やじうまミニレビュー

内蔵キックスタンドが便利! マウス製15.6型モバイルディスプレイで在宅勤務を再考した

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
15.6型液晶を搭載するマウスコンピューターの「ProLite X1670HC」。実売価格2万3,000円前後

 出張先や喫茶店での突発的な作業など、緊急避難的状況ならともかく、ビジネスに関する作業環境をノートPC 1台で構築するのは難しい、と筆者は考えている。

 情報収集や書類作成、息抜きのPCゲームなどなど、PCを利用して各種作業をする場合、「デスクトップの広さ」は作業効率を考える上で非常に重要な要素だからだ。

 とは言え、在宅勤務のためだけに24~27型の一般的な据え置き型液晶ディスプレイを購入するのもためらわれるし、何よりも設置するスペースを確保するのが難しい、というユーザーも多い。

 しかし今回紹介するマウスコンピューターがiiyamaブランドで展開する「ProLite X1670HC」に代表される「モバイルディスプレイ」を利用すれば、比較的気軽にデスクトップ領域を広げて作業効率を向上できる。

 ProLite X1670HCは、モバイルディスプレイらしいコンパクトで置き場所に困らないサイズ感ながら、フルHD解像度(1,920×1,080ドット)に対応し、IPSパネルを採用するので表示品質は十分高い。今回はこのProLite X1670HCの使い勝手や機能性をチェックしていこう。

背面にスタンドを搭載し単体で自立できる

 ProLite X1670HCは、15.6型ワイド液晶を搭載するモバイルディスプレイだ。15.6型と言うと、ホームユース向けA4版ノートPCに搭載されることの多いパネルサイズであり、ちょうどそうしたノートPCの液晶ディスプレイ部分のみを切り出したようなデザインである。実売価格は2万3,000円前後だ。

【表】ProLite X1670HCの主なスペック
パネルサイズ15.6型ワイド
入力インターフェイスType-C(DisplayPort対応)
パネル種類IPS(非光沢)
最大表示範囲344.2×193.6mm
視野角上下/左右170度
画素ピッチ0.179mm
応答速度6ms(中間色)
輝度220cd/平方m
コントラスト比800:1(標準)
最大表示色約1,677万色
スタンドの角度15~35度
サイズ(幅×奥行き×高さ)377×234.5×20mm
重量960g

 ちょっとおもしろいのが、背面にスタンド機能を備えることだ。スペック上は15~35度の範囲で角度を無段階に調整可能であり、実際に試してみると、大きく開いた状態でロックがかかり、そのロックした状態から約20度の範囲で角度を調整できるという機能だった。

背面のスタンドを使って自立できる

 ただスタンドのヒンジ部分はかなり強固に固定されており、ロックが有効ではない角度まで倒しても不安定さは感じさせない。もちろん保証外の使い方にはなるが、視点やディスプレイを置く場所に合わせて、ある程度自由に調整できると考えてもよさそうだ。

このように背面のスタンドの角度を変更できる。左が15度、右が35度
スタンドのヒンジはかなり固いので、ロックされないこんな角度でもしっかり固定されていた

 フチはそれほど狭いタイプではない。しかし移動したり、収納したりと言ったときにもフチを掴みやすいため、好みの範囲内と言ってよいだろう。そもそもパネルサイズが15.6型ワイドとかなり大きめなモバイルディスプレイなので、設置スペースへの影響も少ない。

 本体の幅は377mm、高さは234.5mmで、厚みは20mm。スタンド部分をプラスすると、設置に必要な奥行き分のスペースは、実測値で約90mmだった。24~27型の一般的な据え置き型液晶ディスプレイだと、幅は500~600mm、設置に必要な奥行き分のスペースは250~300mmであることを考えると、設置スペースはかなり少なくてすむ。

14型の「Latitude 7420」の下にProLite X1670HCを置いたところ。おおむねこのパネルサイズのノートPCよりも一回り大きいサイズ感と考えてよい

 今回は液晶サイズが近い14型液晶搭載ノートPCと併用してみたところ、60cmくらいの幅の机であれば並べて置いても狭苦しさは感じない。マウスを利用する場合は、さらにマウスを操作するスペースも加えて70cmくらいあると余裕がある。

 モバイルディスプレイはコンパクトで軽量なので、作業しないときは片付けてしまうことも可能だ。リビングなど広い机でノートPCとProLite X1670HCを広げて在宅勤務し、食事など家族の集まる時間にはそれらの機材をさっと片付けられる。据え置き型の液晶ディスプレイでは、こうしたスペースの柔軟な使い方はできない。

