やじうまミニレビュー

Macは画面複製に注意!Ankerの“着脱ハブ付き”ドックは家の中でこそ真価を発揮する

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「Anker Nano ドッキングステーション」(直販価格1万6,990円)

 各種周辺機器をケーブル1本でまとめて接続できるドッキングステーションは本当に便利だ。自宅や会社に戻ったときも、外出するときも、ケーブル1本を抜き差しするだけ。この利便性は、一度味わったら元には戻れない。

 そんなドッキングステーションに変わり種が登場。それが「Anker Nano ドッキングステーション」だ。ドッキングステーションにUSB Type-Cハブが内蔵されており、上部のロック解除スイッチを操作すれば、ハブをスコッと取り外せる。

 つまり、「ドッキングステーションは大は小を兼ねない。それなら小だけ外せるようにしましたよ!」という製品なのだ。

 うーん、便利?でもその意気やよし!……なーんて言うのは偉そうだが、ワクワクせざるを得ない本製品を、今回はじっくりレビューしていこう。

13ポート搭載ドックと6-in-1ハブを合体

 「Anker Nano ドッキングステーション」は1台2役のドッキングステーション。ドッキングステーションと、その本体に内蔵可能な着脱式USB Type-Cハブで構成されている。

 全体のサイズは約140×95×40mm、重量は約408g、着脱式USB Type-Cハブのサイズは実測約78×42~48×13mm、重量は実測約36g。据え置き型ドッキングステーションとしても比較的コンパクトだ。本体は縦置き式。対応OSはWindows 10/11、macOS 13.5以降、ChromeOSとされている。

パッケージには、製品本体、最大140W出力対応のACアダプタ、USB 3.2 Gen 2 Type-Cケーブル(長さ1m)が同梱

 ドッキングステーション側の構成は次の通り、USB Type-Aは転送速度と出力が低いため、キーボード、マウス、USBレシーバ、プリンタなどを接続するための端子と考えた方がよい。

  • USB 3.2 Gen 2 Type-C(アップストリーム、最大10Gbps、最大100W給電) 1基
  • HDMI 2.0 2基
  • DisplayPort 1.4 1基
  • Gigabit Ethernet 1基
  • 3.5mmコンボジャック 1基
  • USB 3.2 Gen 2 Type-C(最大10Gbps) 1基
  • USB 2.0(最大480Mbps、2.5W) 2基

 一方、着脱式USB Type-Cハブには次のものが用意されている。

  • USB Type-C(アップストリーム) 1基
  • HDMI(4K対応) 1基
  • USB Type-C PD入力 1基
  • USB 3.2 Gen 1 Type-C(最大5Gbps) 1基
  • USB 3.2 Gen 1(最大5Gbps) 1基
  • SDカードスロット(最大104MB/s) 1基
  • microSDカードスロット(最大104MB/s)

 着脱式USB Type-Cハブへ100W対応USB PD充電器を接続した場合は、接続したPCへ最大85Wを供給可能だ。一方、ドッキングステーションへ装着しているときは、着脱式USB Type-Cハブ側のPC接続用USB Type-C、HDMI、USB Type-C PD入力は利用できない。

 なお、高速な外付けストレージを接続する場合は、まずドッキングステーション側の最大10Gbps対応USB Type-Cを利用し、その次に着脱式USB Type-CハブのUSB Type-C/USB Type-A(最大5Gbps)を利用することになる。デスク周りの配線をすっきりまとめるという観点では、背面にも高速USBポートを用意してほしかったところだ。

ドッキングステーション側には、PC接続用USB Type-C(最大10Gbps、最大100W給電) 1基、HDMI 2.0 2基、DisplayPort 1.4 1基、Gigabit Ethernet 1基、3.5mmコンボジャック 1基、USB Type-C(最大10Gbps) 1基、USB Type-A(最大480Mbps、最大2.5W) 2基などを搭載
着脱式USB Type-Cハブには、PC接続用USB Type-C(最大85W給電) 1基、HDMI(最大4K対応) 1基、USB Type-C PD入力 1基、USB Type-C(最大5Gbps) 1基、USB Type-A(最大5Gbps) 1基、SDカードスロット(最大104MB/s) 1基、microSDカードスロット(最大104MB/s) 1基などが用意
ドッキングステーション本体の実測重量は407.5g(着脱式USB Type-Cハブ含む)
着脱式USB Type-Cハブの実測重量は36g

