山田祥平のWindows 7 ユーザーズ・ワークベンチ

キーボードでWindowsを扱う



 世の中はタッチパネルがトレンドで、マルチタッチのGUIが主流になろうとしている。だが、キーボードを積極的に使うとWindowsの操作はきわめて快適なものになる。時代に逆行しているようではあるが、しっかりしたキーボードを、しっかりと使えるところがPCの優位性でもある。こればかりは、スマートフォンが逆立ちしたってかなわない。

●対象が見えていてこそのGUI

 ポインティングデバイスは、操作の対象が見えていなければ、見えるようにするための前準備が必要になる。たとえば、文書を作成しているときに、電卓が必要になった場合には、スタートボタンをクリックして、すべてのプログラムを開き、アクセサリを開いて電卓を見つけ、それをクリックして、初めて電卓が起動する。これは、かなりめんどうな操作手順だ。

 もし、電卓を頻繁に使うのであれば、いくつかの方法で簡単に起動するようにすることができる。

 もっとも簡単なのは、デスクトップにショートカットを置く方法だろうか。これならタスクバー右端をクリックして、デスクトップを表示させ、見つけた電卓のショートカットをダブルクリックすればいい。

 ただ、この方法の欠点は、そのとき作業していたウィンドウがいったん最小化されてしまうため、作業の再開に際して、そのウィンドウをまた開く必要がある点だ。

 少し、Windowsのことを知っているユーザーなら、電卓をタスクバーに常に表示するように設定するだろう。通常の手順で電卓を起動すると、タスクバーに電卓がボタンとして表示されるので、そのボタンを右クリックしてジャンプリストを表示し「タスクバーにこのプログラムを表示する」をクリックすれば、未起動時にも電卓のボタンが表示されたままになる。これで、いつでもタスクバー上に電卓が見えている状態となり、クリックするだけで起動するようになる。

プログラムの起動時に、タスクバー上のボタンを右クリックし、ジャンプリストから「タスクバーにこのプログラムを表示する」をクリックすれば、常にボタンが表示されるようになる

 キーボードからの文字入力中に、タスクバー上の電卓ボタンにポインタを重ねるためにポインティングデバイスに手を伸ばすのさえ面倒だというのなら、タスクバー上のボタンをキーだけで操作することもできる。スタートボタンの右側のボタンを1個目とし、10個のボタンに順に1、2、3、4~0までの数字が割り当てられているからだ。

 Windowsキーを押しながら、任意の数字キーを押してみよう。もし未起動のプログラムであれば、そのプログラムが起動するし、起動済みなら、そのプログラムのウィンドウがアクティブになる。たとえ、そのとき表示されているウィンドウの背後に隠れていても、ちゃんと前面に出てきてくれる。

 また、複数のウィンドウが開いているボタンの場合は、Windowsキーを押したままで当該数字キーを繰り返し押すことで、どのウィンドウをアクティブにするかを指定することができる。

 なお、これらの数字キー操作は、テンキーの数字では機能しない。必ず、文字キー最上段の数字キーを使う必要があるようだ。

●個々のプログラムにショートカットキーを割り当てる

 Windowsキーと数字キーの組み合わせで、タスクバー上のボタンを操作できるのは便利かもしれないが、なかなか10個ものボタンを並べてはおけるものじゃない。フルHD解像度があればまだしも、解像度の低いノートPCなどでは、そうもいかない。

 そういう場合は、プログラムのショートカットにショートカットキーを割り当てることもできる。ショートカットのプロパティを開くと、ショートカットタブの中に「ショートカットキー」の項目がある。ここに、定義したいショートカットキーを設定しておけばいいのだ。ただし、単一のキーではなく、Alt+CtrlやAlt+Shift、Alt+Ctrlなど、2つの修飾キーと文字との組み合わせになる。ちょっと不便に感じるかもしれないが、単一修飾キーでは、そのとき使っているアプリケーションのショートカットキーと干渉する可能性があるので、致し方ないといったところだろうか。なお、F1~F12のファンクションキーは単独でも指定できる。この方法で、電卓はCalcだから、Alt+Ctlr+Cを割り当てるといったようにしておけば、いつでも、そのキーコンビネーションで電卓が起動するようになる。

