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24km先のゴルフボールも捉えられる32億画素のイメージセンサーが開発
2020年9月10日 06:00
米スタンフォード大学の運営するSLAC国立加速器研究所(SLAC National Accelerator Laboratory)は8日(現地時間)、世界最大となる32億画素のデジタルカメラ用イメージセンサーの製作に成功したと発表した。
このセンサーは、チリのルービン天文台(Vera C. Rubin Observatory)に設置される予定の望遠鏡「Large Synoptic Survey Telescope(LSST)」のカメラに搭載されるもの。満月40個分に相当する空間を一度に撮影でき、15マイル(約24km)離れた場所のゴルフボールが捉えられるほどの解像度を実現する。
センサーの焦点面は、1,600万画素CCDセンサーが9個と、それらを支える電子機器をパッケージ化した「ラフト」と呼ばれるユニットを21個使用して作製。撮像部分だけで計189個のセンサーを搭載している。加えて、カメラのフォーカスを調整したり、望遠鏡を地球の自転と同期したりするさいに必要な3つのセンサーがまとめられた特殊ラフトを4つ備えている。
画素幅が約10μmと非常に小さく、焦点面の凹凸も人間の髪の毛の10分の1以下に抑えた。さらに撮像面積を最大限にするため、隣接するラフトのセンサー間の隙間は人間の髪の毛5本分より狭く、センサー同士が接触すると簡単に壊れてしまうため、組み立て作業は非常に困難なものになったという。作業は特殊なガントリーを用いて約6カ月間かけて行なわれた。
完成した焦点面はクライオスタット(極低恒温槽)の内部に収められ、作動温度となる-100℃以下に冷却される。150μmのピンホールを用いた動作テストをすでに実施しており、撮影された画像も公開されている。今後数カ月中にもレンズ、シャッター、フィルター交換システムなどとともにカメラとして組み上げられていき、2021年中頃までには最終的なテストの準備が整う見込み。
LSSTカメラは、ルービン天文台から南天全体のパノラマ画像を数日おきに10年間撮影し、地球人口を超えるほどの大量の銀河や天体を観測する予定。暗黒物質や暗黒エネルギーなどといった宇宙の謎の解明に役立てられる。