やじうまミニレビュー

単に便利なだけじゃない。MoC方式でセキュアな指紋センサー「CR-FI50UBK」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
エレコムのWindows Hello対応指紋認証リーダー「CR-FI50UBK」

 エレコムは、USB接続のWindows Hello対応指紋認証リーダー2製品を発売した。USBケーブル接続型の「CR-FI50UBK」と、USB Type-A直挿し型の「CR-FI01UBK」で、接続方法が異なるだけで双方とも基本的な仕様は同等だ。今回はUSBケーブル接続型の「CR-FI50UBK」を取り上げ、製品の特徴などを紹介する。

USBケーブル接続のためデスクトップPCでも扱いやすい

 始めに、CR-FI50UBKのハードウェアをチェックしよう。

 CR-FI50UBKは、USBケーブル接続の外付け指紋認証リーダーだ。製品パッケージには指紋認証リーダー本体以外に、本体をマグネットで装着するためのスチールプレート、本体をPCに接続するUSBケーブルが同梱される。

製品には、指紋認証リーダー本体に、マグネット固定用スチールプレートとUSBケーブルが付属する

 本体のサイズは、37×37×15mmとコンパクトなので、設置場所に困ることはないだろう。

 本体底面はマグネットを内蔵しており、マグネットが吸着する素材であれば任意の場所に簡単に固定できる。木製のテーブルなどマグネットが吸着しない場所に固定したい場合には、付属のスチールプレートを利用する。スチールプレート裏面には両面テープが装着されているので、任意の場所に貼り付けて利用可能だ。本体の重量は約43gと軽いが、底面マグネットで比較的しっかり固定できるため、簡単に動いてしまう心配はない。

本体は37×37×15mmとコンパクト。重量も約43gと軽量だ
背面にPC接続用のUSB 2.0準拠のUSB Type-Cコネクタを用意
指紋センサーは本体上部に配置
底面にはマグネットを内蔵
マグネットが吸着する素材であれば任意の場所に固定できる
こちらはマグネット固定用のスチールプレート
裏に両面テープが貼られており、好きな場所に貼り付けて利用する

 本体側面にはUSB Type-Cコネクタが用意され、付属のPC接続用USBケーブルは、一方がUSB Type-C、もう一方がUSB Type-Aとなっている。ケーブル長は1.5mと比較的長いため、デスク下に設置したPCでも余裕を持ってデスク上に本体を配置できるだろう。

 本体はUSBバスパワーで動作するため、別途電力を供給する必要はない。USBポートはUSB 2.0準拠で、PCの任意のUSB Type-Aポートに接続。USBハブ経由で接続しても問題なく利用できる。

 そして、PCに接続するとドライバーが自動的に導入され、すぐに利用可能となる。これならPC初心者でも手軽に利用できるはずだ。対応OSはWindows 10およびWindows 11のみとなる。

付属のUSBケーブル。1.5mと長いため、デスク下に設置したPCでも余裕を持って利用可能だ
USBバスパワーで動作するため、PCとUSBケーブルで接続するだけで利用可能
USBハブ経由での利用も問題ない
PCに接続するとドライバーが自動的に導入され、すぐに利用可能となる

 指紋の登録は、「設定」アプリの「アカウント」にある「サインインオプション」で行なう。サインインオプションから「指紋認識(Windows Hello)」を開き、「セットアップ」をクリックすると指紋登録メニューが表示されるので、メニューの指示に従って指紋を登録する。

 なお、指紋認証の利用にはPINの登録が必須となっており、PINを登録していなかった場合には先にPIN登録を指示されるので、そちらも指示に従って登録しよう。

 これで、CR-FI50UBKを利用した指紋認証でのWindowsログインが可能となる。ちなみに、Windows 11では指紋を最大10個まで登録できる。指紋登録が1つだけでは、その指をケガした場合などに指紋認証が行なえなくなる可能性があるため、念のため複数の指を登録しておくことをお勧めする。

「設定」アプリの「アカウント」にある「サインインオプション」を開く
「サインインオプション」内の「指紋認識(Windows Hello)」を開き、「セットアップ」ボタンをクリック
メニューに従って指紋を登録する
指紋は最大10個まで登録可能

安全性重視ならMoC方式採用のリーダーがベスト

 Windows Hello対応のUSB接続指紋認証リーダーは、以前より多くの製品が発売されている。ただ本製品は、これまで販売されてきた同様の製品とは異なる特徴を備えている。それが「MoC方式」への対応だ。

 MoCとは「Match on Chip」の略で、簡単にいうと、指紋認証の処理をリーダー内に搭載した専用チップで行なう方式だ。

 これまで販売されてきたUSB接続の指紋認証リーダーの多くは、「MoH方式」を採用している。MoHは「Match on Host」の略で、指紋認証処理をホスト側、つまりPC側で行なう。MoH方式の場合、照合用の指紋情報をPC内に保持するとともに、指紋認証リーダーで読み取った指紋情報をUSB経由でPCに転送し、PC内で認証処理を行なうことになる。

