ニュース

富士通、レノボとの合併千日の成果を評価。一方デスクトップ市場縮小で生産再編も

 富士通株式会社の磯部武司取締役執行役員専務/CFOは、1月28日にオンラインで行なった2020年度第3四半期決算会見の席上、記者の質問に答えるかたちで、レノボグループと富士通のパソコン事業のジョイントベンチャーである富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が、2018年5月の事業開始から、1,000日目(Day1000)を1月25日に迎えたことについてコメントした。

 磯部CFOは、「ボリュームビジネスであるパソコン事業を、より強くし、独立した事業とするために、こうしたフォーメーションとした。富士通は、FCCLが製造したパソコンを法人向け商談に適用している。部材の品質、供給、価格といった点でもうまくいっていると評価している。よりボリュームが増え、島根富士通を中心とした国内生産によって、品質が担保されていること、世界最軽量のノートパソコンを投入している点でも評価している」と述べた。

 FCCLは、2016年2月に富士通100%子会社としてパソコン事業を分社化。2018年5月1日からは、レノボグループ51%、富士通44%、日本政策投資銀行5%の出資比率となっていた。

 一方、福島県伊達市の富士通アイソテックで行なっているデスクトップパソコンおよびサーバーの生産については、「国内でハードウェアビジネスが縮小していることもあり、より一層、効率的にハードウェアの生産を行なっていくことが必要。つねに見直しを行なっている。デスクトップパソコンやサーバーの生産を行なっている富士通アイソテックについても、できるだけ均質なものを多く集めて製造すること、いくつかの工場を含めて最適なフォーメーションにしていくという点から、構造改革を含めた再編を行なっているところである」とする。

富士通株式会社 取締役執行役員専務/CFOの磯部武司氏
福島県伊達市にある富士通アイソテック

 また、「フォーメーション改革の進捗は、大まかには終わっている。どこで生産するのが一番効率的なのかということを、物量をにらみながら、つねに考えている。現時点では、デスクトップパソコンやサーバーをどこで作るか、どこに集約するかは決まっていない」と述べた。

 デスクトップパソコンの生産を行なっている富士通アイソテックは、富士通の子会社であるが、ノートパソコンの生産を行なっている島根富士通は、レノボグループ傘下にあるFCCLの子会社となっている。

 欧州では、富士通が持っていたドイツ・アウクスブルクのパソコンの開発拠点および生産拠点を、2020年前半までに閉鎖。これに代って、FCCLは2020年4月に、自前の開発拠点であるFCCL GmbHを設置して稼働を開始。2020年3月からは、チェコにFCCL専用のパソコン生産拠点であるICZを稼働させている。

 国内において、今後、生産拠点の再編をどう進めるのかが注目される。