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ぬる&ガチゲーマーからマイナーまで、この冬買いのビデオカード教えます

DOS/V POWER REPORT2018年2月号の特集は「PCパーツ100選+600」

現行12製品のベンチマーク比較を敢行! “買い”なのはどれだ!?

 DOS/V POWER REPORT2018年2月号(12月27日発売)では、「PCパーツ100選+600」と題して、 第8世代CoreプロセッサーとRyzenの登場で盛り上がりを見せるCPU市場を筆頭に、マザーボード、メモリ、ビデオカード、SSD、HDD、PCケース、電源、CPUクーラーなど、主要ジャンルのパーツを紹介しています。124ページ(!)という超特大ボリュームの特集から、ここではビデオカードの最新トピックと、各種ベンチマーク検証の結果、さらにレコメンド製品の紹介の一部を抜粋して掲載します。特集の全貌はぜひ本誌を購入してお楽しみください。

トピック(1) GeForceは安定、Radeonは激動の2017年

 NVIDIAは3月にシングルGPUとしては最速の「GeForce GTX 1080 Ti」をリリース。その翌月にAMDは「Radeon RX 500」シリーズを投入したものの、性能的にはGTX 1070程度にとどまる。2017年序盤は上位GPUはGeForceが圧倒的有利な状況で始まった。

 これを逆転させる切り札として期待を集めていたのが「Radeon RX Vega」シリーズ。ビデオメモリにコンシューマ用GPUとしては初めて「HBM2」を搭載、さらにGPUコア部との接続にInfinity Fabricを使うことで、次世代APU(Raven Ridge)への展開も強く意識した製品だ。しかし性能はGTX 1080前後、さらに消費電力が大きい上にHBM2の供給量の問題から高価かつ流通量はわずかと、コンシューマ市場での評価は今一つ。ただ、今年のイーサリアム高騰を引き金にした“仮想通貨マイニング”ブームによって、RX 580/570が一時期店頭から消えてしまうなど、AMDは思わぬ方向からの潮流に助けられた感があるのが興味深いところではある。

 そしてこの年末、NVIDIAはHBM2を採用したVoltaアーキテクチャで設計された「TITAN V」を発表。2018年にVoltaベースの新GeForceが出るという観測もあるが、HBM2のコストとVegaの失速という状況から、NVIDIAはPascal改良版である“Ampere”を投入するのではとも噂されている。現状をかんがみると、2018年もゲームにおいては当面はGeForce系有利だが、AMDもVega後継となる“Navi”を後半(初秋か?)に投入すべく準備を続けている。AMDが劣勢をどう盛り返すか、そしてNVIDIAがどこで設計を刷新するのか、2018年はここに注目していきたい。

GTX 1080 Tiがハイエンドを席巻
前年に登場したTITAN Xより高速ながら価格は6割程度という圧倒的コスパでハイエンドGPU市場を制圧したのがGTX 1080 Ti。TITAN Vが出るまではシングルGPUでは最速だった
期待のVegaは出荷量が……
Radeon系ハイエンド大空位時代を埋めるはずだったVegaだが、性能うんぬんの前にカードメーカーでもチップ確保に手を焼くほど出荷量が少ないのが最大の難点

トピック(2) 「どのゲームで」と「どう遊ぶか」でGPUを選ぶ

 「遊びたいゲームによりGPU選びを変えろ」はやや古いセオリー。今はこれに加えて「ゲームをどのように遊びたいか」まで考えるのがベターだ。

 まず第一に考えるべきはフレームレート60fpsのキープ。たとえばPUBGこと「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」を最高画質の“ウルトラ”設定で遊ぶことを考えた場合、ゲーム中の状況(プレイヤーの人数や地形など)によって変化はするが、おおむねGTX 1070以上であれば60fpsをキープ、GTX 1070未満だと一気に20fps程度落ち込む傾向。ミドルレンジGPUでフレームレートを稼ぐには、画質設定を下げないと厳しい。高画質プレイは難しいが、いくつかの項目を下げれば、GTX 1060でも60fpsキープが可能だ。

 これをクリアしたら、次に考えたいのが60fpsより上を狙うかどうかだ。ゲーム内の動きが激しい「オーバーウォッチ」の場合、144~240Hzの高リフレッシュレート液晶でプレイすると、動きが普通の液晶よりなめらかになり、状況把握がしやすくなる。だが、高いリフレッシュレート液晶のメリットは、60fpsを大きく超える高フレームレートが出せるGPUがないと発揮されず、投資がまったくのムダになる。オーバーウォッチのフルHD&最高画質設定の場合、最低でもGTX 1060以上ないと普通の液晶を使っているのと変わらなくなってしまう点に注意したい。

