やじうまミニレビュー
一歩抜きん出たモバイルディスプレイ。マウント穴付きで自由自在のASUS「MB16AH」を試す
2021年5月10日 06:45
最近は、10~15型の比較的コンパクトなパネルを搭載した「モバイルディスプレイ」が増えてきた。特に14~15型パネルを搭載したモデルならA4版ホームノートPCに近い表示領域を得られるため、在宅勤務でノートPCのサブディスプレイとして使うならぴったりだと思う。
今回紹介するASUSの「MB16AH」も、そうした大きめなパネルを装備するモバイルディスプレイの1つである。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)で、映像入力端子としてUSB Type-CとHDMIを搭載し、幅広い環境で利用できること、そして裏面に1/4インチのネジ穴を装備し、三脚やクランプでも固定できるという設置自由度の高さが魅力となる。
クランプを使えば小型の机でも利用可能
MB16AHの幅は35.97cm、高さは22.74cmだ。上部と左右のフチが非常に狭いタイプのモバイルディスプレイで、最近増えてきた狭額縁タイプのモバイルノートの液晶ディスプレイによく似ている。
下部には電源ボタンやOSDの操作ボタン、ステレオスピーカーを搭載する関係で若干スペースが取られているのだが、それでもコンパクトさが際立つデザインだ。
【表】ZenScreen MB16AHのスペック | |
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パネルサイズ | 15.6型ワイド |
解像度 | 1,920×1,080ドット |
入力インターフェイス | USB Type-C(DisplayPort対応)、Micro HDMI |
パネル種類 | IPS(非光沢) |
視野角 | 水平178度、垂直178度 |
画素ピッチ | 0.179mm |
応答速度 | 5ms(中間色) |
輝度 | 250cd/平方m |
コントラスト比 | 700:1(標準) |
最大表示色 | 約26万色 |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 359.7×227.4×9mm |
重量 | 約730g |
実売価格 | 3万3,000円前後 |
厚みも9mmと、かなりスリムだ。付属するカバーをかけた状態でも、B5ファイルサイズの書類が入る一般的なビジネス向けなら、すっきりと収納できるだろう。本体の重さは約730g、カバーをかけた状態の実測値は927g。出張先での作業が長引くことが想定できるなら、ノートPCと一緒に携帯することも考えたくなる重さだ。
このカバーは、面ファスナーを利用することで三角錐の形状になり、MB16AHを立てかけてしっかりと固定できるスタンドになる。底面にはストッパーを設けているので、MB16AHがズレたり倒れたりする心配もない。
固定方法に関するユニークな機能として、冒頭でも紹介した通り、背面に1/4インチのネジ穴を装備することが挙げられる。カメラを嗜んでいる人なら、このサイズにピンと来るだろう。そう、カメラ本体やストロボ、ライトなどの固定でよく利用されるサイズのネジ穴だ。
とは言えカメラ用の三脚を使うのはさすがにおおげさなので、最近増えてきたフレキシブルアームを装備するコンパクトなクランプがおすすめだ。今回は、筆者がGO Proやコンパクトカメラを固定するため利用していた小型クランプを試してみたところ、問題なく固定できた。
付属のカバー兼スタンドを机に置いて利用する場合、スタンド用のスペースも机の上に確保する必要がある。MB16AHの横幅は35.97cmなので、ノートPCと合わせると60~70cmくらいのスペースは必要だ。しかしこうしたクランプを利用する場合は、机の端にクランプを挟めばよいので、よりコンパクトなスペースで同じ作業領域を確保できる。
ただしクランプを購入する前に、対応できる重さを確認しておきたい。ケーブルやクランプの保持力が弱いタイプだと、MB16AHを付けるとケーブルが曲がって固定できなかったり、クランプが机から外れて落ちたりすることもある。MB16AHは約730gなので、1kg前後のアイテムに対応できるタイプのクランプなら大丈夫だろう。
映像入力端子は2系統、多機能なユーティリティにも注目
映像入力端子は、DisplayPort Alternate Mode対応のUSB Type-Cと、Micro HDMIの2系統だ。Type-Cを利用する場合はケーブル1本でOKだが、Micro HDMIを利用する場合はType-Cケーブルも利用して電源を供給する必要がある。
なおこうした接続に必要なケーブル類はMB16AHに同梱されているので、ユーザーが改めて用意する必要はない。
最近のモバイルディスプレイだとType-Cのみに対応するモデルも多いのだが、MB16AHではHDMIに対応するため幅広い状況に対応できる。
例えばデスクトップPCだとDisplayPort Alternate Mode対応のType-Cコネクタを搭載するモデルはほとんど存在しないが、HDMIなら搭載しているはずだ。
メインで利用している据え置き型の液晶ディスプレイにMB16AHを加えることで、簡単にマルチディスプレイ環境が構築できる。メールアプリやSNSの画面、チャットアプリなど、常に状況を確認しておきたいウィンドウを表示させておくとよいだろう。
また15.6型ワイドとパネルサイズはそれなりに大きいので、PDFファイルやプレゼンテーションファイルを表示しても視認性は高く、作業性の向上にも十分貢献するはずだ。
こうしたモバイルディスプレイではお馴染みの使い方だが、ゲーム機とつなげるのも楽しい。画面サイズが大きいので臨場感もある。スピーカーを搭載しているため、ヘッドフォンなどをつなげなくてもゲームのサウンドを出力できるし、周囲の人間と一緒に楽しめるのもうれしい。
実際に画面を出力してみたところ、精細感や密度感のある美しい映像が表示された。視野角の広いIPSパネルを搭載しているだけあって、視野角も広く表示品質は非常に高い。
個人的にこうしたモバイルディスプレイが好きで、色々なモデルを検証してはいるのだが、そうした中でも表示品質はかなり良好だと感じる。
また、独自ユーティリティ「ASUS Display Widget」を利用することで、輝度やコントラスト比、カラー調整など一般的な設定項目や、表示するコンテンツに合わせた調整機能などを簡単に呼び出すことが可能だ。
こうした調整をOSDを利用して行なう液晶ディスプレイでは、小さなボタンやレバーを何回も操作する面倒な作業を強いられるが、MB16AHではWindows上で動作するユーティリティを使って簡単に行なえる。
またこのユーティリティを利用することで、画面の向きに合わせて自動で表示方向を切り換える機能が利用できる。Windows 10の設定アプリから表示方向を切り換えるなど面倒な作業をすることなく、表示するコンテンツに合わせて表示方向を切り換えられるのだ。
1Wのステレオスピーカーは、高音域の解像度が高くすっきりとした音質だった。さすがに出力が小さいので低音は弱めだが、このへんは仕方のないところだろう。前述したようにゲームでみんなとわいわい楽しむなら、概ね気にならないレベルだ。
「置き場所の議論」に一石を投じる可能性も
液晶ディスプレイの表示品質や付属のスタンド兼ケース、ユーティリティの機能性などを踏まえて考えると、非常に高いレベルでバランスの取れたモバイルディスプレイと言ってよいのではないだろうか。他社製品と比べても、一歩抜きん出ている印象がある。
そうしたモバイルディスプレイとしての完成度に加え、今までになかった1/4インチのネジ穴を利用したマウントは、モバイルディスプレイの使い方を一変させる可能性すらある「飛び道具」だ。
この1/4インチネジ穴に対応するマウンタは、特にカメラ用品として数多くラインナップされている。自分の利用環境やコストに合わせて色々なものを試してみると楽しいし、新しい使い方が見付かるのではないだろうか。