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「誰だ、こんな設計にしたのは!」とFCCLの齋藤会長も音を上げるほど難しい世界最軽量PCを親子20組が組み立て
2023年8月21日 10:04
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)および島根富士通は、8月19日、島根県出雲市の島根富士通で、小学生および中学生を対象にした「富士通FMVPC組み立て教室」を開催した。
16回目となる今回の組み立て教室では、世界最軽量の14.0型ワイド液晶搭載ノートPCである「LIFEBOOK WU-X/H1」と、軽量モデルの「LIFEBOOK WU2/H1」の2機種から選ぶことができ、それぞれ15人、5人が選択して組み立て作業を体験した。また、「LIFEBOOK WU-X/H1」の天板カラーはブラックだけだが、「LIFEBOOK WU2/H1」は3色から選択が可能となっており、グレーが1台、ホワイトが1台、ブラックが3台の構成比になった。
参加費用は、「LIFEBOOK WU-X/H1」は11万3,800円、「LIFEBOOK WU2/H1」は9万9,800円。同社直販サイトのWEBMARTで販売しているモデルだが、組み立て教室向けの特別価格となっている。組み立てたPCは、検査後に配送される。
組み立て教室には、親子20組が参加。参加者の構成は、小学生が10人、中学生が10人。男子が16人、女子が4人。島根県内から7人が参加したほか、東京、愛知、大阪、兵庫、京都、広島、福岡からも参加した。
島根富士通では、「次世代を担う小中学生に、社会学習の機会を提供し、PCの組み立てや工場見学などを通じて、ICT技術への興味や関心の育成および地域への社会貢献を目的に開催している」と狙いを述べている。
齋藤邦彰会長も組み立てに挑戦
午後1時から行なわれた開会式では、組み立て教室に初参加となった富士通クライアントコンピューティングの齋藤邦彰会長が挨拶。自らもPCの組み立てに挑戦した。
2022年の組み立て教室では、大隈健史社長がPCの組み立てに挑戦しており、同社経営トップが、2年連続でPCの組み立てを行なった格好だ。
挨拶した齋藤会長は、「組み立ててもらうPCは、世界最軽量という、ただものではないPCである。持ったときに驚きがあり、持ち歩きたくなるPCである。持ち歩くことできるようになると使えることが広がる。それが最軽量の意味である。
軽量だけでなく、頑丈であり、美しく、精緻な感覚を大切にしているPCである。開発は新川崎で行ない、組み立ては島根富士通で行なっており、日本の文化を踏襲した製品だ。今回の組み立て教室では、島根富士通のマイスターたちが、それを伝授する。そのすごさを体感してほしい」と述べ、「私も組み立てに参加するが、私一人だけ、作ったPCが起動しないということがないようにがんばりたい」と決意を語った。
生産ラインでは258点の部品を使用し、13分で組み立てているが、組み立て教室では41点の部品を90分で組み立てることになる。作業量は全体の約6割とし、小学生でも組み立てられるように、匠の技術が必要な難しい部品は事前に組み込んでいる。
今回は、齋藤会長に密着取材する形で、組み立ての様子をレポートする。
もともとノートPCの開発者であった齋藤会長は、かつては組み立てや分解を日常的に行なっていたが、最近ではそうした機会もなくなり、経営トップになってからは、初めてのPC組み立てになるという。
「以前とは使っている部品がまったく違う。最軽量のために小さな部品が数多く使われている」というのが第一印象。細かい部品の装着や、軽量化のために工夫された難しい接続に苦戦し、途中で「誰だ、こんな設計にしたのは!」と、普段とは真逆のやや怒り気味の評価をするひと幕も。その一方で、「匠」と呼ばれ、難しい組み立てを高い品質で作り上げる島根富士通の社員たちの組み立て技術に驚いていた。
組み立て教室は、全員のPCが無事に起動して終了した。
参加した子供たちからは、「パーツを取り付けるのが難しかったが、組み立ては楽しかった」、「自分で作ったPCには愛着が湧きそう」、「PCを使って、映像を作ってみたり、ゲームをしてみたい」などの声があがっていた。
その後は、生産工程の見学や、体験型のゲームなどが行なわれた。
また、見学会場では、「未来のPCを考えてみよう!」というテーマでアイデアを募集し、その内容も発表。「海外の人としゃべるとき、PCが同時通訳して欲しい」、「何メートルもの高さから落としても壊れない」、「持ち運びの時はスマホくらい小さく、使う時は大きくなる」、「触らなくても声で動かせる、話しかけたら起動する」といったアイデアがあがっており、そのアイデアの狙いなどが紹介された。
組み立て教室終了後に、齋藤会長にインタビューしてみた。
齋藤会長は、「自分でPCを開発していたときよりも格段に難しい設計となっており、そこに、生産を担当する島根富士通の組み立て技術の進化が組み合わさるからこそ、世界最軽量が実現できることを改めて感じた。フレキケーブルの接続もしっかりと接続する方法を採用し、それをきちっと作り込んでいる。また、日々、カイゼンの努力を行ない、スキルも磨いている。設計の力だけでなく、島根富士通の匠の技術があって実現するものである」とコメント。
「参加者に、組み立てのポイントをしっかりと伝授し、分かりやすく教えてくれた。島根富士通の社員のやる気がヒシヒシと伝わってくるイベントだった」と語った。
富士通クライアントコンピューティングでは、14型ディスプレイを搭載した世界最軽量モデルを、さらに軽量化する姿勢を示している。これは、組み立て教室で組み立てるPCの難易度が年々増すことにもつながるといえそうだ。