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昼も夜も音楽におぼれる。定額制聴き放題サービス一斉比較
2017年10月20日 06:00
最近では定額料金で音楽を楽しむサービスが普及してきています。これらに加入すれば、所有する複数のPCやスマホを使って、場所や時間に縛られず音楽をぞんぶんに楽しめるようになります。たいてい、無料のトライアルサービスがあるのもポイントです。
DOS/V POWER REPORT11月号(Amazon Primeユーザーは全文無料で購読可能)では、「聴くのも、演るのも!PC×サウンド再発見」と題して、「聴いて楽しむ」と「演奏して楽しむ」という両面から、PCでのサウンドの楽しみ方を特集しています。
ここでは、本特集内の記事、「昼も夜も音楽におぼれる。定額制聴き放題サービス一斉比較」から、「Spotify」と「Apple Music」、「Google Play Music」、「Prime Music」についての紹介を抜粋して掲載します。本誌では、ほかにも以下のようなサービスを紹介しています。
- AWA
- LINE MUSIC
- レコチョク Best
- KKBOX
定額制聴き放題音楽配信サービスの特徴
・月や年、再生時間などの単位での定額料金。その間はいくら再生しても契約期間中は定額料金・100万~4,000万という登録曲を聴き放題
・曲単位で自由に選曲とスキップが可能
・基本的にストリーミング再生にて楽しむ
・曲をダウンロードしてオフライン再生することも可能
・音質は最高320kbps 前後の非可逆圧縮音源。ハイレゾではない
・PCのほか、スマホやタブレットなどでも再生が可能
・プレイリストなどから新たな曲との出会いが楽しめる
・制限はあるが無料でも楽しめるサービスもある
聴き放題音楽配信は時代の必然。配信サービス選びはお試し期間を駆使して
毎月など一定期間や再生時間にて定額料金を支払って(サブスクリプション型とも呼ぶ)、その間はサービス内の曲すべてを再生できる。これが定額制音楽配信サービスだ。再生はストリーミングと呼ばれる手法を使っており、全体のダウンロードを待つことなく、再生ボタンを押せばすぐ音が出る。インターネットラジオよりも利便性を高め、聴き放題サービスを通じて音楽に対して対価を払うというのが、時代の流れになりつつある。
課題も多いが、CDやダウンロード販売では音楽が売れなくなりつつある今、この流れは止められないと思われる。
定額制音楽配信サービス選びで重視するのは、サービスごとに異なる曲のラインナップだろう。この部分は、体験してみないと分かりにくい。また、無料会員のままでも制限はあるものの、ある程度サービスを利用可能にしていることも多い。まずこれらを存分に活用して選んでみるとよいだろう。
今回、各サービスで特定アーティストのアルバムが配信されているかを検索した結果を掲載してみた。限定的な調査だが、ラインナップ傾向の目安にはなるのではと思う。サービスごとに、邦楽と洋楽、ジャンルなどによって得手不得手は出てくる。ヘビーリスナーなら、複数サービス契約を視野に入れてもよいだろう。また、月単位でサービスを渡り歩くのもアリだ。気軽に移行できるのが、サブスクリプションの魅力でもある。
もう一つ、お試し期間にプレイリストが自分の好みに合うかをチェックしてみることをお勧めする。とくに、機械学習を駆使し分析した近似曲をレコメンドしてくれる機能は、新しいアーティストとの出会いを提供してくれる。この知らない曲との出会いが、定額制音楽配信サービスの醍醐味とも言える。(TEXT:村上俊一)
ジャンル | 洋楽ポップ | 洋楽ロック | 洋楽オルタナ | 邦楽ポップ | 邦楽ポップ | 邦楽ロック | 邦楽オルタナ | 邦楽アイドル | アニメ | ジャズ | 韓国ポップ |
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アーティスト | Taylor Swift | Beatles | Radiohead | きゃりーぱみゅぱみゅ | DREAMS COME TRUE | ONE OK ROCK | BOOM BOOM SATELLITES | 乃木坂46 | LiSA | 上原ひろみ | TWICE |
アルバム | 1989 | Please Please Me | OK Computer | なんだこれくしょん | The Swinging Star | Ambitions | EMBRACE | 逃げ水 | LANDSPACE | Spark | #TWICE |
Spotify | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | × | ○ | ○ |
Apple Music | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Google Play Music | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
AWA | ○ | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Prime Music | ○ | ○ | × | × | × | × | × | × | × | ○ | × |
