やじうまミニレビュー
満を持して登場したPCIe 5.0対応SSD「Samsung SSD 9100 PRO」。性能はもちろん強烈!
2025年3月19日 00:00
Samsungから、PCI Express 5.0(以下PCIe 5.0)x4対応SSD「9100 PRO」が登場した。Samsungのコンシューマ向けSSDのフラグシップモデルであるPROシリーズ初のPCIe 5.0対応モデルで、従来モデルと比べて大幅な速度向上を実現している。今回、9100 PROの4TBモデルをいち早く試用する機会を得たので、レポートをお届けする。
PROシリーズ初のPCIe 5.0対応
9100 PROは、従来のフラグシップモデルである990 PROの後継として位置付けられている最新SSDだ。最大の特徴は、PROシリーズとして初となるPCIe 5.0対応を実現している点だ。
Samsungのコンシューマ向けSSDでは、「990 EVO」や「990 EVO Plus」でPCIe 5.0対応を実現していたものの、それらはPCIe 5.0 x2接続にとどまっていた。それに対し9100 PROはPCIe 5.0 x4接続に対応しており、フルスペックと言えるPCIe 5.0対応SSDとなっている。
それに伴い、シーケンシャルアクセス速度はリードが最大14,800MB/s、ライトが最大13,400MB/sと、990 PROのリード最大7,450MB/s、ライト最大6,900MB/sから双方とも2倍ほどに高速化。ランダムアクセス速度(QD 256/32 Threads)もリード最大2,200K IOPS、ライト最大2,600K IOPSに高速化されており、まさしくフラグシップSSDらしい、圧倒的な速度を実現している。
この速度は、Samsung製NANDフラッシュメモリ「第8世代 V-NAND(TLC)」と、5nmプロセス採用のSamsung製SSDコントローラ「Presto Controller」の採用により実現している。しかも、これだけ速度を高速化しながら、990 PROと比べて電力効率を最大49%向上させ、消費電力も2.5Wの増加にとどめている。そのため、ノートPCでも問題なく活用できるとしている。
製品バリエーションは、ヒートシンク装着モデルとヒートシンクなしモデルがあり、容量は1TB、2TB、4TB、8TBを用意(8TBモデルは2025年第3四半期の発売を予定)。このうちヒートシンク装着モデルは、25℃の環境でシーケンシャル書き込みを行なっても、内蔵の熱監視システム「Dynamic Thermal Guard technology」で設定されているサーマルスロットリングの設定温度まで上昇しないとのこと。またヒートシンクの厚みは11.25mmのためPlayStation 5対応SSDの要件も満たしている。
フォームファクタはM.2 2280、接続インターフェイスはPCIe 5.0 x4、プロトコルはNVMe 2.0。総書き込み容量は1TBモデルが600TBW、2TBモデルが1,200TBW、4TBモデルが2400TBW、8TBモデルが4,800TBW。保証期間は5年。主な仕様は以下の表にまとめた通りだ。
容量 | 1TB | 2TB | 4TB | 8TB |
---|---|---|---|---|
フォームファクタ | M.2 2280 | |||
インターフェイス | PCIe 5.0 x4 | |||
プロトコル | NVMe 2.0 | |||
NANDフラッシュメモリ | TLC 3D NAND「第8世代 V-NAND」 | |||
コントローラ | Samsung内製コントローラ「Presto Controller」 | |||
DRAMキャッシュ | LPDDR4X 1GB | LPDDR4X 2GB | LPDDR4X 4GB | LPDDR4X 8GB |
シーケンシャルリード | 14,700MB/s | 14,800MB/s | ||
シーケンシャルライト | 13,300MB/s | 13,400MB/s | ||
ランダムリード(QD256,Thread32) | 1,850,000 IOPS | 2,200,000 IOPS | ||
ランダムライト(QD256,Thread32) | 2,600,000 IOPS | |||
総書き込み容量 | 600TBW | 1,200TBW | 2,400TBW | 4,800TBW |
保証期間 | 5年 |