 フレームレート重視とは対極にあるのが4K&超高画質志向のプレイスタイルだが、現行GPU1枚では残念ながら4Kで快適なゲームはかなり軽いものに限られる。4Kは次世代以降のGPUで考えたほうがよいだろう。

【検証環境】CPU:Intel Core i7-7700K(4.2GHz)、マザーボード:ASRock Fatal1ty Z270 Gaming K6(Intel Z270)、メモリ:Corsair CMU16GX4M2A2666C16R(PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2)、SSD:Intel SSD 600p SSDPEKKW512G7X1[M.2(PCI Express 3.0 x4)、512GB]、電源:SilverStone ST85F-PT(850W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 10 Pro 64bit版、PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS:ソロマッチ開始時にプレイヤーが集う島において一定のコースを移動した際のフレームレートを「Fraps」で計測、オーバーウォッチ:マップ「King's Row」をプレイした際のフレームレートを「Fraps」で測定
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS
地形や天候、画面上のプレイヤーの存在などによって重さがかなり変動するが、GTX 1070以上ならフルHD&最高画質でも60fpsキープが期待できる。なお、下のテスト結果は早期アクセス中のバージョンでのもの
プレイの質を高める高速液晶
ASUSTeK「ROG SWIFT PG258Q」の液晶パネルは最高リフレッシュレート240Hzまで対応。ただし、高fpsが安定して出せるビデオカードがないとまったく意味がない
オーバーウォッチ
eスポーツ性を重視したゲームデザインゆえに、キャラの動きはPUBGよりはるかにせわしない。素早い動きを見切るにはぜひとも高リフレッシュレート液晶も揃えたいところ

トピック(3) 同じGPUで設計の違うカード、どこで違いを見る?

 GPUが同じでも、それをどう実装するかで製品の味付けは変わる。とくに重要なのがクーラーのサイズとその仕上がりだ。クーラーが大きいほど冷却力が上がり、その分高クロック動作も期待できるため、少しでも性能が欲しいなら大型クーラー(究極的には水冷タイプ)が欲しい。だが、Mini-ITXや薄型のPCケースに組み込みたい場合は、ショート基板やLow Plofile対応のコンパクトなカードが必要になる。

 次にポイントになるのは補助電源コネクタの仕様だ。同GPUでも動作クロックが高いものほど、補助電源コネクタも6ピン×1⇒8ピン×1⇒8/6ピン×複数、と強化される。今時の600Wクラスの電源ユニットならさほど気にする必要はないが、マルチGPU構成にする場合、あるいは古い電源ユニットを使い回す場合は、電源ユニット側の補助電源ケーブルの数を確認したほうがよい。

 さらに最近の注目ポイントはデザイン性だ。現在の製品はマザー同様に光るものが主流。ただ、ビデオカードとマザーの発光を連動させるためにはメーカー縛りが出てくるので、どこまで見た目を追い求めるかでメーカーを絞り込むのも手だ。

【検証環境】CPU:Intel Core i7-7700K(4.2GHz)、マザーボード:ASRock Fatal1ty Z270 Gaming K6(Intel Z270)、メモリ:Corsair CMU16GX4M2A2666C16R(PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2)、SSD:Intel SSD 600p SSDPEKKW512G7X1[M.2(PCI Express 3.0 x4)、512GB]、電源:Corsair RM Series RM650(650W、80PLUS Gold)、OS:Windows 10 Pro 64bit版、GPU温度およびGPUクロックの推移:ウォッチドッグス2を30分プレイして終了、10分間アイドル状態としたときのGPU温度とGPUクロックをHWiNFO64で測定
カードサイズは非常に重要!!
同じGPUを採用してもサイズを短くしているカードもあるが、性能や冷却力は大型クーラー搭載モデルのほうが有利。もちろんPCケースに物理的に入るサイズのものを選ぶのが大前提

トピック(4) マイニングってどうなの?

