仮想通貨マイニングって儲かるの?

　2017年に入ってビットコインやイーサリアムが高騰し、仮想通貨という言葉がテレビや新聞で大きく取り上げられるようになった。それに伴って注目度が高まっているのが、仮想通貨の「マイニング」。PCを使って計算を行なうことで仮想通貨を得られるのだ。一時期は日本中のPCショップからマイニングに適したビデオカードが消えてしまうほどの過熱ぶりだったが、その実態はあまり知られていない。はたして、本当に儲かるのか?マイニングのやり方は?マイニング用PCはどうやって作るのか?

　DOS/V POWER REPORT1月号では、マイニングを行なう“マイナー”のコミュニティを主催する“マイナー太郎”氏の協力を得て、同氏の知識にDOS/V POWER REPORTが得意とするPCパーツ関連のノウハウを融合。マイニングの基礎と、その始め方について「特集・仮想通貨は自分のPCで掘る！」と題して詳しく解説している。また、金融ライター高城泰氏による仮想通貨の基礎講座も掲載。ここでは本特集から、マイニングは儲かるのか、というテーマについて一部を抜粋してお届けする。

短期でも利益は出るが大きくない、しかし

　マイニングが人気になった理由としては利益もさることながら、誰でも簡単に始められるというところにあると思います。かくいう私も最初にビデオカードを購入したのはマイニングのためではありません。ゲームや映像編集用に購入し、利益が出るらしいから試してみようとの思いで始めました。始めるためにはとくにハイスペックなマシンが必要なわけでもなく、どんなPCでもマイニングすること自体は可能です。一回やってみてそこで楽しさを覚えたほうが、ビデオカードを増やしてゆく楽しみも得られます。

　さてもっとも気になるのが結局利益は出るのか、という部分ですが、一言で言えば利益は出ます。ただ2017年11月現在の仮想通貨のレートで相場が動かなかった場合は、短期で一気にマイニングPCのコストを回収し、さらにビデオカードを買って利益アップを狙う、というところまではできません。

　現状PCでマイニングをするにあたって収益がよい仮想通貨はある程度決まっています。代表的なものがイーサリアム(Ethereum、単位：ETH)、モネロ(Monero、XMR)、ジーキャッシュ(Zcash、ZEC)です。一番マイニングで使われている2種類のビデオカードで見てみると収益は右のようになります。だいたい2カ月でゲーム1本買えるくらいの利益は出ますが、その前にPC本体を買っているのですぐに投資分を回収というのはなかなか難しいところです。

人気ビデオカードで1カ月マイニングした場合の利益(マイニングした仮想通貨の円換算値?電気代)

現在マイニングで人気のビデオカード2種類での1カ月平均収益。電気代は21円/kWhで計算、レートは2017年11月現在のものです。どのコインもビデオカード1枚では大きな収益を出すことはできないのが分かります

仮想通貨は高騰中→長期保有の視点を

　短期でマイニングの元本を回収することは難しいという話をしましたが、それでもマイニングをする人は増えています。なぜでしょうか? そこには理由があります。仮想通貨全体を通して言えることですが、長期保有していた際の通貨の値上がりが期待できるのです。

　マイニングブームが来る前のイーサリアムは1通貨単位あたり5,000円ほどでしたが、一時4万円を超えるような価格で取引されるまでになりました。つまり、マイニングしているときは利益が少なくても、そのまま保有しているとあるとき価値が上がり大きな利益が狙える可能性があります。実際に私も倍とまではいきませんが、掘ったまま放置していたコインが暴騰して、短期でビデオカード代を回収できたこともあります。

　ただ、仮想通貨の価値は、リアルマネーと同様に上下します。上の例とは逆に価値が大きく下がることもあるのです。多くのマイナーが仮想通貨の明るい未来を信じてマイニングしていますが、悪い方向に値が動いた場合、パーツ代や電気代を回収できないことがあるというリスクも負っています。この投機的な側面も理解しておきましょう。

TEXT：マイナー太郎／DOS/V POWER REPORT編集部