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Qualcomm、低価格なCopilot+ PCを実現する8コア版Snapdragon X Plus
2024年9月4日 20:00
Qualcommは、9月6日よりベルリン・メッセで開幕するIFA 2024に合わせて同社 CEO クリスチアーノ・アーモン氏による記者会見を開催しており、その中で同社がMicrosoftのCopilot+ PCに合わせて製品投入した「Snapdragon Xシリーズ」の廉価版となる「Snapdragon X Plus 8-core」などSnapdragon X PlusのSKU拡張を発表した。
ハイエンドの価格帯にとどまっていたSnapdragon Xシリーズの廉価版
Snapdragon X Plus 8-coreは、Microsoftが5月20日に発表したCopilot+ PCに現状唯一対応しているSoCになるSnapdragon Xシリーズの最新SKUだ。
Snapdragon X搭載のCopilot+ PCが発売された6月18日の時点では、上位グレードに相当するSnapdragon X Eliteと、最下位のSKUとなるSnapdragon X Plus 10-coreになっていた。これらの製品はいずれもハイエンド向けで、現状市場に出回っているCopilot+ PCはいずれもハイエンドノートPCの価格帯(10万円台後半~20万円台)になっており、高いと感じるユーザーも少なくなかったのではないだろうか。
ブランド | パーツナンバー | CPUコア | キャッシュ | マルチコア時最大クロック | ブースト時最大 | GPU性能 | NPU性能 | メモリ(最大構成) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Snapdragon X Elite | X1E-00-1DE | 12 | 42MB | 3.8GHz | 4.3GHz(デュアルコア) | 4.6TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Elite | X1E-84-100 | 12 | 42MB | 3.8GHz | 4.2GHz(デュアルコア) | 4.6TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Elite | X1E-80-100 | 12 | 42MB | 3.4GHz | 4GHz(デュアルコア) | 3.8TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Elite | X1E-78-100 | 12 | 42MB | 3.4GHz | - | 3.8TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 10-core | X1P-66-100 | 10 | 42MB | 3.4GHz | 4GHz(シングルコア) | 3.8TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 10-core | X1P-64-100 | 10 | 42MB | 3.4GHz | - | 3.8TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 8-core | X1P-46-100 | 8 | 30MB | 3.4GHz | 4GHz(シングルコア) | 2.1TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 8-core | X1P-42-100 | 8 | 30MB | 3.2GHz | 3.4GHz(シングルコア) | 1,7TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 8-coreはそうした市場の声に応える製品となる。2つの新しいSKUとして「X1P-46-100」と「X1P-42-100」のほか、Snapdragon X Plus 10-coreにも新た「X1P-66-100」が追加されている。
たとえば最もローエンドになるX1P-42-100では、CPUは8コア、GPUは1.7TFLOPSになっており、演算器の一部を無効にすることで廉価に設定した。一部の演算器を無効にしたSKUを用意すると半導体製造時の歩留まりが向上し、製造時のコストを下げられるので、より低価格で提供できるのだ。
QualcommとしてはSnapdragon Xシリーズの普及率を上げるためには、こうしたより低価格な製品を投入することが大事になってくるため、今回IFAで発表したのだと考えられる。
具体的な無効化手段は謎のまま
ただし、Qualcommはどのように演算器を無効にしているのかは明らかにしていない。CPUのOryonに関しては、12コアが4コアを1まとめ(クラスタ)として、3つのクラスタを内蔵することで実現していることがQualcommから明らかにされており、1つのクラスタを使えない形にすることで8コアという構成を実現していると考えられる。
それに対してGPUの「Adreno X1」は、演算器であるSP(Shader Processor)は最大構成で6つとなっていることが明らかにされている。問題は、このSnapdragon X Plus 8-core(X1P-42-100)の1.7TFLOPSという性能がどのように実現されているかだ。
フルスペックのAdreno X1を搭載しているSnapdragon X EliteのX1E-00-1DEとX1E-84-100は4.6TFLOPSという仕様。これが6つのSPだとすると、1.7TFLOPSのSnapdragon X Plus 8-core(X1P-42-100)はざっくり3分の1になる2つのSPだと仮定すると、性能は1.53TFLOPSになる。ただ、それだと計算が合わないため、クロック周波数を引き上げて、1.7TFLOPSにした、あたりが想定できる対策だろう。
それだけCPUのクラスタを1つ減らし、GPUのSPを減らせれば、歩留まりをあげることが可能になり、それらのSKUをより安価にOEMメーカーに提供できるようになる。そうした観点からSnapdragon X Plusに3つの新しいSKUを追加したと考えられる。
Qualcommによれば、Snapdragon X Plus 8-coreなど新しいSKUは既にOEMメーカーに対して出荷が開始されており、Acer、ASUS、Dell Technologies、HP、Lenovo、SamsungなどのOEMメーカーから本日より順次発表、出荷開始される予定になっている。