LINE MUSIC | ○ | ○ | × | ○ | × | × | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
レコチョク Best | × | ○ | × | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
KKBOX | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Spotify
無料でもフル尺再生が楽しめる世界的人気サービス
「Spotify」は、60カ国で展開し世界最大規模とも言われる配信サービス。6月には1億4,000万人突破(世界の月間アクティブユーザー数)をアナウンスしている。日本向けのラウンチは2016年からと、もっとも遅い参入ながら着実にユーザー数を伸ばしている。
その理由の一つが、無料会員であっても、時折広告が挿入され強制的にシャッフル再生になることや、デバイスへのダウンロードができないこと、最高音質の選択ができないという制限があるだけで(最新曲などは有料会員限定配信というケースもある)、曲はフル尺の再生が楽しめることだ。実際聴いていると、たまに広告の入るラジオのような感覚で、BGMとして十分に音楽を楽しめる仕組となっている。
これだけ無料で楽しめてしまうが、有料会員は5,000万人を突破(3月時点)していてその割合は高い。これは音楽ファンの気持ちをくんだプレイヤーの使い勝手のよさからきているのではないかと考える。とくに、機械学習を駆使し再生曲から連動してオススメ曲やプレイリストを表示していく機能が秀逸で、好みのアーティストをどんどん掘り起こしてくれる。プレイリスト内の曲は定期的に進化し、好みに合致する精度が高くなり、チェックが楽しくなる。具体的には「My Daily Mix」というリストが6種用意され、それぞれにある程度似かよった楽曲がピックアップされてくる。「Release Radar」というリストは、毎週好みのアーティストの新譜で更新される。無料でこの機能に触れ、病み付きになる方は多いはずだ。
国内では参入が遅れたこともあり、邦楽のラインナップが弱いのは否めないが、常に新しいサウンドを求めている洋楽メインのファンなら満足するはずだ。無料でも十分楽しめるので、まずは使ってみてほしい。
Specification
ファミリー料金:なし学生料金:月額480円
年間契約:なし
無料会員制度:あり(広告挿入あり、シャッフル再生のみ、最高音質の選択とダウンロード不可)
再生環境:デスクトップ版アプリ (Windows/MacOS)、Webブラウザ、スマホ(Android/iOS)、Chromecast、Android TV、PS4、Xbox
楽曲数:約4,000万曲
bitレート:最大320kbps(160/96kbps選択可)
登録デバイス数:3台(ストリーミングの同時再生はできない)
プレイリスト共有機能:なし
再生曲からのレコメンドプレイリスト機能:あり
手持ち曲を保存するクラウド:なし
リモコン再生に「Spotify Connect」が便利
自宅に無線LAN環境が完備されていることが前提だが、「Spotify Connect」と呼ぶリモート機能が便利だ。有料会員になると利用できる。
本来Spotify Connect対応のスピーカーやアンプなどAV機器で直接ストリーミングを可能とするものなのだが、スマホやタブレットの出力をアンプにつなぎ、PC側からリモートコントロールする(逆もOK)用途に利用できる。同じLAN内につながっていて双方でアプリ(Webプレイヤーでも使える)を起動していれば認識するので、コントロールしたい側から、音を出したい側の機器を「デバイスに接続」アイコンから選択するだけだ。あとはブラウズして再生すると、接続先から出力される。実際にストリーミング再生するのは、出力先機器になるので、コントロールする機器の負荷が減るメリットもある。
Apple Music
iOSと専用クラウドとの連係がとても快適
「Apple Music」は、Appleが2015年から開始したサービス。今年に入って通信機能のないiPodの販売をやめたことが象徴的で、今後はApple Musicを主軸にしていくのだろう。有料会員数は、6月に2,700万人に達したとの発表があり(※6月5日、WWDCにおいてCEO Tim Cook氏の発言)、この分野でSpotifyと2強の勢力を争っている状況だ。
このユーザー数の多さは、一つにはiOSに標準インストールされている「ミュージック」アプリ(AndroidはApple Musicアプリ)と、PCで利用するiTunesとの連係のスムーズさにあると考える。
手元のPC内にある自分のライブラリを「iCloudミュージックライブラリ」と呼ぶクラウドにアップロードし、そこからストリーミングやダウンロードをできるようにする「iTunes Match」(※ユーザーがリッピングしたデータが、iTunes Storeにて販売されている曲と同じだと認識されれば、販売中のAAC 256kbpsのデータが使われる。年額3,980円)との違いは、Apple Musicを使うとDRMがかかり、契約が切れるとクラウドからは聴けなくなる点)とほぼ同じ機能によって、iTunesのライブラリにある曲と、Apple Musicでの聴き放題の曲、iTunes Storeでの購入曲がすべてシームレスに再生できるようになる。また同時にライブラリにあるアーティスト情報から、好みの曲を判断してくれるのだ。
