ニュース
1つのプロセッサでさまざまなニーズに対応する第3世代Xeon SP
2021年4月7日 16:18
インテル株式会社は、Intelが6日(米国時間)発表した第3世代Xeonスケーラブルプロセッサ(Xeon SP)に関する記者説明会を開催した。第3世代Xeon SPの詳細については、既報(第3世代Xeon SPは競合より最大1.5倍高速。40コア化やメモリ/キャッシュも改善)を参照されたい。
変化を続けるデータセンターをIDM 2.0で支えるインテル
前半では、同社代表取締役社長の鈴木国正氏が登壇し、新製品の導入背景や市場環境について説明を行なった。
Intelでは、2月に新CEOとしてパット・ゲルシンガー氏が就任。「世界を変革するテクノロジーを想像することで地球上のあらゆる人々の生活を豊かにする」というパーパスを掲げ、同氏のもとでさらなる進化を遂げていきたいとした。
近年、ビジネスにおけるデータセンター需要が動的に変化するなかで、ハイブリッドクラウドやHPC、AI、5G、エッジコンピューティングが同時に進化していくことで、これまでにない規模/速度のコンピューティング環境が必要となってきた。このような流れに対してインテルでは、あらゆるワークロードに対応できる柔軟なインフラの構築において、中心的な存在を目指していくとした。
その上でこれからのデータセンターでは、機能による細分化(ディスアグリゲーション)やチップレベルのセキュリティ、マイクロサービスの利用拡大、CPUとXPUの連携の4つが重要になると考えており、これらの実現が同社の製品戦略の骨子となるという。
さらに、世界規模の社内ファブによる自社製品の製造、外部ファウンドリの柔軟な利用、製造を請け負うIntel Foundry Servicesの3つを柱とするビジネスモデルIDM 2.0(Integrated Device Manufacturer)を進めることで、戦略の実現を支えていくとした。
第3世代Xeon SPを含む最新ポートフォリオでは、高速にデータを移動するEthernetアダプタ、多くのデータを保存するOptane SSD/MmoeryおよびNAND SSD、データを処理するXeon SPやFPGA、システムレベルでのソフトウェアの組みあわせによって、性能やワークロードの最適化を実現できるとする。
Xeon SPは2017年の発表以降、累計5,000万以上を出荷し、世界中のデータセンターを支えているとした上で、製品の性能向上だけでなく、エコシステムパートナーとの協力によって、開発環境やシステム検証、導入の効率化、脆弱性対策なども進めており、今後もパートナーとともに引き続き業界全体をけん引していきたいとした。
1つのプロセッサでさまざまな用途をカバーする第3世代Xeon SP
後半では、同社執行役員常務 技術本部本部長の土岐英秋氏が、第3世代Xeon SPプラットフォームについて説明を行なった。
第3世代Xeon SPは、さまざまセグメントからの要求に対して、1つのプロセッサで対応できる製品として設計。データセンターだけではなく、クラウドやエンタープライズ、HPC、5G、エッジコンピューティングなどにも最適化したとする。Software Guard eXtentions(SGX)をはじめとするセキュリティ機能、Intel DL BoostによるAI推論支援、暗号化アクセラレーションの内蔵の3つを特徴としている。
CPUとしては、Sunny Coveマイクロアーキテクチャを採用し、プロセスルールを10nmに微細化。プロセッサあたり最大40コアを実現した。また性能面では、前世代比最大でIPCが20%、CPU全体では1.46倍、AI推論では1.74倍の向上を果たした。
さらに、20種類のAIワークロードを組みあわせた比較では、競合製品となるEPYC 7763より最大1.5倍、NVIDIA A100より最大1.3倍の性能を発揮できるとする。そのほか、システムの更新時期が近いと考えられる5年前のXeon E5-2699v4と比較すると、最大で2.65倍の性能が向上しているという。
また、メモリチャネル数の増加や最大容量の拡張、PCI Express 4.0への対応なども実施。AVX-512の拡張など、新命令の追加も行ない、ソフトウェアとアルゴリズムを組みあわせることで、Cascade Lakeと比べて性能を高めている。
第3世代Xeon SPでは、プロセッサだけでなくストレージやソフトウェア、ソリューションなどを含めたポートフォリオを用意しており、幅広いエコシステムで顧客の環境あわせた高性能なシステムを円滑に導入できる点が強みだとした。