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着脱できるディスプレイを搭載したユニークなハイエンドビデオカード「iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V」

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GeForce RTX 4090搭載カード「Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V」

 10月12日に発売されたNVIDIAのハイエンドGPU「GeForce RTX 4090」は、2年ぶりにアーキテクチャと製造プロセスを刷新した新世代GPUであり、従来のGPUを圧倒する驚異的な性能が注目を集めている。

 今回は、そんなGeForce RTX 4090を搭載するビデオカードの1つ、Colorfulの「iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V」を紹介しよう。

最新鋭のハイエンドGPUを搭載した超大型ビデオカード

 Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-Vは、GeForce RTX 4090を搭載したColorfulオリジナルデザインのビデオカード。24+4フェーズの電源回路を備えた基板に、3スロットを超える巨大なトリプルファンGPUクーラーを搭載しており、TDPは550Wに設定されている。

 カードサイズは348.5×159.5×70.4mm(長さ×高さ×厚さ)で、重量は約2.5kg。補助電源コネクタとして16+4ピンの12VHPWRを搭載しており、4系統のPCIe 8ピン電源コネクタから12VHPWRに変換するアダプタが付属する。映像出力端子はHDMI 2.1(1基)とDisplayPort 1.4a(3基)で、バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16。

 ブラケット部には映像出力端子のほかに、プッシュスイッチが実装されている。これはOne-Key OC用のスイッチで、押すことによって動作モードを「ノーマル」と「ターボ」に切り替えることができる。ノーマルモードのGPUクロックはリファレンス相当で、ターボモードではGPUのブーストクロックが2,520MHzから2,625MHzに上昇する。

Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V。3基のファンを搭載する巨大なGPUクーラーを搭載する
基板裏面。基板の大部分がバックプレートで覆われており、カード後方部分は表面側から風が抜けるようにデザインされている
GPUクーラーの占有スロット数は3スロット超で、目測ではおおよそ3.5スロットが占有される
16+4ピンの補助電源コネクタ「12VHPWR」を搭載。隣はイルミネーション制御用ケーブルの接続端子
PCIe 8ピン×4系統 to 12VHPWR変換アダプタと、イルミネーション制御用ケーブル(USB 2.0+ARGB 3ピン)
映像出力端子はHDMI 2.1(1基)とDisplayPort 1.4a(3基)
One-Key OC用のプッシュスイッチ。スイッチを押し込むとターボモードに切り替わる
【表1】Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-Vの主な仕様
GPUGeForce RTX 4090
CUDAコア16,384基
動作モードターボノーマル
ベースクロック2,235MHz2,235MHz
ブーストクロック2,625MHz2,520MHz
メモリ容量24GB (GDDR6X)
メモリスピード21Gbps
メモリインターフェイス384bit
PCI ExpressPCIe 4.0 x16
映像出力端子HDMI 2.1(1基)、DisplayPort 1.4a(3基)
補助電源コネクタ12VHPWR(16+4ピン)
本体サイズ348.5×159.5×70.4mm(長さ×高さ×厚さ)
占有スロット3スロット超(3.5スロット程度)
消費電力(TDP)550W

ビデオカード上部に搭載できる液晶パネル「iGame Smart LCD」が付属

 Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-Vには、2.5kgという本体重量を支えるためのサポートステイやドライバが同梱されているほか、ビデオカード上部に取り付けるライティング用のユニットとして、800×216ドット表示の液晶パネルを備える「iGame Smart LCD」と、アドレッサブルRGB LEDを組み込んだライティングボードが同梱されている。

ビデオカードの重量を支えるサポートステイ
同梱されているドライバーとドライバービット
液晶パネルを搭載する「iGame Smart LCD」(右)と、RGB LEDが組み込まれた交換用のライティングボード

 iGame Smart LCDとライティングボードは、ビデオカード上部の接続端子部分にマグネットで着脱する仕様となっており、iGame Smart LCDは2方向での取り付けが可能となっている。これにより、マザーボードの拡張スロットにそのまま取り付けた場合はもちろん、ライザーカードなどで縦置きに設置した時にも液晶パネルによるライティングを楽しめる。

 また、iGame Smart LCDについては専用のディスプレイドックが付属しており、卓上などPC本体の外にiGame Smart LCDを設置することも可能だ。

ビデオカード上部に端子が用意されており、iGame Smart LCDやライティングボードをマグネットで着脱できる
iGame Smart LCDを水平方向に取り付けた状態
iGame Smart LCDは垂直方向にも取り付けられる。こうすることで縦置き時にも液晶パネルの表示が視認しやすい
ライティングボードは水平方向でのみ取り付けられる
ディスプレイドック。iGame Smart LCDをPC本体の外で利用できる
ディスプレイドックにiGame Smart LCDを取り付けたところ

 iGame Smart LCDは、標準のアニメーションによるライティング機能のほか、GPUやCPUのモニタリング機能や、ユーザー自身で表示をカスタマイズ可能な機能を備えているとされており、Colorfulの新世代GPUユーティリティ「iGame Center 2.0」でこれらを制御できるようだ。

