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デジタル後進国になってしまった日本。インテルの支援策とは

インテルの上半期の動向や取り組み

 インテル株式会社は23日、オンラインで2021年上期の同社の取り組みや動向を紹介する記者向け説明会を開催。代表取締役社長の鈴木国正氏が、世界や日本における取り組みを紹介した。

 Intelは2月15日にパット・ゲルシンガー氏を新CEOに迎えたが、半導体が世の中でもっとも話題になっている中でのCEO交代となった。そんなゲルシンガー氏が掲げている言葉が「4つのSuperpowers」で、それが「クラウド」、「コネクティビティー」、「AI」、「インテリジェント・エッジ」であるという。この4つの要素が今後、破壊的なイノベーションをもたらすことが期待されているというわけだ。

 このSuperpowersを推し進めるために、同社は体制の再構築を行なっているほか、これまでの戦略を大きく転換。CPUを中心とした会社からXPU(CPU/GPU/FPGA/ASICs)への転換、シリコン重視からソフトウェアやサービスを含めたプラットフォーム重視に変革、さらにこれまでのIDMビジネスモデルをさらに一歩推し進めたIDM 2.0に進化させているとした。

4つのSuperpowers
成長戦略の転換

 IDM 2.0については、ファウンダリのTSMCと協力を深め、より強い体制にしていく。Intelとしては外部のファブを利用することで供給面を改善し、製造ロードマップを最適化できるほか、Intel自身がファウンダリサービスとなり、顧客が世界最先端のパッケージ技術、x86 IPコア、インターコネクトファブリックのIPなどを利用できるようになり、これがほかのファウンダリサービスとの差別化になる。

 特に、大規模な製造能力を提供するIntel社内のファブネットワーク、および世界最高水準のファウンダリサービスは、既に多くの企業から賛同を得ているとしており、今後独立した事業部としてさらにビジネスを拡大するために、アイルランドおよびイスラエルを中心に、2兆円規模の投資を行なっているとした。

 海外の半導体会社が活躍している影で、日本は半導体から取り残されているのではないかという声も聞かれるのだが、実はIntelのサプライヤー・コンティニュアス・クオリティー・インプルーブメント(SCQI)プログラムの受賞企業の約半分は日本企業であるとしており、世界の半導体の下支えにもなっていることを紹介した。

IDM 2.0の詳細
インテルや世界の半導体を支えている日本企業

 その一方で、デジタル競争力ランキングで日本は27位と年々順位を落としており、もはや「デジタル後進国」という事実があることも認めている。そこでインテルでは、企業にとって当たり前となっているデジタルトランスフォーメーション(DX)に加え、「データセントリックトランスフォーメーション」(DcX)も推し進めていく考えだ。

 DcXとは単純に言えば、企業が持っている多くのデータを、価値あるものに変えていくことだ。千葉市動物公園の例では、園内のカメラとエッジデバイスによるAIの分析でデータを可視化し、来園者のデータに基づいた運営スキームの改善、園内滞在社数の把握と制御による新型コロナウイルス感染防止の対策、レストラン既存メニューによるフードロスの削減と収支改善、新規メニューの開発など、成果が上がっているという。

デジタル後進国となってしまった日本
DXに加え、DcXも独自に発信している
千葉市動物公園での例

 一方で、IT関連の労働人口の不足が深刻化している問題に関しては、GIGAスクール構想に基づくPC一人一台導入の推進に加え、STEAM教育にも取り組み、カリキュラムの提供や教員研修提供の支援を行なっているとした。

 このほか、vProプラットフォームにおけるCET技術の導入、第3世代XeonスケーラブルにおけるSGX命令の強化といったセキュリティへの取り組み、脱炭素化に向けてパートナー各社や政府と協力している取り組みなども紹介された。

労働人口不足の課題
学校や教育機関向けのSTEAM Lab導入支援