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Coffee Lake! Ryzen! Core X! Threadripper! メニーコア戦国時代、買うべきCPUはこれだ
2017年12月27日 15:03
自作PC向けパーツの年間ベストを発表! 今年はさらに600製品を掲載! 空前の大ボリューム124ページでお届け!!
DOS/V POWER REPORT2018年2月号(12月27日発売)では、「PCパーツ100選+600」と題して、 第8世代CoreプロセッサーとRyzenの登場で盛り上がりを見せるCPU市場を筆頭に、マザーボード、メモリ、ビデオカード、SSD、HDD、PCケース、電源、CPUクーラーなど、主要ジャンルのパーツを紹介しています。
さらに、セクションごとに、本誌執筆陣のガチ投票またはベンチマーク検証によって、とくにオススメのレコメンド製品を発表しています。124ページ(!)という超特大ボリュームの特集の中から、ここではCPUのトレンド紹介と、ベンチマーク検証、レコメンド製品の紹介を抜粋して掲載します。特集の全貌はぜひ本誌を購入してお楽しみください。
今、CPU市場が熱い!
2017年11月にIntelから開発コードネーム「Coffee Lake-S」こと最新の第8世代Coreプロセッサーが登場。同社メインストリームとして約11年ぶりに物理コアが増加し、Core i7、i5、i3すべてのグレードで性能がジャンプアップ。2017年1月に投入されたばかりの先代の第7世代Coreプロセッサーを1年もたたずに、名実ともに「過去の製品」にしてしまった。しかも価格は先代モデルの発売時とほぼ変わらないのだから盛り上がらないはずがない。世代更新のペースといい、仕様、価格といい、近年にない大判振る舞いだ。
IntelはCoffee Lake-Sの投入前にもウルトラハイエンドのラインナップを更新。最大18コア36スレッドのCore i9-7980XEを筆頭とするラインナップをズラリと揃えている。
それもこれも原因はAMDだ。2017年3月に8コア16スレッドのRyzen 7、続く4月には最大6コア12スレッドのRyzen 5をメインストリームに投入。さらにウルトラハイエンドには、最大16コア32スレッドのRyzen Threadripperを投入。いずれもスペックに見合うパフォーマンスを実証し、2017年前半のCPU市場の話題を独占。Intelのライバルと言える存在に見事に返り咲いた。これが今の活況につながっている。現在のCPU市場は1年前の製品から大きく進歩した高性能なCPUが並び、購入には最高のタイミングだ。
第8世代が第7世代を圧倒。Core i5がi7の上をゆく
現行CPUの具体的な性能と消費電力はどのくらいなのか。現行ラインナップの主力モデルに対して、ベンチマークテストを実行した。参考として4年前のハイエンドであるCore i7-4770Kのシステムの結果も掲載した。
CINEBENCH R15は3DCG描画処理を用いてCPU性能を測定するテストだ。“CPU”はマルチスレッド性能、“CPUシングルコア”はシングルスレッド性能の目安になる。“CPU”ではCore i7-8700Kは、7700Kから約45%と大幅にアップ。また、Core i5-8600KがCore i7-7700Kを上回り、Core i3-8350KとCore i5-7600Kがほぼ同じスコアであるなど、コア数の多い新世代が圧倒的な優位だ。
AMDは第8世代Coreのさらに上をゆく。8コアのRyzen 7 1800XはCore i7-8700Kよりさらに15%上のスコア。ミドルレンジの比較でもスレッド数に優るRyzen 5 1600XがCore i5-8600Kを上回った。超メニーコアのRyzen Threadripper 1950Xは3,000超、まさに異次元と言えるスコアだ。
一方シングルスレッド性能はIntelが強い。最大4.7G H zで動作するCore i7-8700K、4.5GHzのCore i9-7900X、Core i7-7820X、Core i7-7700Kなど、新旧問わずTurbo Boostの最大周波数が高いモデルが上位を占めた。