着脱式USB Type-Cハブを外して、そのままMacBook Airへ直結できる

 本製品最大の特徴は、ドッキングステーション前面に収納された着脱式USB Type-Cハブだ。本体上部のロック解除スイッチを手前にスライドさせると、着脱式USB Type-Cハブがスコッと頭を出す。完全に飛び出すことはないが、十分につかめる位置まで出てくるため、片手でも取り外し可能だ。

 再装着する際は、USB Type-Cのオス端子を上側にして、スロットへ押し込むだけ。装着時に「カチッ」という音はしないが、正常に接続されるとLEDが青色に点灯するため、装着状態を目視で確認できる。

上部のロック解除スイッチをスライドさせると、着脱式USB Type-Cハブが頭を出す
取り外したハブにはPC接続用USB Type-Cコネクタが用意されているので、別途ケーブルを持ち歩く必要はない

 着脱式USB Type-CハブにはUSB Type-Cコネクタが直接生えているため、ケーブルなしでPCへ直結できる。一般的なケーブル一体型USB Type-Cハブと異なり、ケーブルが垂れ下がらないのも利点だ。

 今回はMacBook Airに装着したが、手前側のUSB Type-C端子に接続した場合は、隣接するUSB Type-C端子とMagSafe 3端子のどちらにも干渉しなかった。ただし、奥側のUSB Type-C端子に装着すると、MagSafe 3ケーブルと干渉して接続できなかったので注意が必要だ。

 また、メモリーカードを抜き差ししても着脱式USB Type-Cハブが外れることはなかったが、USB Type-C/USB Type-A機器を抜き差しすると、さすがにハブごと外れてしまった。メモリーカードについても、MacBook Air側の端子に負担をかけないよう、ハブを手で支えながら両手で抜き差しした方がよいだろう。

奥側のUSB Type-C端子に装着すると、MagSafe 3ケーブルと干渉して接続できなかった
外出先では6-in-1 USB Type-Cハブとしてコンパクトに利用可能

 据え置き時には、PCへUSB Type-Cケーブルを1本接続するだけで、周辺機器への接続とPCへの給電をまとめられる。コンパクトながら約408gと適度な重さがあるため、複数のケーブルを接続しても本体が動きにくく、デスク上の配線を整理しやすい点も◎だ。

PCとの接続はUSB Type-Cケーブル1本。周辺機器への接続とPCへの充電をまとめられる

Macでは複数ディスプレイが同じ画面になる点に注意

 本製品はHDMI 2基、DisplayPort 1基を搭載しており、Windows PCでは最大3台の外部ディスプレイに異なる画面を表示できる。これは、1系統のDisplayPort接続で複数の映像信号を伝送する「MST(Multi-Stream Transport)」機能を利用しているためだ。

 しかし、macOSは複数画面の拡張表示にMSTを利用できないため、本製品に複数の外部ディスプレイを接続しても、別々の画面を表示できない(Thunderbolt対応ハブなら独立表示できる場合もある)。すべての外部ディスプレイに同じ内容がミラーリングされてしまうのだ。

 今回使用したMacBook Airで、本体画面を含むトリプルディスプレイ環境を構築する場合は、外部ディスプレイの1台を本製品に、もう1台をMacBook Air本体へ直接接続する必要がある。

本製品経由でMacBook Airへ外部ディスプレイ2台を接続すると、画面がミラーリングされてしまう

最大10Gbps対応USB Type-Cは、外付けSSDの性能を十分に引き出せる

 次はデータ転送速度を検証してみよう。今回は、最大10GbpsのUSB接続に対応する外付けSSD「SSD-PH1.0U3-BA(1TB)」と、Thunderbolt 3対応の外付けSSD「Samsung Portable SSD X5(500GB)」を使用した。

