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世界最大の天文学用デジタルカメラが完成。32億画素でダークマターや超新星を捉える

LSSTカメラ(出典:Jacqueline Ramseyer Orrell/SLAC National Accelerator Laboratory)

 NSF国立光赤外線天文学研究所(NOIRLab)は3日(米国時間)、天文学用として世界最大となる32億画素のデジタルカメラ「LSSTカメラ」が完成したと発表した。同カメラは、チリにあるVera C. Rubin天文台のSimonyi Survey望遠鏡に取り付けられ、ダークマターやダークエネルギーの探査や超新星の発見などに利用される。

 LSSTカメラは、小型車の大きさに相当し重量は約3トンの、天文学用として世界最大のデジタルカメラ。直径1.5mの前面レンズと、真空チャンバーを密閉するための直径90cmのレンズを備える。

出典:Jacqueline Ramseyer Orrell/SLAC National Accelerator Laboratory

 カメラの焦点面は201個のカスタム設計されたCCDセンサーで構成されており、画素幅が約10μmと非常に小さく、焦点面の凹凸も人間の髪の毛の10分の1以下に抑えられている。同カメラは、満月の7倍もの広さの空を一度に撮影でき、約25km離れた場所からゴルフボールを捉えられるほどの解像度を実現している。

 20年間の開発を経て完成したLSSTカメラは、夜空の広範囲な天体の位置をマッピングし、その明るさを測定することを本質的な目的としている。研究者らは同カメラを使用することで、天の川や太陽系内の小さな天体に関する新たな発見も期待している。

出典:Jacqueline Ramseyer Orrell/SLAC National Accelerator Laboratory
出典:Olivier Bonin/SLAC National Accelerator Laboratory