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富士通の福島工場が地震から復帰。年度末に向けた生産にほぼ影響なし

地震の影響を受け、PCの生産を停止した富士通アイソテック

 2021年2月13日午後11時8分ごろに発生した福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震によって、富士通のデスクトップPCの生産などを行なう、富士通アイソテックが影響を受けた。

 同社がある福島県伊達市は、震度6弱の揺れを観測。一部地域で断水や停電が発生し、軽傷者もあった。

 富士通アイソテックでも、外壁の破損や部品の落下、漏水、一部設備の故障などの影響を受けており、14日から被災状況を確認。15日は引き続き、被災状況の確認と一部復旧作業を行なっており、デスクトップPCの生産は完全に停止した状態だった。だが、16日からはすべての生産ラインを再稼働する予定だ。

富士通アイソテックのデスクトップPCの生産ライン(2018年6月撮影)

 デスクトップPCの生産は、同社で最大規模を誇るE棟の2階で行なわれており、一時期は6つの生産ラインを稼働。1つの生産ラインで、さまざまな機種を作ることができる混流ラインが特徴で、機種ごとの需要変動にも柔軟に対応。年間で約100万台の生産能力を持っている。

デスクトップPCの生産を行なっている富士通アイソテックE棟

 富士通アイソテックでのデスクトップPCの生産停止が1日で済んだことで、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)においても、需要が高まる年度末に向けたデスクトップPCの供給状況にはほとんど影響がないと見られる。

 また、PCサーバーやプリンタについても、15日は生産を停止していたが、16日の始業時点から生産を再開する予定だという。

 なお、富士通アイソテックは、2011年3月11日の東日本大震災で被災し、サーバーは12日後の3月23日から、デスクトップPCは38日後の4月18日から生産を再開した経緯がある。この間、ノートPCの生産を行なっている島根富士通でデスクトップPCの代替生産を行なうことで需要に対応するという緊急措置も取ったが、今回はそうした措置は行なわれていない。

 その後、富士通アイソテックでは、建屋の完全修復や耐震補強工事などに取り組んでいた。

 一方、山形県米沢市のNECパーソナルコンピュータ米沢事業場は、地震によるPC生産体制への影響はなく、15日午前から通常どおりに操業した。米沢市は、最大で震度5弱の揺れとなったが、市内でも人的被害はなかった。

NECパーソナルコンヒュータ米沢事業場は地震の影響を受けなかった

 NECパーソナルコンピュータ米沢事業場は、NECブランドのノートPCやデスクトップPC、レノボブランドのThinkPadなどの生産を行なっている。

 2011年3月の東日本大震災では、生産ラインへの影響はなかったが、建屋内の壁が一部崩れたり、ひび割れ、水漏れが発生。照明器具が落下した場所もあった。