ニュース

18カ月かけて開発された「MX Master 3」の超高速ホイール

3色の「MX Master 3(手前からグラファイト、ミッドグレー、ブラック)」と「MX Keys」

 株式会社ロジクールは9月18日、ハイエンドクラスの“MXシリーズ”に属する最上位マウス「MX Master 3」と、キーボード「MX Keys」を発表した。税別店頭予想価格は前者が13,500円前後、後者は14,500円前後の見込み。9月27日より販売を開始する。

 各製品のスペックなどについては、別掲の記事『ロジクール、2年ぶりのハイエンドマウス「MX Master 3」』と、『ロジクール、エンジニア/プログラマ向けの無線キーボード「MX Keys」』を参照されたい。ここでは当日行なわれた発表会の内容と実機写真を紹介している。

MX Master 2Sからより精度向上が図られたMX Master 3

 発表会にはロジクール本社であるLogitech Internationalで、シニアプロダクトマネージャーを務めるジョン・クリストフ・エメス氏が登壇。MX Master 3とMX Keysの説明を行なった。

Logitech International シニアプロダクトマネージャーを務めるジョン・クリストフ・エメス氏

 エメス氏はMX Master 3の前モデルで、2017年に登場したMX Master 2Sが多くのユーザーから支持されたことを紹介するとともに、残すところは残し、改善すべきところは改善するという同社の開発姿勢にもとづいて今回のMX Master 3が設計されたことを説明。Master 2Sの特徴はそのままに、使い勝手や精度向上が図られた。

MXシリーズ

 MX Master 2Sからのハードウェア面での大きな変更点はホイール部分で、新たに採用された「MagSpeed 電磁気スクロールホイール」によって精度が大きく向上。エメス氏はMX Master 2Sが1回転あたり192カウントの読み取りができたのに対し、MX Master 3では1回転あたり360カウントにまで増えているという。また、秒間1,000行もの高速スクロールができることも強調した。ホイールの開発は18カ月かけて行なわれた。

MX Master 3のMagSpeed 電磁気スクロールホイール

 MagSpeed 電磁気スクロールホイールでは、下図のように電気パルスによって極性が変わる仕組みを取り入れており、ラチェットモード(一般的なホイール回転)では内部にある歯車の磁石の反発で抵抗が生まれ、逆に高速にホイールを回すフリースピンモードでは極性を反転させて歯車の抵抗をなくし、引っかかりのない高速回転ができるようになっている。磁石を使うことで切り替えはスムーズであり、静音性も保てる。ホイールにはアルミよりも重いステンレススチールが使われており、この重さも高速回転に寄与している。

MagSpeed 電磁気スクロールホイールの仕組み

 また、MX Masterシリーズのもう1つの特徴であるサムホイールについても、大きさと配置の変更が行なわれた。MX Master 2Sではサムホイールと戻る/進むボタンが並んで表示されていたが、ユーザーからのフィードバックをもとに、サムホイールの下に戻る/進むボタンが来るように配置。ホイールが大きくなっており、より回転させやすくなっている。なお、サムホイールの素材はアルミとなる。また、電池残量ボタンもサムホイールの手前に置かれ、指に隠れて見えにくくなるといったことを避けている。

サムホイール部分

 一方でエメス氏は、全体的なデザインも変わっているように見えるが、評価の高かったつかみ心地に関しては前モデルを踏襲しており、MX Master 3に移行しても違和感なく使えるはずとした。

MX Master 3
新ホイールの試作品たち。何度もブラッシュアップが行なわれたという

 また、新キーボードのMX Keysについて、MX Master 3のよきパートナーであると紹介。MX Keysは2017年に発売された同社CRAFT(ロジクール、“ダイヤル”でPhotoshopやOfficeアプリの操作を簡略化できるハイエンドキーボード参照)に類似したデザインを採用しているが、CRAFTがクリエイター向けであるのに対し、MX Keysはエンジニアやプログラマ向けの製品として開発された。

MX KeysとMXパームレスト

 実際にMX KeysにはCRAFTの特徴であるダイヤルキーがなく、エメス氏はタイピングが主体のエンジニア/プログラマーはあまりダイヤルキーを必要としておらず、このモデルでは省くことにしたという経緯を語った。タイピング面に関しては、CRAFTと同じくなめらかな打ち心地のパンタグラフキーボードが使われており、高級感もそのままとなっている。

 一方でライティング機能が大きく改善され、バッテリ駆動時間が大きく向上。近接センサーを備えており、ユーザーがキーボードに手をかざせばライトが点灯、反対に離れればライトを消灯して無駄な電力を消費しないようになっている。さらに照度センサーも実装されており、環境光に応じて明るさを自動調節。かなり明るい場所ではライトは消灯する。

 両モデルともMX Master 2Sから提供がはじまったOS間でマウス&キーボードをリアルタイムに共有できる「Flow」をサポートしており、たとえばマウスカーソルをWindows OSからmacOSに移しすさいには、自動的にMX Master 3とMX Keysの接続先がmacOSに切り替わるようになっている。

 ペアリングは3台のデバイスと行なうことができ、手動の切り替えスイッチも用意。2.4GHz帯のUSBアダプタによる接続とBluetoothの2種類の接続方式を選べる。

MX Keys

 エメス氏は1日のワークフローをこなす上で究極のデバイスであると、今回の新製品の説明を締めくくった。