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NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」

~Windows 10は描画負荷増大で仮想GPUが必須に

NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 Tesla P100
Tesla P100

 NVIDIAは11月7日、都内にて同社の仮想化GPUソリューションに関する説明会を開催した。

 NVIDIAはGPUのリソースを分割して、仮想的に複数のPC上で利用可能にするための技術として「NVIDIA GRID」を提供しており、今回は最新版となる「GRID 5.0」や、Windows 10のVDI(Virtual Desktop Infrastructure)でのGPUにおける利点などに関して説明が行なわれた。

 NVIDIA GRIDはバージョンアップとともに進化を重ねてきたが、9月にリリースされたGRID 5.0では、新GPUのPascalをサポートするとともに、仮想マシン上でCUDAを利用できるようになったことが特色となる。

 ご存知のとおり、CUDAはNVIDIAが提供しているGPU向け並列コンピューティングのプログラミングモデルで、科学技術計算といった膨大な演算能力を必要とする用途で使われ、近年ではAIやディープラーニングといった開発でとくにめざましい活躍をしている。

NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 通常のVDI
通常のVDI
NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 GRID
GRID

 Pascal世代でGRIDを利用できるGPUとしては、下表の製品がラインナップされており、VDIでCUDAを利用する場合は、これらのGPUとGRID 5.0を組み合わせる必要がある。

【表】Pascal世代のGPU
Tesla P6Tesla P4Tesla P40Tesla P100
GPU数1
CUDAコア2,0482,5603,8403,584
メモリGDDR5 16GBGDDR5 8GBGDDR5 24GBGDDR5 16GB
H.264 1080p30streams2436
最大vGPUインスタンス数16(1GB Profile時)8(1GB Profile時)24(1GB Profile時)16(1GB Profile時)
vGPU Profiles1/2/4/8/16GB1/2/4/8GB1/2/4/6/8/12/24GB1/2/4/8/16GB
フォームファクタMXM(ブレードサーバー)PCIe 3.0デュアルスロット(ラックサーバー)
消費電力90W50/75W250W
冷却ベアボードパッシブ

 ちなみにGRIDのソフトウェアはMaxwell世代から有償化したが、これはNVIDIAが利用者のサポートを行なうためとする。GRID 5.0でのソフトウェアライセンスは、仮想アプリの利用が年間10ドル、仮想PCは年間50ドル、仮想ワークステーションは年間250ドルで提供。このほかにも、永久ライセンスも用意されている。

NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 エヌビディア合同会社 エンタプライズ事業部 ビジュアライゼーション部 部長 田上英昭氏
エヌビディア合同会社 エンタプライズ事業部 ビジュアライゼーション部 部長 田上英昭氏

 エヌビディア合同会社 エンタプライズ事業部 ビジュアライゼーション部 部長の田上英昭氏は、CUDAがGRIDの仮想PC上で使えるようになることで、物理的なワークステーションを用意する必要がなくなり、PCにかぎらずタブレット上などからもCUDAで開発されたプログラムを実行できるという点がGRID 5.0における最大の特徴であると説明。運用の柔軟性がより向上する点をアピールした。

 田上氏によれば、NVIDIAはGRIDにおけるVDIの今後の展開として、HPC(High Performance Computing)、VR、フォトリアリズム、AIの提供をVDIで実現することを目指しているとのことで、ビジュアルコンピューティングの領域拡大を一層図っていく考えだ。

NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 GRIDを導入している企業など
NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 GRIDを導入している企業など
NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 GRIDを導入している企業など
NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 GRIDを導入している企業など
GRIDを導入している企業など

Windows 10のVDIの快適利用には仮想GPUが必須

 今回の説明会では、Windows 10におけるVDI運用の注意点についてもふれた。Windows 10ではユーザーインターフェイスとしてさまざまな視覚効果を取り入れているが、GPUが提供されないVDIにおいてこの機能はCPUに多大な負荷をかけるという。

 Windows 7といった旧OSではAeroといった視覚効果をオフにすることでGPUに対する負荷を軽減できていたが、Windows 10ではこういった機能を無効化する手段が設けられておらず、この分の負荷はCPUがもろにこうむることになる。そのため、これまでWindows 7で動作していた仮想PCのVDIがWindows 10では処理が重くなってしまうという症状が発生する問題がある。Windows 10ではWindows 7に比べてグラフィックリソースが32%増加しているとのこと。

 NVIDIAのGRIDでは、画面描画においてGPU内蔵エンコーダのNVENCを利用でき、従来CPUがエンコード処理していた部分のリソースを分散することが可能。説明会ではVDI上でCPUのみとGPUがある場合とで動画を再生した場合に、どの程度負荷が異なるかといった違いも見せていたが、CPUのみの環境ではタスクマネージャー上のCPU使用率は100%に近い形で貼り付いてしまい、最終的にシステムが落ちてしまうという症状が発生していた。

 2012年の環境に比べると、TV電話会議などでも使われるSkypeは約409%もグラフィックスリソースが消費されるようになっているとのことで、NVIDIAはVDIにおけるGPUの重要性について強調していた。

NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 Windows 10は7に対して32%もグラフィックリソースが増大した
Windows 10は7に対して32%もグラフィックリソースが増大した
NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 Windows 7と10のフレームバッファの違い
Windows 7と10のフレームバッファの違い
NVIDIA、仮想GPUでCUDAを使用可能にした「GRID 5.0」 2012年頃と現在でアプリのグラフィックリソース使用率が大きく変わった
2012年頃と現在でアプリのグラフィックリソース使用率が大きく変わった