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VESA、DisplayPort 1.4aの次世代規格を示唆。転送レートは2倍に
2018年5月15日 15:44
VESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)は5月15日、DisplayPort規格に関するメディア向け説明会を開催し、VESAがこれまで発表してきたDisplayPort規格などに関する進展を説明した。
説明会に登壇したVESA コンプライアンスプログラムマネージャーのジム・チョート氏は、VESAのパートナー企業が着実に増え、2018年3月現在では275社が参加していることアピール。
さらにVESA推進のDisplayPort規格を採用する製品がスマートフォンなどを筆頭に順調に増加しているとし、STRATEGY ANALYTICSの出荷台数予測を例に挙げ、2017年には2億1,500万台だったDisplayPort/DisplayPort Alt Mode採用デバイス(PCやタブレットも含む)が、2018年には61%増の3億4,500万台に伸長する見通しであることを語った。
STRATEGY ANALYTICSによれば、DisplayPortが支持される理由として、4K UHDかそれ以上の映像対応、VR/ARでの利用、USB Type-C/Thunderbolt 3規格サポート、ドッキングステーションとの連携が可能な点などが挙げられている。
DisplayPort 1.4の次世代規格は転送レートが倍に
チョート氏は、今年(2018年)の4月19日にリリースしたDisplayPort 1.4a規格について改めて説明し、同1.4からデータ圧縮機能の「DSC(Display Stream Compression)」、エラー訂正機能の「FEC(Forward Error Correction)」、マルチディスプレイ出力機能の「MST(Multi-Stream Transport)」の改善や改良が行なわれた以外に、新要素としてHBR3準拠(転送レート8.1Gbps)のDisplayPort 8Kケーブルの仕様が加わっていることを強調した。
そしてチョート氏は、VESAがすでに2017年末からDisplayPort 1.4の次世代規格の策定に着手していると述べ、次世代のDisplayPortでは転送レートがHBR3の2倍になるという。とりわけ、次世代規格ではプロトコルのオーバーヘッドの削減に力を入れているとのことで、8b/10bによる20%のオーバーヘッドを減らすことで、もっと高いエンコードレートを実現することを目指していると語った。
このほか、今年の4月からDisplayPortの認定にHDCP適合性テストが必須となったことや、DisplayPort 1.4 PHY(物理層)のCTS(Compatibility Test Suite: 互換性テストスイート)のドラフトが来週以降にリリース予定であることなどを説明した。
DisplayPort 8Kケーブルについても言及があったが、現在量販店などに置かれている8K対応をうたうDisplayPortケーブルのほとんどについて検証を行なったところ、VESAが認定し得る基準に達していないという事実が語られた。
DisplayPort 8KケーブルがHBR3にきちんと準拠し、8Kでの転送が行なえるかどうかの保証は、DisplayPort 1.4のケーブル規格で定められた以下の写真の新しいロゴで確認してほしいとしている。
認証済みの8Kケーブルは現状では高価ではあるものの、ロゴがついていない8K対応をうたうケーブルについては本当にそれに見合った利用ができるかどうかはまったく当てにならないとし、警鐘を鳴らした。なお、認証済みのDisplayPort 8Kケーブルはすでに台湾のベンダー3社から出荷済みであるという。
チョート氏は、VESAはDisplayPort以外にも、AR/VRと自動車の領域にも注力しており、前者はAR/VR Task Group、後者はAutomotive SIGとして、パートナー企業各社と協力して団体を運営し、技術の発展に貢献していくとした。