ニュース

ワコム、カスタムできるペンと120Hz対応液晶で滑らかに描ける26.9型ペンタブレット

Cintiq Pro 27

 株式会社ワコムは、大幅なデザイン刷新やカスタム可能なペンなどを採用した新型の27型液晶ペンタブレット「Cintiq Pro 27」を発表した。10月12日の発売を予定しており、価格は48万1,800円。純正スタンド「Cintiq Pro 27 Stand」も用意しており、価格は7万2,380円。

 Cintiq Pro 27は、これまでのCintiq Proシリーズから大幅に筐体を刷新。プロフェッショナルの声を反映し、より直感的で没入感の高い制作環境を実現できるとする。

 ディスプレイは10億7,374万色表示対応でDCI-P3 98%/Adobe RGB 99%をカバーする26.9型4K(3,840×2,160ドット)/マルチタッチ液晶パネルを採用。HDRガンマをサポートし、Pantone認証やPantone SkinTone認証も取得した。

 加えて、リフレッシュレート120Hzでの表示が可能となり、カーソルがより滑らかにペン先を追従できるようになった。また、ベゼル幅を約20mmと大きく狭めたことで、従来のCintiq Pro 24よりコンパクトながら26.9型パネルの搭載を実現した。

ディスプレイは10億7,374万色表示対応。4K/120Hz表示もサポートする

 ペンについても新型のPro Pen 3を採用。ペンの細さや重さ、側面スイッチ、重心などを好みにあわせてカスタマイズできるのが大きな特徴で、同梱パーツの着脱で36通りの組み合わせが可能で、側面のボタンは3つとなった。

 ペン先も従来と比べてシャープなデザインとなり、芯は長めに飛び出る設計としたことで、画面上に描く際にペン先が見やすくなった。芯は素材を見直し、たわみにくく、安定して描ける構造へと改良した。また、高リフレッシュレートへの対応にあわせて第3世代Pro Penテクノロジーを搭載しており、遅延の軽減やレポートレートの向上なども図っている。

多様なカスタムが可能となったPro Pen 3
側面ボタンは3つになり、なしのカスタムできる
ペン先が見やすい設計に

 ショートカットを割り当てられるExpressKeyは本体左右裏側に配置。グリップ形状とすることで、直感的な操作が可能となった。また、本体上部に2つ、左右に1つずつ1/4インチネジ穴を用意。付属のペントレイや別売アクセサリの拡張テーブルをはじめ、マイクや照明などを自由に装着可能となった。

 そのほか、専用ユーティリティについてもUIを一新。再生可能素材やFSC認定紙の包装材、修理しやすい設計などを採用し、サステナビリティにも配慮したとする。

グリップ形状で本体搭載となったExpressKey
側面には計4カ所の1/4インチネジ穴を用意
専用ユーティリティはUIを一新
本体とあわせてデザインされた専用の別売スタンドCintiq Pro 27 Stand

 インターフェイスはUSB Type-C×2(うち1基DisplayPort Alternate Mode対応)、HDMI、Mini DisplayPort、USBを用意。なお、本製品は使用に際してスタンドが必須となっており、背面に100×100mm VESAマウントを備える。

本体。ベゼルがかなり狭くなったことで外観の印象も大きく変わった
背面。本製品の使用時にはスタンドが必須となる
純正スタンドのCintiq Pro 27 Stand
100×100mm VESAマウントを使ったモニターアームへの装着も可能
ExpressKeyはグリップ形状に
左右側面と上部に1/4インチネジ穴を装備
付属のペンホルダーも1/4インチネジ穴に固定できる
キーボードを置くこともできる別売の拡張テーブル
ペンはパーツを組み合わせてカスタムが可能。中央は重心を変える真鍮製のバランスウェイト
Pro Pen 2(左)とPro Pen 3(右、細くカスタムした状態)

部門の枠を超えたチームで開発。ユーザーの好みにあわせて使える製品に

 新製品説明会では、同社代表取締役社長 兼 CEOの井出信孝氏、プロダクトマーケティング マネージャーの小幡幸結氏、Director of Design, Technology and Experienceの西澤直也氏、Sr.Manager, Software Engineeringの加藤龍憲氏が登壇した。

代表取締役社長 兼 CEOの井出信孝氏
プロダクトマーケティング マネージャーの小幡幸結氏
(左)Director of Design, Technology and Experienceの西澤直也氏、(右)Sr.Manager, Software Engineeringの加藤龍憲氏
部門の枠を超えたチームを新たに設け、開発を進めたという

 今回の製品開発では、技術やデザインだけでなく、営業やサービスなどさまざまな部門から人を募り、新たにチームETC(Extended Core Team)を設立。事業部門ごとに枝分かれしていた開発部門を1つの部門に集約する、パートナーと共同で体験を開発するといった取り組みもあわせて進めたという。

 その中で、ユーザーの多様な好みにあわせた使い方ができるよう、いろいろな特徴を持たせた製品として開発。ペンについては、実際の鉛筆でも長さを調整して使う人がいることから、太さやボタンのカスタムだけでなく、重心を調整できるバランスウェイトを用意。モニターでは、120Hz対応により追従性を高めつつ、色味にこだわる一方で、高リフレッシュレート化によるノイズ対策も課題になったという。

スタジオコロリド アニメーション監督の石田祐康氏
実機を触りながらCintiq Pro 27を使って感じたことを語った

 そのほか、スタジオコロリド アニメーション監督の石田祐康氏も登壇。事前に製品を試用した同氏は、鉛筆に近い形状/重量を再現できるPro Pen 3のメリットや、120Hz対応により明確に体験が異なる点に言及。鉛筆の文化がいまだ強いというアニメーターのほか、イラストレーター、マンガ家などでCintiq Pro 24を使っているユーザーの置き換えにも適した製品になるだろうと語った。