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Samsung、埋め込みフラッシュを置き換える磁気抵抗メモリ「eMRAM」の量産を開始

eMRAM

 Samsungは6日(韓国時間)、世界初の商用「埋め込み用磁気ランダムアクセスメモリ(eMRAM)」の量産を開始したことを発表した。

 eMRAMは、従来の埋め込み用フラッシュメモリ(eFlash)を置き換える、新たな埋め込み用メモリとして期待されているもの。eFlashは電荷の蓄積を基本とした動作原理のため、消去と書き込みの動作に高い電圧が必要で、これ以上の微細化が難しいとされている。

 一方eMRAMでは、磁気抵抗を動作の原理としているため、より微細化が可能であるほか、不揮発性であることや高いランダムアクセス性能、書き換え回数が多く優れた耐久性を持つといった、メモリとして優れた特徴を備えている。

 Samsungが今回量産を開始したのは、同社の28nm完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ(FD-SOI)プロセス(28FDS)に基づき製造されるeMRAMで、eMRAMはデータを書き込む前の消去サイクルが不要なため、eFlash比で約1,000倍高速な書き込み速度を実現しており、より低電圧で動作し、かつ電源オフ時に電力を消費しないため、電力効率が大幅に向上できるという。

 同社のeMRAMソリューションでは、28FDSとの組み合わせでトランジスタ制御を改善し、ボディバイアス制御によってリーク電流を最小限に抑えることで、マイクロコントローラユニット(MCU)やIoT、AIなどのさまざまなアプリでメリットを提供するとしている。

 また、わずかなレイヤーを追加するだけで実装できるため、既存技術との容易な統合を謳う。

 同社では、2019年内に1GbのeMRAMテストチップをテープアウトする予定で、18nmのFD-SOIプロセスへと将来的に拡張する見込みであるとしている。

Introducing SAMSUNG FOUNDRY's eMRAM