセミナー、パートナー企業主催のセミナー、オンラインによるセミナーを用意。日本マイクロソフト主催のセミナーでは、インテルの協賛を得て、2013年6月末までに、47都道府県において約200回を実施。1月21日には長野県松本市、23日には新潟県新潟市、25日には福島県郡山市、28日には石川県金沢市でそれぞれ開催予定。タッチ&トライコーナーを設置し、実機を体験できるようにしている。
インテルのソフトウェア・サービス戦略本部長・板越正彦執行役員は、「ビジネスにおいては、営業機会と価値をDiscover(発見)するために、現場力を高めることが求められており、それを実現するには、ICTの利活用や最適なモバイル環境が必須となっている。UltrabookとWindows 8、クラウドを活用した提案は、現場力を高めるためにはベストな組み合わせであり、すでにいくつかの企業で実績があがっている。この組み合わせを提案していきたい」としたほか、「昨年、復興支援として、JEITAなどとともに、東北地区において、1,500台のPCを提供した。被災地では、水と食物の次には、情報が欲しいという声があり、キャンペーンの支援を通じて、こうした経験も活かしていきたい」などとした。
また、パートナー企業主催セミナーは、パートナー独自の製品およびサービスを含めた内容となり、より実践的なソリューションを提案することを狙い、2013年6月末までに、47都道府県において約1,200回以上実施する。大塚商会、リコージャパンが参加。リコージャパンでは、全国で約1,000回、延べ2万人を集客する予定だという。
日本マイクロソフトが主催する大規模なセミナーの開催後も、地場パートナー企業が継続的にセミナーを実施することで、各地域において、一過性では終わらないIT活用推進支援を行なうという。
一方、オンラインセミナーでは、遠方や多忙で直接セミナー会場に参加できないユーザー企業向けに提供するものと位置づけており、簡単な登録だけで、独自に用意された短時間のセッションを複数用意する。
一過性のものではなく継続性を重視
日本マイクロソフトは、過去2回に渡って、全国キャラバンを実施してきた経緯がある。
2001年10月から取り組んだ「全国IT推進計画」では、セミナースペースとIT体験コーナーを実装した大型トレーラーを使用し、2002年10月から「マイクロソフトIT体験キャラバン」として、1年2カ月にわたり、178市町村において、216回のセミナーを開催。21,519人が参加したという。
また、2006年12月からは、ITコーディネーターによるIT経営キャラバン隊を組織化。日本マイクロソフトが用意したキャラバンバスを使い、1年4カ月をかけて全国120カ所を訪問。22,032人のセミナー参加を得たという。
マイクロソフトIT体験キャラバンでは、政府主導のe-JAPAN推進計画と連動して、中堅・中小企業へのIT導入が中心となり、IT経営キャラバン隊では、日本商工会議所などとの連携によって、中堅・中小企業におけるIT利活用の提案が中心となった。
今回の「Discoverキャンペーン」では、中堅・中小企業における新たなワークスタイルの発見をテーマとするものの、クラウド環境の広がりによって、中堅・中小企業が低コストで最新IT環境を導入しやすく、管理者を不要にできる環境が整ったこと、Windows 8によるタッチインターフェイスの採用などにより、これまでPCの操作に不慣れだった経営者も活用しやすい環境が整ったという点で、過去2回のキャラバンとは意味合いが大きく異なる。こうした環境において、中堅・中小企業への最新IT利活用の促進がどこまで進むかが注目される。
高橋執行役は、「まずは5万人に対してリーチすることを重視したい。さらに、従来のように投資が先行し、なかなかリターンにつながらず、最後には息が続かなくてなるという一過性のものではなく、継続性を重視していくことが大切だと考えている。今年の投資が来年につながること、来年の投資が再来年につながることが大切であり、中堅・中小企業向け支援策やビジネスそのものに、リズムをつけていきたい」とした。