使わないときは本棚などに挿し込んで片付けてしまうことも可能

 またコンパクトで軽量であることを活かして、モバイル環境で利用するのもオススメだ。テーブルが小さい喫茶店ではちょっと難しいが、ホテルなど作業用にある程度のスペースを確保できる環境なら、ノートPCに加えてこのProLite X1670HCを一緒に持ち歩くことで、作業効率は飛躍的に高まる。ウレタン素材のキャリングソフトケースを同梱しているので、積極的に活用したい。

ウレタン製のキャリングケースが付属している

入力端子はType-Cのみ、IPSパネルで表示品質は高い

 ここからは実際にノートPCと接続し、使い勝手などを検証していこう。映像入力インターフェイスは、Type-Cコネクタのみの構成だ。DisplayPort alternate対応のType-Cコネクタを搭載するノートPCと組み合わせて利用する。

インターフェイスは映像入力端子と電力供給を兼ねるType-Cと、電源供給用のMicro USBを1基ずつ装備

 一般的なHDMIを搭載していないのはちょっと残念だ。ただ最近のA4判ホームノートPCやビジネス用のモバイルノートで、DisplayPort Alternate Mode対応のType-Cを搭載していないモデルのほうが少ないことを考えると、取り立てて問題にはならないだろう。

 Type-Cの横にはMicro USBポートがあるが、これはType-Cコネクタ経由の電源供給では足りないときに追加で利用するための電源供給用のコネクタだ。USBの充電器や、PCのUSBポートと接続して利用する。

 とは言え、筆者の自宅にあったレノボの「ThinkPad T14 Gen1(AMD)」、デル・テクノロジーズの「Latitude 7420」や「XPS 13」(2018年モデル)など、DisplayPort Alternate Mode対応のType-Cコネクタを搭載するすべてのノートPCで、付属のType-Cケーブルだけで映像出力と電源供給が行なえた。ここ数年のノートPCなら、とくに問題なく利用できるのではないだろうか。

前述のLatitude 7420のほか、ここ数年のType-C搭載ThinkPadシリーズでも問題なく利用できた

 ただProLite X1670HCがサポートするのはシンプルなディスプレイ機能のみであり、DisplayPort alternateをサポートしないType-C、あるいは一般的なUSBポート経由で接続したノートPCと接続しても、外付けディスプレイとしては利用できないことには注意が必要だ。

 IPSパネルを搭載することもあって視野角は広く、上下左右どこから見ても色みの変化は少ない。また非光沢パネルなので周囲の光を反射することもなく、とくにビジネスでは使いやすい液晶ディスプレイと言ってよいだろう。標準の設定だとやや色みが薄いかな、とは感じるが、コントラスト設定を標準の50から、60~65などやや強めに設定することで解決できた。

赤や緑もしっかりと表現してくれる品質の高い液晶パネルだ

 左側面には、5つのボタンを装備する。上から電源ボタン、OSDの表示ボタン、選択カーソルの上下移動ボタン、OSDの消去ボタンとなる。ブルーライトカット機能の調整や、前述したコントラストや輝度、カラーマネジメントの変更などは、このOSDから行なう。OSDの表示時間が短めなので、すばやく操作したい。

 15.6型と、モバイルディスプレイとしては大きめなこともあり、WordやExcelのウィンドウを表示しても十分な視認性を確保できる。また推奨のスケーリングは150%だが、この設定だとちょっと文字やアイコンが大き過ぎる。個人的には、もう1つ小さい125%で十分だと思う。

左側面に5つの操作用ボタンを装備しており、OSDはこのボタンを使って設定する

在宅勤務を快適にしてくれるアイテムの筆頭

 14~15型のノートPCと組み合わせて利用すれば、ほぼ同じサイズのデスクトップを2枚同時に利用できることになる。各アプリのウィンドウを重ねずに表示することも可能なので、資料を参考にしながらデータをコピペし、書類を作成すると言った作業もはかどる。攻略記事をモバイルディスプレイ側に表示しながら、ノートPC側ではゲームのウィンドウを表示すると言った使い方もよいだろう。

 モバイルディスプレイは、ノートPC 1台で悪戦苦闘しているユーザー全員におすすめしたいアイテムの1つだ。あるとないとで、PCを利用する作業の効率が大きく変わってくることは間違いない。とくにProLite X1670HCは実売価格が比較的安く、導入のハードルも低い。今後在宅勤務が働き方の1つとして定着していくことを考えれば、ぜひとも導入を考えたい。