 ただ、残念なことにテスト時点ではiGame Center 2.0が公開されておらず、iGame Smart LCDの表示をカスタマイズすることはできなかった。液晶パネルによる自由度の高いライティングやモニタリング機能は、Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-Vのユニークな魅力となり得るだけに、早く利用可能になることを期待したいところだ。

テスト時点で利用可能なGPUユーティリティ「iGame Center」。こちらでもLEDの制御は可能だった
レビュワーガイドによると、今後iGame CenterのUIが一新されるとのこと

Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-Vのパフォーマンスをチェック

 ここからは、Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-Vのパフォーマンスをベンチマークテストや実際のゲームで確認する。

 ビデオカードを搭載するベース機材には、Ryzen 7 7700Xを搭載したAMD X690E環境を利用する。グラィックスドライバは「GeForce Game Ready Driver 522.25」を適用した。その他の機材や設定については以下の通り。

【表2】テスト機材一覧
GPUColorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V (ターボモード)
CPURyzen 7 7700X (8コア/16スレッド)
CPUパワーリミットPPT=142W、TDC=110A、EDC=170A
CPUクーラーADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
マザーボードASRock X670E Taichi [UEFI=1.09]
メモリDDR5-6000 16GB×2 (2ch、30-38-38-96、1.35V)
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
電源Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum (1050W/80PLUS Platinum)
GPUドライバGRD 522.25 (31.0.15.2225)、Resizable BAR=有効
OSWindows 11 Pro 22H2 (build 22621.675/VBS有効)
電源プランバランス

3DMark

 3DMarkでは、新たに追加されたDirectX 12高負荷テスト「Speed Way」、DirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」のほか、従来の高負荷テストである「Time Spy Extreme」と「Fire Strike Ultra」を実行した。

 各テストのスコアは、Speed Wayが「9,996」、Port Royalは「25,802」、Time Spy Extremeは「15,135」、Fire Strike Ultraは「24,206」を記録した。いずれのスコアも従来のGPUとは一線を画す圧倒的なものだ。

3DMark「Speed Way」。スコアは9,996
3DMark「Port Royal」。スコアは25,802
3DMark「Time Spy Extreme」。スコアは15,135
3DMark「Fire Strike Ultra」。スコアは24,206

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」では、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHDと4Kでのスコアを計測した。

 ベンチマークスコアは、フルHDが「43,360」で、4Kは「27,193」。このときの平均フレームレートはそれぞれ「約311.7fps」と「約185.8fps」であり、DDR5-6000メモリを搭載したRyzen 7 7700Xの優れたCPU性能による底上げもあって、素晴らしいスコアとフレームレートを記録している。

フルHD/最高品質でのスコアは「43,360」で、平均フレームレートは「約311.7fps」
フルHD/最高品質でのスコアは「27,193」で、平均フレームレートは「約185.8fps」

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、描画設定を「エピック」に設定して、フルHDと4Kでフレームレートを計測した。レンダースケールは全ての条件で100%に設定しており、テスト時の上限フレームレートは600fps。

 フレームレートの計測結果は、フルHDが「平均521.3fps」で、4Kでは「平均228.6fps」を記録した。それぞれの画面解像度において最速級のゲーミングモニターとの組み合わせでも、その表示性能を十分に発揮できるほど高いフレームレートを実現してみせた。

オーバーウォッチ 2 (v2.1.1.0.106617)

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、もっとも高品質なグラフィックプリセットである「レイトレーシング:ウルトラ」を適用して、フルHDと4Kでゲーム内ベンチマークモードを実行した。なお、新技術のDLSS 3についてはテスト時のゲームバージョン「v1.6」では未対応なので使用していない。

 ベンチマークテストの結果、平均フレームレートはフルHDで「約126.5fps」、4Kで「約103.1fps」を記録した。

 サイバーパンク2077と言えば、登場当初よりそのGPU負荷の高さで知られてきたタイトルなだけに、フレーム生成を行なうDLSS 3なしでも、4Kでも平均フレームレートが100fpsを超えるというGeForce RTX 4090のパフォーマンスは衝撃的だ。

サイバーパンク2077 (v1.6)

圧巻の性能とユニークなライティング機能が魅力のビデオカード

 最新のハイエンドGPUを搭載するColorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-Vのパフォーマンスは圧巻で、ゲーミング性能を追求するエンスージアストにとってはベストな選択肢の1つだ。

 また、テスト時点ではその機能の全てを試すことはできなかったものの、着脱可能で取り付け方向を選択できる液晶パネル「iGame Smart LCD」はユニークなもので、今後ユーティリティがアップデートされ、液晶パネルを使った自由度の高いライティングが楽しめるようになれば面白い存在となるだろう。