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音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。

~DAW(ダウ)ソフトで音を遊ぼう

音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。

 みなさんは音楽を作ったことはありますか。「そんなの特殊な才能のある人や、音楽の勉強をした人がやることでしょ」とお考えかもしれません。しかし、みなさんの家にあるパソコンでも、ソフトウェアの機能があれば音楽を作れるのをご存じですか?

 DOS/V POWER REPORT11月号(Amazon Primeユーザーは全文無料で購読可能)では、「聴くのも、演るのも!PC×サウンド再発見」と題して、「聴いて楽しむ」と「演奏して楽しむ」という両面から、PCでのサウンドの楽しみ方を特集しています。ここでは、プロのミュージシャンなどもその音楽制作で使っている「DAW(ダウ)」という種類のソフトで、簡単な音楽を作ってみる手順をご紹介いたします。

DAWソフトって何?

 DAWとは、Digital Audio Workstationの略で、現在におけるDTM(Desk Top Music:パソコンで音楽を作るシステム)の中心となるソフトウェアのことです。

 最近では、パソコンに高品質な音を入出力するための周辺機器、「オーディオインターフェース」に簡易版が添付されてくることが多いです。オーディオインターフェースとは以下のようなUSB接続の周辺機器で、ギターやマイクをつないで録音したり、ここにスピーカーをつないでパソコンの音を再生したりできます。しかも、最近の製品はハイレゾ品質に対応していて、普通のパソコンのサウンド機能よりも、圧倒的に高音質です。

 DAWソフトでは、以下のような画面で音楽を作ります。

音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 「Cubase AI 9」は、人気DAWソフト「Cubase」のエントリー版です。有償のアップグレードでさらに機能を追加することもできます
「Cubase AI 9」は、人気DAWソフト「Cubase」のエントリー版です。有償のアップグレードでさらに機能を追加することもできます

 DAWソフトは音楽制作のための統合ソフトで、端的に言うと以下の三つの機能を備えています。

  • 多重録音機能
    ボーカルやギター、キーボードなどというように、さまざまなパートの音を重ね録りできます。この図では、三つの音を並べています
  • 打ち込み機能
    電子楽器を自動演奏させること全般を「打ち込み」と呼びます。楽器を弾けない人でも音楽を演奏できます。この図では、マウスで音を入力しています
  • ミックス機能
    別々になったパートの音を一つの音に合成することができます
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 多重録音機能
多重録音機能
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 打ち込み機能
打ち込み機能

ソフトウェア音源って何?

 昔のDTMで主流だったシーケンスソフトでは、MIDIという規格でパソコンの外部の音源(音を鳴らす装置)から音を鳴らしていました。今では、パソコンの進化に伴いわざわざ音源を外部に接続しなくとも、パソコン内にあるソフトウェアの音源で、外部の音源を上回る機能や性能を実現できるようになりました。アナログのビンテージ機材をエミュレーションさせたり、何十GBにもおよぶサンプリング素材(楽器の音を録音した素材)も活用できるため、もはや旧来の音源では太刀打ちできないレベルです。

HALion Sonic SE
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 前出のDAWソフトCubase AI 9に付いてくるソフトウェア音源で、数多くの音色=サウンドライブラリを装備しているサンプリング音源です。製品版のHALion Sonicより音色数は少ないですが、操作性も高くて非常に広く応用できます
前出のDAWソフトCubase AI 9に付いてくるソフトウェア音源で、数多くの音色=サウンドライブラリを装備しているサンプリング音源です。製品版のHALion Sonicより音色数は少ないですが、操作性も高くて非常に広く応用できます
VSTプラグイン
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 DAWソフトを拡張するためのプラグインの規格で事実上の業界標準です。VSTプラグインには音源を追加するVSTインストゥルメント、エフェクトを追加するVSTエフェクトの大きく2種類があります。HALion Sonic SEはVSTインストゥルメントです
DAWソフトを拡張するためのプラグインの規格で事実上の業界標準です。VSTプラグインには音源を追加するVSTインストゥルメント、エフェクトを追加するVSTエフェクトの大きく2種類があります。HALion Sonic SEはVSTインストゥルメントです

DAWソフトで音楽を作ってみよう

 画面が複雑なせいで難しそうに見えるDAWソフトですが、楽器演奏の音声データを加工した「ループ素材」を利用して音楽を作ると、とても簡単に音楽を作れます。基本的にはマウスのドラッグ&ドロップ操作で、難しいところはソフト側がいい感じにしてくれます。ここでは、UR22mkⅡ付属のCubase AI 9でやってみましょう。