今回はヒートシンクなしの4TBモデルを試用したが、基板表面には、ニッケルコーティングを施したSSDコントローラチップとキャッシュメモリチップ、NANDフラッシュメモリチップを2チップ搭載していることを確認できた。裏面には、従来モデル同様に銅箔を利用したヒートスプレッダを装着している。
公称同等の非常に高速なアクセス速度を確認
では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。今回領したベンチマークソフトは、「CrystalDiskMark 8.0.6 x64」、「ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1」、「PCMark 10」のFull System Drive Benchmark、「3DMark」のStorage Benchmarkの4種類だ。
テスト環境は以下にまとめた通り。また比較用として、990 PROの4TBモデルでも同様のテストを行なった。テスト時には、マザーボードに用意されているM.2 SSD用ヒートシンクを装着し、空冷ファンのエアフローがヒートシンクに当たるようにして行なっている。
テスト環境
マザーボード:ASUS TUF GAMING B650-PLUS WIFI
CPU:Ryzen 5 7600
メモリ:DDR5-5600 16GB×2
システム用ストレージ:Samsung SSD 950 PRO 256GB
OS:Windows 11 Pro 64bit
まずはCrystalDiskMarkの結果だ。CrystalDiskMarkでは設定を「MVNe」にし、テストサイズは1GiBと64GiBの2パターンを計測している。
結果を見ると、テストサイズにかかわらず、シーケンシャル速度はリード、ライトともに公称速度と同等以上の速度が計測された。990 PROもほぼ公称通りの速度が計測されているが、約2倍の速度差には圧倒される。同時に、PCIe 5.0 x4の理論値上限である15.75GB/sにかなり肉薄しており、登場時点でほぼ理論値上限速度に到達している形だ。
それに対しランダムアクセス速度は、リード/ライトともに990 PROとほぼ変わらなかった。そもそもランダムアクセス速度はシーケンシャルアクセス速度に比べてそこまで大きく高速化していないこともあるため、これはある意味妥当な結果と言えるかもしれない。
次にATTO Disk Benchmarkの結果だ。こちらもCrystalDiskMarkに近い傾向で、リードが最大13.78GB/s、ライトが最大12.54GB/sを記録した。990 PROとの比較では双方ともほぼ2倍に近い速度だ。このあたりからも、さすがPCIe 5.0 x4対応の最上位SSDらしさが伝わってくる。
PCMark 10のStorage Benchmarkの結果は、990 PROの3,344に対し、9100 PROは4,578と1,234ポイント上回った。実アプリでのストレージアクセスを再現したテストということもあって、純粋な速度計測のように2倍近いスコア向上とはならなかったが、それでも大きくスコアが上昇しているのは確かで、性能面では申し分ないと言える。
3DMarkのStorage Benchmarkの結果も、990 PROの3,409に対し9100 PROは4,300を記録。これならゲームプレイ時の快適度も大きく向上しそうだ。
エンスージアストやハイエンドゲーマー向けの最強SSDとして魅力
今回見てきたように9100 PROは、SamsungのハイエンドSSDらしい、非常に高速なアクセス速度を実現していることが確認できた。しかも、登場時点でPCIe 5.0 x4のほぼ上限に近いアクセス速度を発揮するという点は、なによりも性能を追求するエンスージアストやハイエンドゲーマーにとって大きな魅力となるだろう。
メインストリームPCでは、これまでPCIe 5.0対応のビデオカードとSSDをフルに同時利用するにはAMDプラットフォームほぼ一択だった。しかし、ユーザーが利用できるCPU直結のPCIe 5.0レーンを20レーン備えるCore Ultra 200Sの登場で、今後はIntelプラットフォームでもPCIe 5.0対応SSDを利用するユーザーが増えるはず。メインストリームPCでもなるべく性能を追求したいという人にとって選択肢が増えるという意味でも、9100 PROは大いに注目したいSSDと言える。