やじうまミニレビュー
在宅ワーク用にゲーミングデスクトップにWi-Fi+Bluetoothアダプタを後付けした4つの理由
2022年8月8日 06:14
AmazonでPCI Express接続のWi-Fi+Bluetoothアダプタを購入した。このアダプタを取り付けたPCにはすでに1Gbpsでつながる有線LANがあるので、単純に通信するだけならWi-Fiは今さら不要。なぜ買ったのかというと、Wi-FiとBluetoothが使えると、デスクトップPCの活用の幅がさらに広がるからだ。
特に在宅ワークでデスクトップPCを使っている場合、この2つのネットワークが加わるとより便利になる。本稿では、具体的に4つの機能を紹介しよう。
ワイヤレスディスプレイが使えるようになる
Widows 10および11にはMiracastというワイヤレスディスプレイ技術が標準実装されている。機能的には、映像信号をLANで飛ばすだけなので有線通信でもできてよさそうなものだが、Wi-Fiでないと利用できない。
Windowsのワイヤレスディスプレイは送信側にも受信側にもなれる。Windows PCが2台あれば、いずれかをそれぞれの無線モニターとして使えるし、Miracastに対応したAndroidタブレットやTVなどと組み合わせることもできる。
在宅ワークでデスクトップとノートを併用している場合、ノートの画面をデスクトップ用のモニターに映し出すことは簡単だが、デスクトップの画面をノートには写せない。しかし、ワイヤレスディスプレイ機能を使えばそれが可能となる。
なお、デスクトップPCの場合、ワイヤレスディスプレイの受信機能は標準ではインストールされていない。Windows 11だと、設定→システム→このPCへのプロジェクション→オプション機能と選んでいき、ワイヤレスディスプレイを追加する。その上で、「許可した場合は、一部のWindowsとAndroidデバイスからこのPCへのプロジェクションに出力できます」で「常にオフ」以外を選ぶ。
あとは、送信するPCから、設定→システム→ディスプレイ→ワイヤレスディスプレイに接続する、の「接続」を押して、表示されるもう1台のPCを選べば利用できるようになる。
Bluetoothマルチポイント接続が便利
最近のBluetoothデバイスではマルチポイント接続に対応したものが登場している。これは、1台のBluetoothデバイスを、2台の親機(PCやスマホなど)に同時接続する技術だ。
従来のマルチペアリングだと、たとえばBluetoothイヤフォンをPCとスマホの2つとペアリングできるが、同時接続は1台なので、適宜手動で切り替えて使う必要があった。これに対してマルチポイント接続なら、PCとスマホにBluetoothイヤフォンを同時接続しておいて、普段はPCの音声を聞きつつ、スマホに電話がかかってきたらそのままそのイヤフォンで通話ができる。そして、スマホでの通話が終わると、自動的にイヤフォン接続ははPCへ切り替わる。
自宅で仕事をしていても、Web会議でハウリングさせないためにイヤフォンやヘッドフォンを使うユーザーは増えていると思う。あるいは、集中するために、アクティブノイズキャンセリング機能搭載のイヤフォン/ヘッドフォンを自宅で使う人もいるだろう。
そういった中で、PCにBluetoothがあると、それらのデバイスの取り扱いが楽になる。
スマートフォン連携アプリでPCから電話ができる
Windows 11に標準搭載の「スマートフォン連携」アプリを使うと、スマホの通知をPCで確認したり、スマホに保存された写真をPCで閲覧や直接ダウンロードするといった機能が利用できる。通知と写真の閲覧については、スマホとPCを同じネットワークにつなぐことで使えるので、PC側は有線LANでもいい。
そして、スマホとPCをBluetoothでペアリングすると、このアプリを使ってスマホ経由でPCから電話の発着信もできるようになるのだ。在宅ワークでのWeb会議など用にヘッドフォンやマイクなどをそろえているユーザーも少なくないと思うが、この機能を使うと電話する際にもそれらを活用できるようになる。スマホで長電話をすると、スマホを耳に押さえつけてしまって、耳が痛くなることもあるが、ヘッドフォンやイヤフォンならそういったことがない。
ただし、AndroidスマホからヘッドセットにBluetooth経由で通話をリレーすることは現在サポートされていないので、ヘッドフォン/イヤフォンは有線のものが必要となる。
動的ロック
PCとスマホをBluetoothでペアリングすると、「動的ロック」という機能も使えるようになる。これは、スマホがPCから遠ざかりBluetoothの接続が切れると、自動的にPCがロックされる機能だ。家庭ではそこまで必要な機能ではないかも知れないが、会社や出先などで活用すると、よりセキュアになる。
設定は、設定→アカウント→サインインオプション→動的ロックで行なう。
ただ、紹介しておきながら、筆者の環境だとオンにしても機能しなかった。これが今回買ったアダプタの問題なのか、スマホ側の問題なのか、はたまたOSの不具合なのかはよく分からないが、利用できる場合はオンにしたい機能だ。
製品スペック
最後に今回買った製品を紹介する。ブランドはOKNとなっているが、筆者は知らないブランドだ。ただし、チップセットはIntel AX210という超メジャーなものだ。パッケージにはドライバCDも入っていたが、プラグアンドプレイで動作した。価格は4,500円ほどだった。
AX210の仕様としては、最新のWi-Fi 6Eと、Bluetooth 5.3に対応。Wi-Fi側は2x2のアンテナで、6GHz帯/160MHzバンド幅で最大2.4Gbpsの無線通信が可能となっている。Amazonページのメーカーの説明だとBluetoothはバージョン5.2と書かれているが、Windows 11ではバージョン5.3として認識されていた。
なお、Wi-FiコントローラはPCI Express接続だが、BluetoothはUSB接続となっており、同梱されるケーブルを使って、マザーボードのUSBピンヘッダとつなぐ必要がある。
我が家はルーターがまだWi-Fi 5のものなので、Wi-Fiでは本製品の最大性能を発揮できないが、参考までにインターネット速度テストを行なってみた。有線LANでは上り546Mbps、下り725Mbpsだったところ、Wi-Fiでは上り306Mbps、下り321Mbpsとなった。この製品のアンテナと同じところにスマホ(Wi-Fi 5接続)を置いて測定したところ、上り443Mbps、下り478Mbpsとなった。
多少大きめのサイズのファイルのダウンロードなども問題なく対応できる性能だが、そこまで高性能というわけではないようだ。個人的にはこのアダプタは性能ではなく機能性の追加のために利用しているので、気にしていない。また、Wi-Fi 6/6E接続なら、さらに高い性能が出る可能性がある。
ちなみに、Windows 11では、有線LANと無線LANが混在する場合、有線LANが優先される。そのため普段の作業やゲームなどでは有線LANが使われ、ワイヤレスディスプレイのような機能を使う時だけWi-Fiが使われるので、特に意識して切り替える必要はない。
筆者のゲーミングPCには、常時11台のUSB機器がつながれているのと、PCI Expressの空きスロットがあるので、内蔵型を選んだ。ざっと調べた限り、USB接続だとWi-FiだけかBluetoothだけのアダプタが多いほか、Wi-Fi 6E対応のものはまだないようなので、最新規格のものが欲しい人はPCI Express内蔵型を選ぶといいだろう。