 なお、ショートカットはどこにあってもいいというわけではないようだ。実際にはスタートメニュー内にあるショートカット、あるいは、デスクトップ上にあるショートカットでなければ、割り当てたショートカットは機能しない点に注意してほしい。

ショートカットのプロパティで、ショートカットキーを割り当てておけば、簡単にプログラムを起動できる

●コントロールメニューでウィンドウを操作する

 近頃は、ウィンドウの左上にコントロールボタンが表示されることが少なくなってしまっているようだ。Windows 7では、一般的なエクスプローラウィンドウも、左上にはコントロールボタンがない。また、左上に、そのプログラムのアイコンを表示するプログラムも増えてきている。いずれにしても、エクスプローラーのウィンドウでは、タイトルバーの右クリックで、そのウィンドウに対するコントロールを指示することができるし、ウィンドウ左上部分のクリックでも同様の結果が得られる。

ウィンドウ左上のコントロールメニューを開くと、各種のウィンドウ操作のためのショートカットメニューが表示される

 ウィンドウ左上のクリックと、タイトルバーの右クリックの違いは、デフォルトのアクションだ。ウィンドウ左上のクリックでは「閉じる」がデフォルトだし、タイトルバーの右クリックでは「最大化」(最大化時は元に戻す)がデフォルトだ。だから、ウィンドウ左上をダブルクリックするとウィンドウは閉じるし、タイトルバーをダブルクリックするとウィンドウは最大化されるか元のサイズに戻る。

 ただ、エクスプローラーのウィンドウは、コントロールボタンとタイトルバーの振る舞いが曖昧だ。コントロールボタンが表示されていないがウィンドウの左上をダブルクリックするとウィンドウは閉じるが、タイトルバーを右クリックしたときの既定値は「閉じる」なのに、タイトルバーのダブルクリックでは、ウィンドウが最大化される。このあたり、理路整然としていないところが、ちょっと釈然としない。

 このコントロールメニューを表示させるためのショートカットがAlt+Spaceだ。このキーコンビネーションで、ウィンドウに対するさまざまな操作ができる。プログラムのウィンドウが、デスクトップの外に飛び出して操作不能になったことはないだろうか。そんなときも、Alt+スペースでコントロールメニューを表示させれば、キー操作だけで、ウィンドウを移動したり、最大化したりといったことができる。これは覚えておいて損はない。

●万が一でもキーボードがあれば大丈夫

 WindowsはGUIのOSということになっているが、実際には、キーボード操作が主流だった時代の名残を連綿と受け継いでいる。おそらくは、ほとんどすべての操作がキーボードだけで可能になっているはずだ。

 もし、Windowsでの作業中に、ディスプレイが故障して、画面表示ができなくなってしまったとしよう。そんなときは、落ち着いて、

Windows→Tab→Tab→右矢印→H(デスクトップPCの場合はS)

と順に押していこう。これで、Windowsは休止状態に入るはずだ。作業中のウィンドウが未保存の状態でも、そのまま休止状態に移行する。正常なディスプレイを接続して電源を入れれば、トラブルが起こる直前の状態に復帰する。デスクトップPCでは、明示的な休止状態がなく、スリープへの移行を指示するためにSを押しているが、既定ではハイブリッドスリープが有効なので、スリープ時に休止状態のためのファイルがHDDに書き込まれる。そのため、休止させたのと同じ結果が得られる。

画面が見えなくても大丈夫。キー操作だけでWindowsを休止状態に移行できる

 こうしたことも、ちょっと頭の片隅に覚えておくと、何かのときに役に立つかもしれない。