音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順1】まずはCubase AI 9を起動します。「Steinberg hub」というタイトルのオープニング画面が現われますので、「その他」タブを選び、Emptyをクリックすることで新規プロジェクトを作成します
【手順1】
まずはCubase AI 9を起動します。「Steinberg hub」というタイトルのオープニング画面が現われますので、「その他」タブを選び、Emptyをクリックすることで新規プロジェクトを作成します
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順2】音が何も配置されていない新規プロジェクトが開きます。ここではループ素材と呼ばれる小さなWAVファイル(録音された音)をマウスで並べていくことで、誰でも簡単にできる音楽作成にチャレンジします
【手順2】
音が何も配置されていない新規プロジェクトが開きます。ここではループ素材と呼ばれる小さなWAVファイル(録音された音)をマウスで並べていくことで、誰でも簡単にできる音楽作成にチャレンジします
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順3】画面の右側の[VSTインストゥルメント]のタブが選ばれていますので、右の[MediaBay]タブをクリックします
【手順3】
画面の右側の[VSTインストゥルメント]のタブが選ばれていますので、右の[MediaBay]タブをクリックします
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順4】四つのアイコンが表示されますが、ここではループ素材の入っている[ループ&サンプル]をクリックします
【手順4】
四つのアイコンが表示されますが、ここではループ素材の入っている[ループ&サンプル]をクリックします
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順5】各種素材が入ったカテゴリーごとのアイコンが現われますので、ここではドラムのループ素材が入っている[Drum Loops]を選択します
【手順5】
各種素材が入ったカテゴリーごとのアイコンが現われますので、ここではドラムのループ素材が入っている[Drum Loops]を選択します
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順6】画面右にループ素材の一覧が表示されます(表示されない場合は上のフィルタを解除)。ここでは「01 132 Drums」をダブルクリック(A)しましょう。するとトラックが作成されループ素材が配置されます(B)。さらに配置された素材をダブルクリックすると下ゾーンにループ素材の波形の詳細画面(C)が現われます
【手順6】
画面右にループ素材の一覧が表示されます(表示されない場合は上のフィルタを解除)。ここでは「01 132 Drums」をダブルクリック(A)しましょう。するとトラックが作成されループ素材が配置されます(B)。さらに配置された素材をダブルクリックすると下ゾーンにループ素材の波形の詳細画面(C)が現われます
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順7】通常ループ素材がテンポとマッチしていないため、ミュージカルモードにすることでテンポと同期させます。そのためには音符のアイコンをクリックしてオレンジに点灯させましょう。小節線に合っていないループ素材がピタリと枠に貼り付きます
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順7】通常ループ素材がテンポとマッチしていないため、ミュージカルモードにすることでテンポと同期させます。そのためには音符のアイコンをクリックしてオレンジに点灯させましょう。小節線に合っていないループ素材がピタリと枠に貼り付きます
【手順7】
通常ループ素材がテンポとマッチしていないため、ミュージカルモードにすることでテンポと同期させます。そのためには音符のアイコンをクリックしてオレンジに点灯させましょう。小節線に合っていないループ素材がピタリと枠に貼り付きます
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順8】貼り付けたループ素材を繰り返し演奏させるため、ループ素材の右端をクリックし、右へドラッグ&ドロップすることで、ループ素材が繰り返されます
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順8】貼り付けたループ素材を繰り返し演奏させるため、ループ素材の右端をクリックし、右へドラッグ&ドロップすることで、ループ素材が繰り返されます
【手順8】
貼り付けたループ素材を繰り返し演奏させるため、ループ素材の右端をクリックし、右へドラッグ&ドロップすることで、ループ素材が繰り返されます
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順9】次のトラック用の素材を選ぶために、右ゾーンにおいて一つ上の階層である[ループ&サンプル]をクリックして前の画面に戻りましょう
【手順9】
次のトラック用の素材を選ぶために、右ゾーンにおいて一つ上の階層である[ループ&サンプル]をクリックして前の画面に戻りましょう
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順10】今度はベースのループ素材が入っている[GA SE Library]をクリックして、一覧表示させます
【手順10】
今度はベースのループ素材が入っている[GA SE Library]をクリックして、一覧表示させます
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順11】数多くある素材の中からベースのループ素材である[FC01_ID_1_Loop1_SR]を選び、これをダブルクリックすると、二つ目のトラックが生成されます
【手順11】
数多くある素材の中からベースのループ素材である[FC01_ID_1_Loop1_SR]を選び、これをダブルクリックすると、二つ目のトラックが生成されます
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順12】ドラムトラックのときと同様に、ベース素材をダブルクリックした上でミュージカルモードに変更し、ドラムトラックと同じ長さにループを繰り返す形にします
【手順12】
ドラムトラックのときと同様に、ベース素材をダブルクリックした上でミュージカルモードに変更し、ドラムトラックと同じ長さにループを繰り返す形にします
音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 【手順13】まったく関係ない二つのループ素材を並べただけですが、これで一人で二人分の音を多重録音したことになります。この状態でプレイボタンをクリックすると、ドラムとベースが同時に演奏された状態で音楽が再生されます。これで完成です
【手順13】
まったく関係ない二つのループ素材を並べただけですが、これで一人で二人分の音を多重録音したことになります。この状態でプレイボタンをクリックすると、ドラムとベースが同時に演奏された状態で音楽が再生されます。これで完成です

 いかがでしたでしょうか。これを繰り返せば、ブロックで工作するように複雑な音楽を作れることが分かりましたね。インターフェースや操作法に違いこそあれ、ほとんどのDAWソフトでも同様です。食わず嫌いせず、たまには音楽を作ってみてはいかがでしょうか。(TEXT:藤本 健)


音符が読めなくたって、音痴だって、音楽は作れる! そう、パソコンならね。 DOS/V POWER REPORT11月号では、USB DACのほか、ヘッドホン、DAP、USB DAC付きアンプ、USBスピーカーのクロスレビューも掲載。このほか、入門者向けのPCオーディオ設定手順解説、レコード・テープのデジタル化、定額聴き放題サービス比較、ゲーミングヘッドセット対オーディオヘッドホン、PCとつながる楽器、DAW構築術など、多様なテーマで“PCとサウンド”の今に迫ります
DOS/V POWER REPORT11月号では、USB DACのほか、ヘッドホン、DAP、USB DAC付きアンプ、USBスピーカーのクロスレビューも掲載。このほか、入門者向けのPCオーディオ設定手順解説、レコード・テープのデジタル化、定額聴き放題サービス比較、ゲーミングヘッドセット対オーディオヘッドホン、PCとつながる楽器、DAW構築術など、多様なテーマで“PCとサウンド”の今に迫ります