 通常、PC内に保存される照合用の指紋情報は暗号化して保存される。しかし、リーダーで読み取った指紋情報は生データのままUSB経由でPCに転送され、PCに保存した照合用の指紋情報を利用して認証を行なう。そのため、リーダーで読み取った指紋情報をPCに転送する過程で、マルウェアなどに抜き取られるリスクが発生してしまう。

 それに対しMoC方式では、リーダー内に搭載されている専用チップ内で認証処理が行なわれる。照合用の指紋情報は専用チップ内のセキュアゾーンに暗号化して保存し、リーダーで読み取った指紋情報との認証処理を専用チップ内で行ない、PCには認証されたかどうかを示す情報のみが返される。つまり、保存した認証用の指紋情報や読み取った指紋情報が専用チップ外に出ることは一切ない。同時に、チップ内の安全な保管場所もチップ外からアクセスできない領域となっており、照合用の指紋情報が取り出されることもない。

 つまりMoC方式は、MoH方式よりも圧倒的にセキュリティ性に優れるというわけだ。そのため、企業が利用するPCのように、厳しいセキュリティ基準が設けられているPCでも安心して利用できる。

MoC方式では照合用の指紋情報を専用チップ内のセキュアゾーンに保存し、リーダーで読み取った指紋の照合も専用チップ内で行なうため、指紋情報がチップ外に流れることがなく安全に利用できる(エレコムのCR-FI50UBK製品ページより引用)

 また、一般個人でも、MoC方式のリーダーならより安全な運用が可能だ。近年は、証券会社を皮切りにWebサービス利用時にパスキー認証を必須化する例が増えている。パスキー認証は、MoH方式のリーダーでも問題なく利用できるが、上記のようなリスクがあるため、安全性という点で不安が残る。その点MoC方式のリーダーであれば、優れた安全性を確保できるため、より安心して利用できるというわけだ。

 そのため、企業だけでなく個人で利用する場合でも、MoC方式のリーダーの利用を基本と考えたい。

MoC方式採用によりWindows Hello ESSにも対応

 MoC方式採用のもう1つのメリットが、「Windows Hello ESS」に対応するという点だ。ESSは「Enhanced Sign-in Security」の略で、「Windows Helloの強化されたサインインセキュリティ」とも呼ばれている。Microsoftが提唱するWindows 11 PCやCopilot+ PCの高レベルなセキュリティ仕様「Secured-Core PC」では、指紋認証デバイスについてWindows Hello ESS対応が必須となっている。

 Windows 11でMoH方式の指紋認証リーダーを接続した場合でも、Windows Helloの認証やパスキー認証を利用することは可能だ。しかしそれには、設定アプリの「アカウント」内にある「サインインオプション」で「外部カメラまたは指紋リーダーでサインインする」をオンにする必要がある。そして、この項目をオンにすると、Windows Hello ESSが無効となってしまう。

 Windows Hello ESSが無効になることで、Secured-Core PCの要件も満たせなくなってしまう。企業が利用するPCにとって、必要な安全性を確保できなくなるという意味で非常に大きな問題となり得る。

MoH方式の指紋認証リーダーを利用するには「外部カメラまたは指紋リーダーでサインインする」をオンにする必要があるが、その場合Windows Hello ESSが無効となる

 それに対しCR-FI50UBKは、Windows Hello ESSに対応しているため「外部カメラまたは指紋リーダーでサインインする」をオンにすることなく利用できる。つまり、Windows Hello ESSが有効のまま利用できるため、安全性が犠牲にならないというわけだ。
 企業が利用するPCでは、デスクトップPCや、やや古めのノートPCなど標準で生体認証デバイスを搭載しない製品が多く存在している。そういったPCでも、企業が重視する安全性を損なわず生体認証を追加できるという点は、非常に大きなメリットとなるだろう。

CR-FI50UBKはWindows Hello ESS対応のため、「外部カメラまたは指紋リーダーでサインインする」をオンにすることなく利用可能

 もちろんこれは、個人利用でも同様だ。デスクトップPCでは生体認証機能は基本的に非搭載で、ノートPCでは生体認証機能を搭載する製品が多いものの、中には非搭載のものもある。そういった生体認証機能非搭載のPCでも、安全性を損なうことなく指紋認証でのWindowsログオンやWebサービスでのパスキー利用が可能となる点は、大きなメリットといえる。

やや高価だが安全性重視ならベストの選択肢

 MoC方式のリーダーは認証用の専用チップを搭載することから、従来のMoH方式のリーダーよりもやや高価となる。事実、MoH方式の指紋認証リーダーは5,000円以下で販売されている製品も多く存在している。

 それに対しCR-FI50UBKは、エレコム直販サイト「エレコムダイレクトショップ」での販売価格が8,980円と、やや高価となっている。これは、専用チップを搭載する必要のあるMoC方式のリーダーではしかたのない部分だ。

 とはいえ、PCの安全性を損なうことがないと考えると、この価格差はそこまで大きなものではない。企業利用、個人利用問わず、安全性を重視するならMoC方式対応のCR-FI50UBKはベストの選択肢といっていいだろう。