やじうまミニレビュー

リールがなくとも巻き取れる、持ち運びに便利な独自構造のLightningケーブル

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
見た目は一般的なケーブル。WH(ホワイト)以外にBK(ブラック)もラインナップされているようだ

 出張や旅行などで、iPhoneやiPadの充電ケーブルを持ち歩くさい、巻き取るためのリールがついたサードパーティ製品を愛用している人は多いだろう。かくいう筆者もその1人なのだが、リール自体がかさばることから、純正のケーブルを持ち歩くのに比べて、すばやく巻き取れるメリットはあるものの、体積はかえって増してしまうこともしばしばだ。

 また、こうしたリールタイプの巻取ケーブルは、本体内にケーブルを収納する関係上、ケーブルの全長がどうしても短くならざるを得ない。フラットケーブルの採用で本体のコンパクト化を追求した製品でも、ケーブル長はせいぜい数十cmしかない製品がほとんどで、実際に使うと長さ不足を感じることもしばしばだ。

 ケーブルそのものに巻き取りギミックをもたせることで、こうした問題点を解消したLightningケーブルが、今回紹介する「BL-CA03-WH」なる製品だ。パッケージ前面の製品名は「USBフラットケーブル」となっているため少々まぎらわしいが、れっきとしたLightningケーブルである。

パッケージ。輸入元はTUTU Company LTD.、販売元はBroadLine株式会社となっている。ヨドバシカメラでの購入価格は1,980円だった
ケーブル断面の構造がよく分かる。パッケージによると「特許出願中」とのこと

ケーブルの凹凸を組み合わせてコンパクトにまとめられる

 本製品は一方のコネクタがLightning、もう一方がUSB Aという、一般的なLightningケーブルと同じ仕様だ。長さは1mで、AppleのMFi認証も取得している。

 Lightningケーブルとしてのスペックは一般的だが、注目したいのはそのケーブルの独特な形状だ。写真を見ていただければ分かるように、フラット気味になったケーブルの表面には細い溝が、ウラ面にはその溝と同じ幅の突起が設けられている。

 これを表裏が重なるようにして巻き取ると、表面の溝にウラ面の突起がぴったりとハマり、コンパクトにまとめられるというわけだ。軽く力を入れて押し込んでいくため、手を離しても分離することはない。

ケーブルの表面には細い溝がある
ウラ面にはその溝と同じ幅の突起がある
表とウラを重ね、指先でパチパチとはめるようにして巻き取っていく
巻き取った状態。リールのようなギミックがなくとも巻き取ることができ、容易に分離することもない
途中まではがした状態。凸と凹がうまく噛み合っていることが分かる

 リールタイプの製品は、そのギミックのせいで厚みが増してしまうのが欠点だが、本製品はリールがないため「巻き取った状態での厚み=ケーブル幅」であり、それゆえバッグのポケットなどにもかさばらずに収納できる。またリールタイプならではの長さ制限もないため、一般的なリール巻取式のケーブルよりも長い、1mという長さを確保しているのも特徴だ。

 またLANケーブルなどに見られるシールド仕様とのことで、ノイズなどにも強いと考えられる。Lightningケーブルでノイズによるデータ転送の障害というのはあまり聞いたことはないが、工場での利用など、UTPケーブルではノイズが乗るためSTPケーブルを使っているような環境では、この仕様が役に立つかもしれない。

ケーブルを挿したままiPhoneやiPadを使う用途には不向き

 実際に使ってみた限りでは、被覆が固いためケーブルをねじる動きがしにくく、それゆえケーブルをつないで充電を行ないながらiPhoneやiPadを手に持って操作する用途では、取り回しにくさが目立つ。軽量なモバイルバッテリと組み合わせると、その反発力のせいで、モバイルバッテリが引きずられることもあるほどだ。

 しかしそれ以外の用途、例えば出張や旅行などに携行し、宿泊先でiPhoneやiPadを朝まで充電するような用途であれば、何ら問題ない。要は「ケーブルを挿したままiPhoneやiPadを使う用途」に向かないというだけで、このあたりの特徴はきちんと見極めて使うべき製品だろう。

コネクタハウジングとケーブルは一体成型になっているので、純正ケーブルにありがちな断線の心配は低そうだ
純正ケーブル(右)に比べるとハウジングはやや大柄だが、厚みはそれほどないので、iPhoneやiPadに挿した際にハウジングの厚みによって宙に浮いてしまうこともない

 純正のLightningケーブルはハウジングの根元から断線することも多く、交換プログラムのお世話になることも多いわけだが、本製品はコネクタハウジングとケーブルが一体成型になっているので、強度はかなり高そうだ。ねじれによる断線の心配が低いのも、利点と言えるだろう。

 なお本稿執筆時点ではまだ販路が限定されているようで、筆者が探した限りではヨドバシカメラでしか見つけられず、しかも「ヨドバシ.com」では掲載はあるものの写真がない状態だったりと、まだまだこれからの製品だと思われる。個人的には、1.5mなどさらに長いモデルや、USB Type-Cなどのバリエーションの登場にも期待したいところだ。