 2017年は、さまざまな仮想通貨の値段が上がり、それに伴ってGPUマイニングで市場が狂乱した年でもあった。イーサリアムを筆頭に、数多くのアルトコインが注目されたが、これらはGPUマイニングの効率が高い点で共通している。Radeonはイーサリアムやモネロと相性が非常によく、GeForceはモナコインやジーキャッシュに向いている。ただし、儲けが出るかどうかは電気料金と投入する機材のバランス、掘るコインの相場で決まる。本腰を入れるなら、資金力と時流を読むカンが必要だ。

マイニングに向けたオススメパーツ
特徴オススメパーツ
イーサリアム(ETH)今のブームの火付け役。GPUでのマイニングに向くRadeon RX 580/570/470、GeForce GTX 1070 Ti/1070/1060
モネロ(XMR)CPUでのマイニングでも利益が見込めるRyzen 7 1700、Radeon RX 580/570/470
モナコイン(MONA)日本発の仮想通貨。2017年に急騰!GeForce GTX 1080 Ti/1080/1070 Ti/1070/1060
ジーキャッシュ(ZEC)GPUマイニング向きの匿名通貨Radeon RX 580/570/470、GeForce GTX 1080 Ti/1080/1070 Ti/1070/1060

今期注目の製品を一斉ベンチ!

 今期も多数の製品が市場に出回ったが、その中から、レコメンド製品“候補”となる注目の12製品をピックアップ、その実力をチェックした。ピックアップの基準は、製品のスペックや完成度、コストパフォーマンスや小型・Low Profileといった使い勝手のよさといった特筆すべき長所の有無など。なお、カードの設計の方向性や仕様がまちまちであるため、各テストの結果、とくに消費電力はOCモデルだと差が大きく出やすい。GPUの純粋な性能差というより注目製品はこんな性能だ、という観点で眺めるとよいだろう。

 まず定番の「3DMark」では、今年のGPUの実力番付が浮き彫りになった。Pascal世代最上位チップの(ほぼ)フルスペックで勝負に出たGTX 1080 Ti搭載カードのスコアはとびきり高い。GTX 1070から1050 Tiの製品では、グレードに応じてそれぞれ大きな差ができている。今回試したGTX 1050 Tiカードはクーラーの小さなLow Profile版であるため、通常サイズのクーラーを備えたOC版GTX 1060とのスコア差が大きい。PCゲームをする上で大きく響いてくるポイントだが、メーカー製PCも含めてさまざまなマシンで利用できることからチョイスしている。

 一方Radeon系は、RX Vega 64および56でHBM2をいち早く採用したにもかかわらず、得意なはずのDirectX 12ベースのテスト(Time Spy)においてもGTX 1080のやや下程度にとどまった。しかも今回テストしたRX Vegaの両カードはリファレンス仕様ながら消費電力はGTX 1080 Tiを超えている。ドライバ改善で性能を伸ばせてはいるものの、ワットパフォーマンスの悪さはRX Vega最大のネックと言える。ただ、ミドルレンジのRX 580/570はGTX 1070/1060の性能の差を埋める位置に上手に付けている。FF14のようにRadeonが特別不利というゲーム、あるいはGeForce系オンリーの付加機能(Shadowplay Highlights)が不要なら、ややワットあたりの性能は劣るものの、十分使っていけるカードと言える。

【検証環境】CPU:Intel Core i7-8700K(3.7GHz)、マザーボード:GIGA-BYTE Z370 AORUS Gaming 7 (rev. 1.0)(Intel Z370)、メモリ:G.Skill F4-3200C14D-16GTZR×2(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×4、PC4-21300として動作)、SSD:Intel SSD 600p SSDPEKKW512G7X1[M.2(PCI Express 3.0 x4)、512GB]、電源:SilverStone ST85F-PT(850W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 10 Pro 64bit版、暗騒音:35.7dB、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:3DMark-Time Spyデモモード実行中の最大値、電力計:ラトックシステム REX-BTWATTCH1、ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマーク:画質“最高画質”に設定して計測、アサシン クリード オリジンズ:画質“最高”に設定して内蔵のベンチマーク機能で計測、Forza Motorsport 7:ダイナミックオプティマイゼーションを無効化、MSAAを4x、そのほかの画質関係の項目はすべて一番重くなるよう設定して内蔵のベンチマーク機能で計測

決定!お勧めビデオカードはこれだ!

 上記の結果を受けてレコメンド製品に選定したのが以下の製品たち。


パワレポ2月号ではこのほか40以上のビデオカード製品を紹介しています。