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ワコム、ワークステーションを内蔵できる24型4K液晶ペンタブ「Cintiq Pro 24」
2018年2月27日 14:04
株式会社ワコムは、24型の液晶ペンタブレット「Cintiq Pro 24」を5月、「Cintiq Pro 24ペンモデル」を3月29日に発売する。直販価格は前者が311,040円、後者が257,040円。
両者の違いはタッチ対応の有無で、Cintiq Pro 24がタッチ対応、Cintiq Pro 24ペンモデルがタッチ非対応。用途や好みに合わせて選択するかたちとなっている。
これまで13型と16型の2シリーズを展開してきたが、今回の2モデルは3,840×2,160ドット(4K)表示に対応。10bit表示をサポートし、10億7,374万色の表示が可能。Adobe RGBカバー率99%。イラストレーターや漫画家のみならず、コンセプトデザイナーや工業デザイナー、3Dデザイナーやスカルプターといったクリエイティブな人々に使われることを想定している。
ペンは電磁誘導式の「Wacom Pen Pro 2」で、8,192レベルの筆圧、±60レベルの傾き検出に対応。読み取り分解能は0.005mm。コントローラ部における、入力から反応するまでのレイテンシを抑え、従来の「Cintiq 24HD」からペンの追従性を大幅に高めたとしている。
液晶表面にAG処理を施し、そのAG処理のパラメータをチューニングすることで、映り込みの抑制と紙に近い書き味を両立。さらに、別売りの「Wacom Pro Pen 3D」(発売中)にも対応。3つのサイドボタンにより、3Dソフトウェアでの操作性を高められる。
画面上に手をおいてゆったり使える、フラットな画面や広いベゼルデザインを採用。従来から稼働時の表面温度を低下させ、長時間利用でも快適だという。本体上部にはショートカットとなるタッチキーを備える。加えて、着脱式のペンホルダーも備える。PCとはDisplayPort、HDMI、USB Type-Cで接続可能。また、オプションで無線コントローラ「ExpressKey Remote」に対応する。
液晶のそのほかの仕様は、輝度が425cd/平方m、コントラスト比が1,000:1、視野角が上下/左右ともに178度など。インターフェイスは、USB 3.0、USB Type-C(ディスプレイ入力対応)、HDMI 2.0、DisplayPort、ExpressKey Remoteレシーバ用USBポート。
本体サイズは677×394×47mm(幅×奥行き×高さ)、重量は7kg。各種ディスプレイケーブルやUSBケーブルに加え、ペンスタンド、標準芯6本/フェルト芯4本、芯抜き、カラーリング、ペンホルダー、ACアダプタなどが付属する。
専用のワークステーションをドッキング可能
最大の特徴は、本体背面のケーブルカバーの代わりに、ワコムが新開発した同社初のPCワークステーション「Cintiq Pro Engine」をドッキングできる点。ケーブル接続の煩わしさから解放し、ワークスペースを有効に利用できる。液晶ペンタブレットよりも、PCの買い替えサイクルのほうが短いことに配慮し、着脱式とした。
同時発売されるCintiq Pro Engineは2モデル。下位の「Cintiq Pro Engine i5」は、CPUにCore i5-7300HQ(2.5GHz)、メモリ16GB、256GB SSD、GPUにQuadro P3200(メモリ6GB)、OSにWindows 10 Proなどを搭載し、直販価格は311,040円。
上位の「Cintiq Pro Engine Xeon」は、上記からCPUをXeon E3-1505M v6(3GHz)、メモリを32GB、SSDを512GB、OSをWindows 10 Pro for Workstationに強化し、直販価格は397,440円。
インターフェイスとして、USB Type-C、Mini DisplayPort、Mini HDMI出力、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2、TPM 2.0モジュールなどを搭載する。
なお、Cintiq Pro Engineに搭載されるQuadro P3200はNVIDIAが新たに発表したGPU。現時点ではNVIDIAの製品情報に上がっていないが、搭載メモリ容量からしてGeForce GTX 1060に近い仕様のものと見られる。PCの開発や製造を得意とするパートナーとの共同開発で実現したものだが、ドッキングしたさいの発熱などに配慮し、試行錯誤しながらの開発となった。
Cintiq Pro 24およびCintiq Pro Engineは、3月3日から4月15日まで期間限定で開かれる「ワコムギャラリー」で実機を試用できる。同ギャラリーではワコムのスタッフが常駐し、各製品の使い方の質問などにも答えられる。場所は東京都江東区常磐1-15-1 1F(都営大江戸線・清澄白河駅、または大江戸線/新宿線・森下駅から徒歩8分)。
クリエイターの声を汲み上げて開発
2月27日に都内で開かれた記者会見では、ワコム グローバル・プロダクトマネジメント シニア・バイスプレジデントのハートムート・ヴォーレイン氏が、新製品開発の背景について解説。同氏によると、今回の製品開発にあたって、さまざまなクリエイターの現場に赴き、その作業を見て、意見を聞いた上で、製品に反映したという。
とくに近年、クリエイターは2Dから3Dに転換しており、VRやARのコンテンツ制作において、液晶ペンタブレットが使われることもある。こういった業種における現在のニーズのみならず、将来考えうるニーズも取り入れ製品に反映した。たとえば、Adobe RGBカバー率の向上、大画面化や高精細化も要素の1つだ。
なお、ワコムでは年内にもさらに大型化した32型モデルを投入する予定。クリエイターのニーズに応えるならば、さらなる大型化の可能性もあると示唆した。また、3Dクリエイター向けに、空間で3Dモデルを描けるようなソリューションも、近日中に発表できるとしている。