ニュース
仮想通貨のマイニングはスタイル色々
~仮想通貨は自分のPCで掘る!
2017年11月29日 06:00
効率重視ならリグが一番
現在個人がPCで行なうマイニングは“リグ”と呼ばれる形式のマシンを作って実行するのが主流です。基本的には普通のPCでもできるのですが、たくさんビデオカードを挿して効率化したりムダな部分をそぎ落としてマシンあたりのコストを削減しようとしたりすると、マイニングマシンの形は普通のPCとは少し違ったものになります。
たとえば複数のビデオカードを挿す場合、普通のPCケースにはせいぜい入って2、3枚ですが、リグフレームというケースならば12枚入るものもあります。また多数のビデオカードをケースに収めると熱がこもってしまうのですが、リグフレームに関しては外装がなく、各パーツはほぼ裸に近い状態なので風通しがよく、そこに直接扇風機で風を当てるなどすれば、効率的に冷却できます。
ただ、むき出しの状態となるので管理には気を使います。よく悩まされるのはホコリの問題です。PCケースを開けるとホコリがびっしりなんてことはよく目にしますが、それがビデオカード単位で起こり始めます。ヒートシンクにホコリが詰まると、冷却が追い付かず、ヒートパイプ内の冷却液が漏れ出すことがあります。そこにホコリが付くと、汚くなるだけではなく壊れる原因になります。
その点ケースに入れてのマイニングであればある程度のホコリはケースファンにフィルタを付けることで侵入を防げます。リグだとひどい場合は虫などがファンに詰まってオーバーヒートするので、気軽にやりたい場合は一般のPCケースに入れてのマイニングのほうが向いています。
【パターン1】ビデオカード多数! マイニングリグを作る
マイニング専用のフレームやメタルラックを使ったマイニング専用のPCは「リグ」と呼ばれます。ビデオカードの搭載数と冷却力を重視した構成で、むき出しの状態で設置し、扇風機やサーキュレーターで強制的に冷やすのがメジャーな使い方です
○ メリット
- 冷却を効率化できる
- 1台のマシンに複数のビデオカードを搭載できる
- より冷えるのでビデオカードのOCもしやすい
× デメリット
- パーツがむき出しなので水分に注意が必要
- ホコリが付くので清掃が大変
- 配線がむきだしなのでショートの危険がある
【パターン2】普通のPCケースでマイニング専用マシンを作る
一般的な自作向けのPCケースを使ってマイニング専用PCを作る人もいます。設置しやすく、パーツの選択によっては低予算でスタートできます。ただし、ビデオカードの搭載数は限られるので、PC1台あたりのマイニング効率には限界があります
○ メリット
- 一般的なパーツ構成で簡単に始められる
- ホコリの侵入がある程度防げる
- 設置しやすい
× デメリット
- 冷却が追い付かない可能性がある
- ビデオカードが数枚しか入らないのでリグよりもコスパは落ちる
手持ちのゲーミングPCでマイニングすることも可能
「マイニング用に新たにPCを組むのもなぁ」と思う方も多いでしょう。その場合は、現在お持ちの自作PCやメーカー製のゲームPCを活用する手もあります。ゲームをするために高性能なビデオカードが積まれている場合は、極端に古い世代でなければある程度の利益を出すことができます。
またゲーム向けパーツはゲーム中の高負荷にも耐えられるように設計されているので普通のPCよりは安定性が高いと考えられます。ただゲーミングPCも毎日24時間最大負荷で動かすことは想定されていないので、壊れる可能性は通常使用より高まると言えます。
古くからの自作ユーザーなら余っているパーツをかき集めて1台組んでのマイニングもお勧めです。マイニングで要になるパーツはビデオカードですが、逆に言えばビデオカード以外はそこまでスペックを要求されないので、古いものでも動きさえすればマイニング自体はできてしまいます。中古ショップで型落ち品を安く調達してきてのマイニングもパーツ選びに自信のある方でしたらできると思います。
ただ中古パーツには耐久性が大幅に落ちているものもあるので注意が必要です。中古パーツは保証が受けられるところで購入し、もしも短期間で壊れてしまったときは交換してもらえるようにしておくとよいでしょう。
【パターン3】ゲーミングPCで空いた時間にマイニング
ゲーム用のPCをゲームをプレイしていないときに活用する方法として、マイニングを始めた人はとてもたくさんいます。ゲーミングPCなら基本的にビデオカードは搭載されているので、すぐに始められるのが最大のメリットと言えるでしょう。
○ メリット
- ゲームプレイ以外にビデオカードが活躍できる
- PCを使っていない時間帯を活かせる
- ビデオカードがあるのですぐにマイニングできる
× デメリット
- マイニング中はゲームができない
- 使用するビデオカードによっては効率が悪い
【パターン4】余ったPCパーツとビデオカードでマイニング
マイニングはほぼビデオカードしか使いません。そのため、CPUやメモリが旧世代でも問題なく現役で使えます。余っているパーツがあれば、それでとりあえずマイニングしてみるのもよいでしょう。ただ、電気代には注意しておきましょう。
○ メリット
- 古いパーツを活かせる
- 初期費用がかからない
- すぐに始められる
× デメリット
- ビデオカードによっては電気代のほうが高くなる
- パーツの劣化具合によっては負荷に耐えられるか心配
#コラム 中古パーツは活用しないほうがよい?
中古パーツの中でも使ってもよいジャンルと悪いジャンルがあります。CPUやメモリなどはマイニングでとくに消耗するわけではないので中古でもよいのですが、ビデオカードと電源に関して注意が必要です。この2つは最大負荷がかかり続けるので耐久性が著しく落ちた中古品だとすぐに壊れてしまうことがあります。
また熱で腐食しているケーブルなどを使うとそこから焦げてしまったり、不具合だけでなく火事の原因になることがあります。ビデオカードと電源に関しては新品をお勧めします。
ハッシュレート(仮想通貨の採掘率)の安定度を示したグラフです。劣化したビデオカードはハッシュレートが安定せず、マイニングの効率が落ちてしまいます。中古パーツの場合、単に壊れやすいというだけではなく、こうした心配もあります
DOS/V POWER REPORT2018年1月号では仮想通貨マイニングを大特集
DOS/V POWER REPORT1月号では、マイニングを行なう“マイナー”のコミュニティを主催する“マイナー太郎”氏の協力を得て、同氏の知識にDOS/V POWER REPORTが得意とするPCパーツ関連のノウハウを融合。マイニングの基礎と、その始め方について「特集・仮想通貨は自分のPCで掘る!」と題して詳しく解説。
また、金融ライター高城泰氏による仮想通貨の基礎講座も掲載しています。PC自作好き、PC好きなら楽しめる情報満載です。マイニングをやる、やらないは、これを読んでご判断ください。
TEXT:マイナー太郎
DOS/V POWER REPORT2018年1月号
・“ながら"か“ガチ堀り"か? オレのマイニング計画を立てる
・マイニング向けパーツの正解とは?
・マイニングPC作成法(1)本気マイナーの“マイニングリグ"編
・知らなきゃ損するマイニング専用OS「ethOS」
・マイニングPC作成法(2)プレイしていないときは自動で稼ぐ“ゲームPC兼用"編
・なんだかんだでつぶしが利きます Windows環境での掘り方
・止めるな・壊すな・燃やすな マイニングマシン運用時の注意点
・中学生から60歳オーバーまで、年も立場も関係なし!! マイナー無差別級座談会
・最新マイニング情報はここにある
・激変続く市況をサクッと理解 今から始める仮想通貨
・高橋敏也特別寄稿 マイニングに狂乱した男のテンマツ