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【詳報】キングジム、電子ペーパー搭載で折りたたみキーボードの「ポメラDM30」
2018年5月15日 17:19
株式会社キングジムは、初の電子ペーパーディスプレイを採用したテキスト入力専用のモバイル端末「ポメラDM30」を6月8日に発売する。税別価格は43,000円。
同社のユーザーアンケートによると、DM200のようなスレート型キーボードと、従来のDM10のような折りたたみ式キーボードの支持率は半々。よって、今回はラインナップに加えるかたちでの投入となった。
新開発の折りたたみ式キーボードはキーピッチは横が17mm、縦が15.5mm。このキーピッチの実現には観音開き機構が大きく寄与しているという。キーストロークも従来の2mmから浅くなり、打ち心地が向上。また、観音開きにした部分を支えるフットはキーボードを開くと同時に飛び出す機構で、開いてすぐに使えることも特徴としている。さらに、耐久性も向上したという。
新たに採用される電子ペーパーはE Inkが開発したモデルで、800×600ドット表示対応の6型。E Inkは反射型ディスプレイで、紙の印刷と同じ顔料が使われているため、紙に近い見た目を実現している。
ポメラDM30ではパイプライン型のコントローラICにより、従来の電子ペーパーのように全画面の更新をすることなく、画面の一部分だけを高速に書き換えできる。ただしこの仕組みでは前に表示した内容の跡がうっすらと残るため、一定の更新のあと全画面をいったん反転させて、跡が残らないようリフレッシュする仕組みが取り込まれている。また、標準ではユーザーがF12キーを押すことで強制リフレッシュをすることも可能。
ソフトウェア面の特徴としては、DM200でも採用されたアウトライン機能を新たに搭載し、最大10階層のツリー構造表示が可能になった。見出し単位で階層・位置を変更可能で、長文作成に好適としている。
SDカードスロットやMicro USBポートを備え、PCとのデータのやり取りが可能。本体で入力したテキストをQRコード化し、専用のスマートフォンアプリ「pomera QR code reader」で読み取り可能。また、新たに東芝の無線LAN機能つきSDカード「FlashAir」に対応し、同アプリへの転送が可能となった。
日本語入力システムはジャストシステム開発の「ATOK for pomera」を搭載。DM200では「ATOK for pomera Professional」となっているが、本製品ではDM100相当になっている。ただし辞書は更新されており、変換精度が高まっているとのことだった。
本体サイズは収納時が約156×128×33㎜(幅×奥行き×高さ)、利用時のフットプリントが約286×131㎜(幅×奥行き)。本体重量は約450g(電池含まず)。バックアップ電池としてCR2032コイン電池を1個利用する。アクセサリとして専用ケース「DMC6」を税別4,000円で用意する。
ポメラはキングジムの「ニッチ戦略」から生まれたもの
15日に都内で開かれた記者発表会では、同社常務取締役の亀田登信氏が挨拶。ポメラは2008年に投入されて以来、10年の歴史を持ち、これまでに累計で35万台を売り上げたヒット商品となっているが、じつは当初、「PCがある時代にテキスト入力に特化した製品は市場に受け入れられるのか?」といった議論が社内で行なわれ、製品化を見送ろうとした時期もあったという。
しかし当時の取締役は「新幹線のなかや外出先で、テキスト入力だけをしたいニーズは絶対にある」と熱く支持。商品化してみたところヒット作になったという。
「キングジムは独創的な商品を開発し、新たな文化の創造をもって社会に貢献するというスローガンを掲げている。これはテプラのような、いまや企業のなかで当たり前に使われるような製品のみならず、ポメラのような、一部の人にのみヒットする製品も展開する、つまりフルライン戦略とニッチ戦略の両立から生まれる。今後もこの戦略を踏襲し続けていく」と語った。