 ベンチマークソフトは「AmorphousDiskMark 4.0.1」。最大10Gbps対応USB SSDについては、MacBook Airへの直接接続、本製品の最大10Gbps対応USB Type-C、着脱式ハブの最大5Gbps対応USB Type-Cで計測している。

【表】テスト条件
PC13インチMacBook Air(M5、メモリ24GB、SSD 1TB)
OSmacOS Tahoe 26.5.2
USB接続SSDSSD-PH1.0U3-BA(1TB)
Thunderbolt 3対応SSDSamsung Portable SSD X5(500GB)
ベンチマークソフトAmorphousDiskMark 4.0.1
室温25℃
ストレージ転送速度

 最大10Gbps対応のUSB SSDをMacBook Airへ直接接続した場合は、読み込み792.83MB/s、書き込み783.90MB/sを記録した。

 一方、ドッキングステーション側の最大10Gbps対応USB Type-Cへ接続した場合は、読み込み752.81MB/s、書き込み771.70MB/sとなった。直接接続時に比べて、読み込みは約95%、書き込みは約98%の性能を維持しており、ドッキングステーション経由でも外付けSSDの性能をおおむね引き出せている。

 ちなみに、ディスプレイ2台を併用した状態では、読み込み740.79MB/s、書き込み776.45MB/sとなった。ディスプレイを接続していない状態と比べると、読み込みは約1.6%低下した一方、書き込みは約0.6%上昇している。この程度であれば計測誤差の範囲だ。ディスプレイ2台を併用しても、明確な速度低下は見られなかった。

 一方、着脱式USB Type-Cハブの最大5Gbps対応USB Type-Cは、ドッキングステーションへの装着時に読み込み362.62MB/s、書き込み391.60MB/s、単体でMacBook Airへ接続した場合に読み込み369.62MB/s、書き込み393.38MB/sを記録した。

 最大10Gbps対応USB Type-Cのおよそ半分の速度だが、端子の仕様から考えれば順当な結果だ。また、ドックへの装着時と単体使用時の差も小さく、どちらの状態でもほぼ同等の性能を発揮している。

MacBook Airへ直接接続した際は、読み込み792.83MB/s、書き込み783.90MB/sを記録した
ドッキングステーションの最大10Gbps対応USB Type-Cに接続した際は、読み込み752.81MB/s、書き込み771.70MB/sを記録
着脱式USB Type-Cハブの最大5Gbps対応USB Type-Cに接続した際は、ドックへの装着時と単体使用時で、転送速度に大きな差は見られなかった

 ちなみに、Thunderbolt 3対応SSDをMacBook Airへ直接接続した場合は、読み込み2,875.12MB/s、書き込み2,344.82MB/sを記録した。ただし、本製品はThunderbolt非対応なので、当然、接続してもSSDは認識されない。最大10Gbpsを大きく超える転送速度が必要なら、PCへ直接接続した方がよいだろう。

Thunderbolt 3対応SSDをMacBook Airへ直接接続した際は、読み込み2,875.12MB/s、書き込み2,344.82MB/sを記録

高負荷時には最高48.9℃まで上昇した

 ドッキングステーションは、電力供給、映像出力、データ転送などを同時に処理するため、使用中に発熱する。公式マニュアルにも、本体が熱くなる場合があると記載されており、動作温度は0~35℃とされている。

 今回は室温24.2~25℃の環境で、サーモグラフィーカメラを使用して表面温度を計測した。ディスプレイ2台への映像出力、有線LAN接続、SSDへの書き込みを同時に5分間実行した高負荷時、高負荷動作終了から約30分後、着脱式ハブ単体でSSDへ5分間書き込んだ直後の温度を比較している。

表面最高温度

 高負荷時に最も温度が高くなったのは、本体背面のUSB Type-A端子付近で、最高48.9℃を記録した。高負荷動作を終了してから約30分後に再度計測したところ、47.2℃となった。高負荷時からの温度低下は1.7℃に留まっている。少なくとも今回の条件では、本体表面の最高温度は47.2~48.9℃で推移した。