PCMark 10はさまざまな用途を実際のアプリを使ってシミュレートする内容。EssentialはWebブラウズなど基本的な内容で、Productivityはオフィス、Digital Content Creationはクリエイティブ、Gamingは3DMarkのFire Strike相当のテストで、ゲーム性能を見る。総合スコア(Extended)ではウルトラハイエンドの2モデルを抑えてCore i7-8700Kがトップで、総合的なバランスのよさを実証している。Ryzen Threadripper、Ryzenはマルチスレッド性能が物理演算などで活きるGamingで強いが、シングルスレッド性能が少し足を引っ張っている。
3D描画性能のテストは、DirectX 12ベースの3DMarkのTime Spyを実行している。DirectX 12はAPIのオーバーヘッドを減らし、CPU性能、とくにマルチスレッド性能を活かせるようになっており、CPUテストではSSE3が使われる。結果はやはりコア数、スレッド数が多いモデルがよい。
アイドル時の消費電力がもっとも低いのはIntelのLGA1151系で、どちらかと言えば第8世代のほうが低い傾向だ。AMDのRyzenはそれより10Wほど高い。ウルトラハイエンド系では逆にAMDのほうがIntelより低いことが分かる。
高負荷時は、CINEBENCH R15はほぼ純粋なCPU高負荷時、PCMark 10はビデオカードの影響が大きいが、参考までに掲載した。Core i7-8700Kは7700Kより増えているが、率で言えば29%で、性能の差が45%あることを考えれば電力効率はむしろよい。Core i7-7820Xと比べると優秀さが際立っている。また、Ryzen 7 1800XとCore i7-8700Kの差は26%で、こちらは性能差15%より上回っているので効率で言えば少し劣るが、メインストリームの範疇には収まっており、こちらも悪くない。
バランスならCoffee Lake-S。マルチスレッドならRyzen
全体としては、Intelでは第8世代Coreプロセッサーの優秀さ、バランスのよさが目立つ。新Core i5は旧i7を、新Core i3は旧i5を食ってしまうようなパフォーマンスを見せており、今から一式揃えるならば、あえて第7世代を選ぶ理由はほとんど見当たらない。一方、AMDのRyzenも、マルチスレッド性能では各セグメントでその第8世代のさらに上をいっており、総合力ならCoffee Lake-S、マルチスレッド重視ならRyzenだろう。
実際のゲームではどうか? 8700Kは安定した強さ。Core i3-8350Kも健闘
実際のゲームでの性能も見てみよう。ここではこれまでのテストとは環境が異なり、ビデオカードにGeForce GTX 1080 Tiを利用している。まずはゲーム実況配信で人気のPUBG(PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS)の性能だ。ソロプレイを行ない、フィールド上を2分移動した際のフレームレートをFrapsで計測している。
もともとCPUよりもGPUの影響が大きい上に、マップの出現地点、ほかのプレイヤーの動向などランダムな要素が多く、どうしてもばらつきが生じてしまうが、人気のゲームであり、参考として掲載する。Ryzen 7 1800XよりRyzen 5 1600Xのほうがよいなど、掴みどころがない結果だが、Core i3-8350Kでも遜色ないフレームレートが出ていることも確認できる。
FF14ベンチは最高品質で3種類の解像度で比較した。解像度が低い場合ほど差が顕著で、ここでもCore i7-8700Kがもっともよい。次は意外にもCore i3-8350Kで、4GHzという高い動作周波数が効いたのだろう。8コアのRyzen 7 1800X、6コアのRyzen 5 1600X、10コアのCore i9-7900Xは似たような結果だ。4Kで差がほとんどないのは、GPUがボトルネックになっているためだ。
決定! お勧めCPUはこれだ!
今回のテストの結果も踏まえつつ、お勧め製品を決定した。テストの考察でも触れたように、Intelの第8世代は第7世代を大きく上回っており、あえて第7世代を選ぶ理由はない。なかでも最上位のCore i7-8700Kの万能ぶり、バランスのよさが光っており、これをゴールドレコメンドとしたい。また、ミドルレンジながら前世代のハイエンドであるCore i7-7700Kと互角以上の性能を持つCore i5-8600Kもゴールドとした。シルバーは、高いマルチスレッド性能を持つRyzen 7 1800X、コスパの高さではその上をゆくRyzen 5 1600Xを選んだ。
パワレポ2月号ではこのほか40以上のCPU製品を紹介しています。