これがどういうことになるかと言うと、すでにiTunesを活用していれば、好みが思いっきり反映された状態で、iTunesやアプリ内にある「For You」に、プレイリストや「Connect」というアーティスト情報が表示される。スマホにおいても、簡単な操作でクラウドと同期し、ライブラリの曲に加え聴き放題の曲もストリーミングで自由に聴きまくれる、というストレスのない状況が即座に得られるのだ。
Appleも海外発なので、洋楽に強い傾向があるが、邦楽ラインナップもなかなかだ。バランスのよさも高い人気を支える要因と言えるだろう。とくにiPhoneユーザーであれば、最初に試してみるべきサービスだ。
Specification
ファミリー料金:月額1,480円(最大6人)学生料金:月額480円
年間契約:10カ月分の料金で12カ月利用
無料会員制度:なし
再生環境:iTunes、スマホ(Android/iOS)、Apple TV、Apple Watch
楽曲数:4,000万曲以上
bitレート:最大256kbps
登録デバイス数:10台(ストリーミングの同時再生はできない)
プレイリスト共有機能:あり
再生曲からのレコメンドプレイリスト機能:あり
手持ち曲を保存するクラウド:あり
AirPlayとChromecast
Appleでは、リモート再生用に「AirPlay」という機能が用意されている。これは、再生するデバイスから同一LAN内の機器へ無線で音声データを飛ばして、AirPlay対応スピーカーやアンプ、AirMac Express、Apple TVなどから音を出力するというものだ。無線のスピーカーという位置付け。ほかに、iOSアプリの「iTunes Remote」(Android版はない)を使うと、iTunesやApple TVのリモートコントロールが可能になる。
AndroidデバイスではAirPlayを利用できないが、同様の機能を利用したい場合はChromecastを使えばよい。音楽用途ではステレオミニプラグでスピーカーに接続する「Chromecast Audio」というデバイスが手軽で便利だ。
Google Play Music
Googleのクラウドとの一体感が○
Googleのサービスをよく使い、Chromecastなどを持っている場合にとくにお勧めしたいサービス。聴き放題だけでなく、最大5万曲をアップロードできるクラウドサービスも統合されている。アップロード分は自動でライブラリに追加され、Google Play Musicからもライブラリに追加できるので、シームレスにシャッフル再生できるようになる。
PCでは、Webブラウザのプレイヤーから使う。曲単位でサムアップ/ダウンをクリックして好みを登録。これによって「ホーム」画面のお勧めを自分好みに変えていく。関連アーティストへのリンクが主体で、偶然のマッチングがやや起こりにくい。
Specification
ファミリー料金:月額1,480円(最大6人)学生料金:なし
年間契約:なし
無料会員制度:なし
再生環境:Webブラウザ、スマホ(Android/iOS)、Chromecast、Android TV、Android Wear
楽曲数:約3,500万曲
bitレート:最大320kbps(高、標準、低の設定が可能)
登録デバイス数:計10台
プレイリスト共有機能:あり
再生曲からのレコメンドプレイリスト機能:あり
手持ち曲を保存するクラウド:あり
Prime Music
プライム入会で気軽に使える
Amazonの「Prime Music」は、配送特典や先行タイムセールなどの各種特典を受けられる「Amazonプライム」の特典の一つとして提供される。年会費で支払うと月あたり325円。定額音楽配信サービスだけを見ても激安だ。
新作や邦楽は手薄な感触があるが、ヒット系旧作を中心に楽しむなら、邦楽もそれなりに用意されていて価格を考えれば十分過ぎる。欲しい新作は別途購入という割り切った活用もアリだ。
PC向けにAmazon Musicアプリが用意されているが、Webブラウザからも再生できる。再生や購入の履歴から「おすすめ」に関連アーティストやプレイリストが表示されるので、そこから深掘りしていくとよい。
Specification
ファミリー料金:なし学生料金:年額1,900円(Amazon Student有料会員)
年間契約:3,900円(月換算325円)
無料会員制度:なし(ストアでの30秒試聴は可能)
再生環境:デスクトップ版 Amazon Music (Windows/MacOS)、Webブラウザ、スマホ(Android/iOS)、Amazon Fire TV●楽曲数:約100万曲
bitレート:最大256kbps
登録デバイス数:4台(ストリーミングの同時再生はできない)
プレイリスト共有機能:なし
再生曲からのレコメンドプレイリスト機能:なし
手持ち曲を保存するクラウド:なし(購入曲はクラウドに保存される)