やじうまミニレビュー

タブレットをシールで貼付?ディスプレイアーム取付用のアダプタを使ってみた

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「VESAマウント対応アダプター」を用い、保護ケースを取り付けた12.9インチiPad Proをディスプレイアームに固定した状態。正面からはまったく見えない

 タブレットをサブディスプレイとして使うニーズは少なからずあるが、ディスプレイアームに取り付ける方法は少ない。以前紹介したVESAマウント拡張用のアタッチメントのような製品はあるが、フィット感は低く、見た目もあまりスッキリしない。

 今回紹介するFelimoaの「VESAマウント対応アダプター」は、VESA規格のマウントに取り付けるネジとシールが一体化しており、それをタブレットの背面に貼り付けることで、ディスプレイアームへの取り付けを可能にする豪快な一品だ。実物を購入したところ、意外にも? 実用的であることが分かったので、ミニレビューをお届けする。

ネジと一体化したシールをタブレットに直接貼り付け

 本製品はネジの頭部に、シールが貼られた台座が一体化している。構造を見ると、ネジの頭部を囲うように樹脂製のパーツがあり、そのパーツをまるごとシュリンク包装するような形で、面積50×80mmのシートが一体化している。この構造ゆえ、普通に利用していて、ネジ単体がシートから分離することはまず考えにくい。

 このシートの裏は粘着面になっており、これをタブレットの裏面に貼り付けることになる。とはいえタブレットに直接貼るのはあまり望ましくないので、保護ケースを用意し、そこに貼り付けることによって、タブレット本体は着脱できるようにするのがベターだろう。

 このアダプタ本体(ネジ+シート)は1つ1つが独立しているので、VESAマウントに取り付けるには、ネジの数、つまり計4個が必要になる。パッケージにはこれが8個封入されているので、2セットが含まれている計算になる。ネジを通したあと、付属のナットを使って固定する仕組みだ。

 耐荷重は1つあたり約10kgまでとされている。今回の作例で用いている12.9インチiPad Proは本体のみで約700g、保護ケースを足して1kgあるかないかなので、まず問題はない。モバイルディスプレイを取り付ける場合も、15.6型クラスで1kgを超えることは考えにくいので、こちらも大丈夫だろう。軽さがむしろネックになる点については後述する。

パッケージはなく、ラベルが貼られたビニール袋に封入されているだけ(中央のネジは袋を突き破っている)。販売元はFelimoa
アダプタが4個×2と、ネジ類一式が付属。取説類はない
アダプタ。ネジの基部は樹脂製パーツで覆われている
裏から見たところ。全体がシュリンクされているため、ネジ穴は外部に露出していない
横から見たところ。ネジの頭は樹脂でがっちり固められており厚みがある
裏の粘着面でタブレットもしくは保護ケースに貼り付ける

 取り付け手順は特に指定されていない。本製品を先にタブレットの裏面に貼ってからVESAマウントに取り付ける順序だと、きちんとVESAマウントのネジ穴にはまるとは限らないので、本製品を先にVESAマウントに取り付け、ネジ同士の正しい間隔を維持した状態でタブレットを貼り付ける順序のほうがよいだろう。

 なお今回は12.9インチiPad Proの取り付けにあたって、ハードタイプの保護ケースを調達し、それを介して取り付けを行なった。本製品はモバイルディスプレイの取り付けも可能だが、その場合はこうした保護ケースが用意されているとは限らず、本体に直接貼り付けなくてはいけないのがネックになりそうだ。

12.9インチiPad Proを直接貼り付けるのではなく、別途調達したハードタイプの保護ケースを介して取り付ける
本製品をハードケースの上に載せてみた。これだけでは正しいネジの間隔が分からないので、先にVESAマウント側に合わせたほうがよい
ディスプレイアームのVESAマウントに本製品をネジ止めした状態
付属のネジを使って固定する。ネジは約14mmとかなり長いので、VESAマウントの金具を通せないことはないだろう
続いて裏の粘着テープをはがし、そこに保護ケースを押し当てるようにして貼り付ける
いったんVESAマウントから取り外す。配列が若干いびつだが気にしない
表裏両方から挟んで粘着面に入り込んだ空気を抜いてやる
横から見た状態。保護ケースからネジ4本が突き出ている状態になる
再度ディスプレイアームに取り付けたところ。これで取付作業自体は完了
iPad Proをはめ込んだ状態。正面から取付具が見えないのがよい

VESAマウントに装着できるハンドルを追加すればさらに盤石

 さて実際の使用感だが、なかなか良好だ。タブレット専用のアームだと、大判のタブレットの自重に耐えられないこともしばしばだが、ディスプレイアームなのでそうした心配もない。また上下から挟み込むアタッチメントと違って、正面からは部品が見えないので、見た目も良好だ。

 問題点があるとすれば、位置を動かしたり、画面を回転させるにあたり、どこを持って力を加えるか迷うことだ。本製品の粘着力は相当強く、ちょっとやそっとで剥がれることはなさそうだが、それでも強い力を加えないと動かないほどディスプレイアームの機構が固ければ、外れてしまわないか気を使う。

 こうした場合は、VESAマウントに取り付けて動かしやすくするハンドルを追加するとよい。これを本製品とVESAマウントの間に挟むように設置すれば、タブレット本体や保護ケースに触れることなく、位置を動かしたり画面を回転させられる。約3千円ほどの追加出費が必要になるが、あらかじめ必要なコストとして見積もっておくとよいだろう。

ディスプレイアームに取り付けた状態。充電ケーブルはL字もしくはU字コネクタの製品に交換してアームに沿わせれば目立たなくなるだろう
背面。角度を変えるにはこの金属プレート部分を押さえて動かさなくてはならない
こうした場合はVESAマウントに取り付けるハンドルを用いるとよい。今回はサンワサプライ「MR-VESA5N(実売価格2,500円前後)」を使用
パッケージ一式。VESAマウントに取り付けられるハンドルだ
取り付けた状態。これならば角度を変える時もタブレットおよび保護ケースに触れずに済む
ハンドル部分は木製で堅牢。握り心地もよい
これならば縦向きに回転させるのもお手の物だ
ハンドルは斜め後方にせり出しているので握りやすい。似たコンセプトの製品は複数あるので探してみてほしい

 最後になるが、1つだけ気をつけたいのは荷重範囲だ。PC用の大型ディスプレイを取り付けることが前提のディスプレイアームは、最低でも2kg程度の荷重がかかることが前提の製品が多く、タブレットのように軽い製品を取り付けた場合、位置を下げようとしても下がらない場合がある。ガスシリンダー式のチェアに体重の軽い子供が乗ると、レバーを引いても座面が下がらないのと同じだ。

 ディスプレイアームの荷重範囲は、上限は書かれていても下限は記述のないことも多いので、デスクの天板スレスレの低い位置にセットしようと考えている人は、製品選びにあたって気をつけたほうがよさそうだ。