 一方、着脱式ハブを単体で使用し、SSDへの書き込みを5分間実行した際の表面最高温度は37.4℃だった。ドッキングステーションへ装着した状態より接続機器が少なく、転送速度も低いため、発熱は比較的穏やかだ。

ディスプレイ2台への映像出力、有線LAN接続、SSDへの書き込みを5分間実行した際の表面最高温度は48.9℃だった(室温24.2~25℃)
高負荷動作の終了から約30分後に計測した本体背面の表面最高温度は47.2℃(室温24.2~25℃)
着脱式ハブ単体でSSDへの書き込みを5分間実行した際の表面最高温度は37.4℃(室温24.2~25℃)

ディスプレイ2台とSSDを同時に利用しても平均消費電力は約18.6W

 消費電力は、コンセントと付属ACアダプタの間にBluetoothワットチェッカー「REX-BTWATTCH1」を接続して計測した。ドッキングステーションにディスプレイ2台とSSDを接続し、YouTube動画を再生しながらSSDへファイルをコピーした際の消費電力を、約1分間記録している。

 計測データを集計したところ、消費電力は最小11.73W、最大28.80W、平均18.61Wだった。動画再生、ディスプレイ2台への映像出力、SSDへのファイルコピーを同時に実行しているため、処理状況に応じて消費電力は大きく変動している。

 この数値は、ドッキングステーションと接続機器に加えて、MacBook Air本体へ供給された電力も含む、コンセント側での総消費電力である。なお、別電源で動作させたディスプレイ本体の消費電力は含まれていない。

 本製品はPCへ最大100Wを出力できるが、当然、常に100Wを消費するわけではない。接続したPCや周辺機器が必要とするぶんだけ電力を供給する。

 今回のようにディスプレイ2台へ動画を表示しながらSSDへファイルをコピーしても、平均消費電力は18.61W、最大消費電力は28.80Wであった。大型ノートPCを急速充電していれば消費電力は跳ね上がるだろうが、低消費電力が売りのMacBook Airであれば、この程度に収まるわけだ。

ドッキングステーションにディスプレイ2台とSSDを接続し、YouTube動画を再生しながらSSDへファイルをコピーした際の消費電力は、最小11.73W、最大28.80W、平均18.61W

完成度は高いが、着脱機構が生きる場面は選ぶ

 本製品の動作は安定している。筐体の質感もよく、着脱式USB Type-Cハブの取り出しや収納にも節度感がある。各端子の抜き差しの固さも適切だ。着脱式USB Type-Cハブを収納できる機構を備えながら、筐体がコンパクトなのもグッド。価格はともかく、多くのユーザーにとって使いやすい製品だと感じた。

 残念なのは、Thunderboltに対応していないこと。また、MacBook Airで本製品経由で複数の外部ディスプレイを接続すると、画面がミラーリングされてしまうのも痛い。Macユーザーにとっては大きなデメリットだと思う。

 今回使用した最大10Gbps対応SSDであれば問題ないが、USB4やThunderbolt 4/5対応SSDを使いたい人にとっては、やはり物足りない。より高速なデータ通信に対応した上位モデルもリリースしてほしいところだ。

 さて、着脱式USB Type-Cハブが便利かどうかは使い方次第である。外出するたびに取り外して持っていくのは、正直、あまり現実的ではない。慌ただしく家を出るときに忘れてしまうこともあるし、外出先で紛失するリスクもある。外出先で小型USB Type-Cハブを頻繁に使うなら、べつに用意してバッグへ入れっぱなしにしておいた方がいい。

 その一方、自宅やオフィス内で使うぶんには便利だと思う。普段は仕事場でドッキングステーションとして使い、べつの部屋でメモリーカードを読み書きしたいときとか、プロジェクタにつなぎたいときだけ、着脱式USB Type-Cハブを取り外して持っていけばよい。

 というわけで、個人的には外出用USB Type-Cハブを内蔵した製品というより、自宅やオフィス内で使う小型USB Type-Cハブを内包したドッキングステーションだと感じた。そのような使い方であれば、着脱機構はかなり重宝するはずだ。